「聯合艦隊司令長官 山本五十六」多くの方に見て頂きたいです。

本日ご紹介する映画は、「聯合艦隊司令長官 山本五十六」です。

昨日本のご紹介をすると書いた、次の日ですが・・、
今日映画を見て感動し、1日でも早くコメントを書くことで、
より多くの方に見てもらいたいと思った訳です。

しかし、この映画は、
前評判や、予告編を見た印象では、
あまり期待できないかな。と思っていました。

戦争映画は、
娯楽という意味では、
戦闘シーン(派手なほうがもちろん映画としては面白い)が
重要なのですが、戦闘シーンが少なく、室内シーンがほとんど。
という話ですし、

歴史に詳しい人にしてみれば、
監修をしている半藤一利氏(個人)の詰めが甘い。
とか、様々な制約もあったのでしょう。
山本五十六という人の表面しかなめていない。
といった話が伝わって来ました。

個人的にも副題として 

−太平洋戦争70年目の真実−

とあるのですが、どの点が”真実”なのか、
(映画を見た後でも)
正直作り手側の真意は分かりませんでした。
・・というのは、
真珠湾攻撃を始めた山本五十六という人が、開戦反対派
だったということは、あまりにも有名過ぎます。
(・・と感じるのは、一部の人だけでしょうか?)


しかし、
映画「山本五十六」を見て思うことは、
それは、枝葉の議論であって、
映画の善し悪しにはなんの関係も無く、

もっと言うと、私個人的には、山本五十六という人よりも、
日本が日米開戦に至るまでの、飲み屋の女将さんとお客さん
の会話など、
時代の描き方に一番のメッセージ性を感じました。


あたり前の話ですが、
映画は、現在の人がシナリオやセリフを考えて、
現在の人が演じたり、編集をする訳です。

映画を見て感じるのは、
それらを差し引いても、この時代は、
あまりにも現代とよく似ていると思いました。

それを端的に表現しているのは、
20年来景気が悪く、総理大臣が短期間に変わる。
といった飲み屋の何気ない会話であり、

冒頭に出てくる戊辰戦争での長岡が燃える映像や
空襲で焼け野原と成った東京の映像などは、
まるで昨年の震災で津波の被害にあった、
太平洋沿岸の街のように見えました。


既に様々な評論家が主張しているように、
現代は戦前によく似た状況と言います。
もし、この先戦争が起きるとすれば、我々はどうしても
回避しなくてはなりません。

しかし、マスコミが世論を先導し、戦争をあおり立てる様子や、
軍令部(いわゆる中央官庁の役人)や政治家が、
がなぁなぁで戦争を始めていく様子。

何も変わっていません。
このままで良いんだろうか?


映画を見て感じるのは、
日本人は、人間(の意識や行動)は洋服も含め、
ほどんど変わったことが無くて、
消えてしまったのは、質素で家庭を重んじる武士の魂です。

山本五十六が自宅に帰り夕食を食べるシーンがあります。
お味噌汁から食べるとか、順番を子供に教えたり、
1匹のお魚を、家長である五十六が子供に分け与えたり。
(といったおそらく武家の伝統と思うのですが、)
こういったシーンは現代日本では
どれぐらい残っている物なのでしょうか。?

すくなくとも、連合艦隊司令長官の職にある人が、
ちいさいちゃぶだいを囲んでご飯を食べる姿。
これが私にとっての、

−太平洋戦争70年目の真実−

であったことは間違いありません。(笑)


冗談はさておき、玉木宏さん演じる新聞記者が、
召集令状をうけ、淡々とした表情で上司に報告
するのですが、あの感覚は私にもわかりません。
あの時代、まだいざ鎌倉というときには、
命を盾に戦う、武士が沢山日本に居たと言うこと
なのでしょうか。

私も含めそういった意識の欠落が、つまり
つまり平和ボケ日本といわれるゆえんかもしれません。


なお、太平洋戦争というのは、敗戦後アメリカが
大東亜(共栄圏)という政治的な理由を薄めるため、
単なる戦争場所という意味で、使用し始めた言葉であり、
映画中のセリフでは、日本的に正しい「大東亜戦争
という使われ方をしています。


私自身この時代や戦争に対する知識はそこそこ持っております。
そのため、主要な登場人物の殆どを書籍で覚えて知っていました。

文字で読んで、映像で見て心に残ったシーンをいくつか上げます。


井上成美(柳葉敏郎さんの演技は、実に素晴らしい)が、
ヒトラーの著書(我が闘争?)の原文を読み上げて、
ヒトラーが日本人を蔑視している点を、日独伊三国同盟
主張しているメンバーを論破する点。

そのあとで、山本五十六が、物事は大本を調べないと。
というシーンや、
やはり三国同盟を締結する際に、その後に予測される、
日米開戦となった場合のデメリットをどのように
補うか、海軍大臣を詰めるシーンなどは、
山本五十六という人の論理性を表していて、
仕事でも同じだと感じました。

