旧作DVDレビュー「きみに読む物語」を観ました。

本日は2004年アメリカ映画
きみに読む物語」をご紹介します。

理想的なカップルとして、
チャーミーグリーンのCMの、おじいちゃん。おばあちゃん。
が話題となることがあります。

お互い歳を取っても手を手をとりあって。という構図は、

特に女性陣ウケが良いのですが、
私的にはその感覚がイマイチわかりません。

若いお姉さんと手を繋ぐのは嬉しいですが、
いい歳をした、長年連れ添ったおばあちゃんと
手を繋ぐ感覚が全く想像できないのです。

しかし、
本作はそんなチャーミーグリーンのCMを
遙かにこえる物語の設定です。


舞台は1940年代。
アメリカ南部のシーブルックという街です。
(調べてみるとニュージャージー州でした。)

遊園地で二人が出逢うシーンから始まるのですが、
当時の世界情勢としては、
ヨーロッパで第二次世界大戦が始まり、
日本も対米戦争突入の直前です。

そんな時代にアメリカでは、
若者が遊園地で遊んでいるといる事を知り
軽く衝撃が走ります。

ただし、ココは映画のポイントではありません。(汗)


長い夏休み期間を利用してリゾートのため、
この街を訪れていた少女(高校性)と、
地元で材木屋に努める青年が遊園地で出逢うのです。

彼の一方的な一目惚れです。
一方的に激しいアタックを繰り返し、
そして彼女を射止めました。

一夏の恋は盛り上がり、
そして互いの両親の知るところと成ります。

しかし彼女の両親はお金持ちということもあり、
材木屋に努める彼のことを快く思いません。

夏が終わる前に、
彼女は半ば強制的に街へと帰らされてしまうのでした。

彼女が忘れられない青年は、
毎日毎日彼女に手紙を書きます。

しかし彼の書いた手紙は、
彼女の母親に見つけれ彼女には届きません。


そうして音信不通となってしまった二人ですが、

青年は戦争に志願し激戦をくぐり抜け、
彼女はお金持ちの将校に見初められます。

戦争が終わり青年はどうにか生きて帰り、
お金持ちの将校は事業を継ぎ、
彼女と婚約するのです。

青年はかつて夢であった、
大きな古い屋敷を購入して、
自らリフォームを始めます。

リフォームが完成し、
素晴らしい屋敷に生まれ変わった家を、
売りに出そうと新聞広告を出すのですが、

なんだかんだ言って、
屋敷を売ることは有りません。

そうこうしているうちに、
その新聞広告を、結婚直前の彼女が見つけ、
青年に会いにいくのです。

おそらく、彼女としては、
結婚前に彼に会い、茶飲み話でもして、
気分をスッキリしたかったのでしょう。

彼もまた、彼女が見つけてくれることを
期待したリフォームであり、
新聞広告であったわけです。


映画の前半はこのように、
一夏の恋がはじまり、引き裂かれ、
その後全く違う人生が始まってしまう様子が
描かれます。

私が観て悲しかったのは、
屋敷を懸命にリフォームする様子です。

これをすれば彼女が帰ってくるのではないか。
そんな事を想像しながら作業をしていたに
違いないことです。

得てして、自分の得意な事で彼女の気を引きたい
気持ちは男なら誰しもあると思うのですが、

しかし、
男の得意な事に女性が興味を持つことは希であり、
そんな男の空回りが理解できて悲しいのです。

でもこの映画は、
きっと男が脚本を作ったのでしょう。

男の願望どおり、彼女が彼を訊ねてきて、
そして二人の恋は再び盛り上がります。


※自分で家をリフォームする。という感覚は
 日本人的にはわからないかも知れないのですが、
 アメリカ人は殆どがカーペンター(大工)の子孫
 とも言われるぐらい、家を買ったら自分で直して
 綺麗にして物件価値をあげ、転売する。
 ということが普通という国です。

 こんな知識があると、この映画もすんなり
 観ることができるのではないかと思います。


この後の様子は他のネットなどでも情報が
ありますが、

母親は隠し持っていた手紙を娘に渡し
謝るのですが、
それを読んた彼女は、
お金持ちとの結婚を止めて彼を選んだのでした。

そして、歳を取り、
子供も育ち独立し孫が生まれ、
彼女(奥さん)は認知症となり、
過去を全て忘れてしまいました。

歳を取っても彼女を愛する夫は、
物語を読み聞かせる、ボランティアとして
彼女と接しています。

そして、彼女が書いた(と思う)日記
つまり映画のストーリーで有る、
二人の馴れ初め。を読み聞かせるのです。

医者からは、どんなに読み聞かせをしても、
認知症は治らないと言われ、
それでも、夫は彼女の記憶が戻るまで
続けると言います。

認知症ですから、時折記憶が戻り、
そして突然記憶が消えるシーンが
映し出されるのですが、
泣けてきます。

夫は彼女を愛しており、
子供達からは、大変だから家に帰ろう。
といわれるのですが、
彼女が居るココ(治療施設)が家といい、
帰ろうとしません。

これをチャーミーグリーン以上の設定といわず、
なんというのでしょうか。?


映画の前半では、
彼女を射止めようと、
無茶苦茶な積極的な青年が、

歳を取って、奥さんを大事にする姿は、
同じ人格とは思えませんが、

この違いが大事と感じます。
つまり、人(夫婦)がどのように歳をとるか。
ということを考えさせられるのです。


1940年代の町並みや車の映像、
あたり一面の白鳥の湖や、夕日の中のボートの
映像など、大変素晴らしく、
そして音楽も良いですし、

恋愛とは何か、
夫婦とは何か、
年を取るとということはどんなことか。

色々考えさせられ、
そして泣けてくる。

なかなかお勧めの今日の一本です。



映画の予告編です。