さらに、若手、新聞記者役の玉木宏さんに、世界を見て。
とグローバルな考え方が大切と説くあたり、
国内思考といわれる現代日本の若者に同じ事を聞かせたいです。


当時の海軍軍人で最も評判の良い人の一人である、
山口多聞阿部寛さんがまたカッコ良い)が、これぐらい
沢山(とはいっても限定されますが)出てくる映画は
初めて見ました。
しかし乗艦している空母飛龍が沈没する前に、部下を退艦
させるシーンは、説明不足と思いました。
実際は米軍の攻撃をうけ、火災が広がり、手の施しようが
なくなり、全員退艦のあと、味方の魚雷で沈没するのです。

さらに詳しく調べてみると、
実際は沈むほどのダメージは無かったようですが、
電源の故障により、艦橋のコントロール機能と、
船内内部にある機関室との通信ができなくなった
(途中の格納庫が炎上なので、人もいけず)
ということで、電源故障による惨事なのですが、
つい最近も、某原発事故で、似たような話を聞いたばかりです。


そして、真珠湾攻撃ミッドウェイ海戦など、
重要な役割を演じるのが、南雲忠一中原丈雄さんは、
実際の南雲忠一と似ているように思いました。)です。
真珠湾攻撃の第二攻撃をしなかったことや、
ミッドウェイ海戦で大敗をした司令官なので、
後年の評価は低いです。

映画での山本五十六との人間関係をみれば、
作戦失敗は、コミュニケーションの悪さと、
リーダの考えを忠実に実行できない部下の失敗として
表現されていたように感じました。

ビジネス的には、企業理念が隅々まで浸透していない
企業は危ない。といわれますが、全く同じ話のように
感じました。

ただ、この方もどんな方か説明が無いので、
単なる悪役的に表現されていましたが、
実際は船の操艦がもの凄く上手かったり、艦船戦闘では
かなりの方らしく再評価されつつあります。
航空戦に時代が移ったことが不幸だったのかもしれません。


航空戦といえば、空母を中心とし、遙か海の彼方で
戦を行う機動部隊を考えたのは、山本五十六という
人であるし、
湾岸戦争などでも実際に行われた、
戦艦の大砲を利用して陸上攻撃する映像も再現されています。

吉田栄作さん演じる作戦参謀から、真珠湾攻撃のにあたり、
特殊潜行艇(奇襲用の小型潜水艦だが、人間魚雷ともいう)
を進言し、九死に一勝を得る作戦はあるが、十死の作戦などない。
と却下しています。
実際は、特殊潜行艇は出撃し、全員死亡するわけですが、
いかんせん映画では短いセリフだけなので、説明不足となり
カットしても良かったのでは無いかと感じました。


話は尽きませんが、
山本五十六という人も、昔は神様のような高評価しか
無かったわけですが、最近は、様々な人がそうであるように
見直されつつあり、ネガティブ意見もあるようです。


やってみせて、
いってきかせて、
ほめてやらねば、
人は動かじ。

という言葉が有名です。
論理的な観点から戦争に反対しつつも、
作戦を立案した、山本五十六という人は、

本人の考えとは異なる、上司の指示で動く、
現代のサラリーマンや官僚そのものですし、

司令長官ほどの人物が、質素な生活をしている様子は、
世界一貧富の差が小さいといわれる、現代日本そのものです。

戦前というと、もの凄い遠い過去で、
全く違った価値観で生きていたかのように、
学校で、歴史を学ぶわけですが、

実際そこに生きた人は、
我々と全く同じ日本人で、
だから、
同じ失敗を繰り返しているのだと思います。

(開戦前に)日本は負けたことがない。

という今となっては、根拠レスな会話が映画中でありますが、

それは、地震でも倒れない日本の耐震建築が、
阪神大震災で嘘であることがわかりましたし、
原発も同じです。

現場の指揮官は優秀ですが、
何故か戦争に負けてしまう様子は、今も昔も同じなのです。


この映画はこれからの日本を担う、
多くの知識人、良識有る日本人に見てもらいたい映画と思いました。

参考URL ※音が出ます。
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追伸)
最後に娯楽映画という観点で、
今回戦闘シーンが少ないということですが、
「男達の大和」のスタッフが作っていると言うことで、
かなり凄いシーンが満載です。
零戦が沢山並んでいたりしますが、1機をCGでコピーしたということで
分かりませんでした。(笑)
戦艦長門のシーンや、ガダルカナル島の艦砲射撃(金剛クラスの戦艦
と思いましたが)またなんといっても、赤城のシーンは沢山出てきます。
得てして戦争映画では「大和」意外はなかなか出てきませんから、
これらファンの方は、もっとみたいと思う映像が満載でした。


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