長谷川博己主演、庵野秀明総監督『シン・ゴジラ』を観てきました。

本日は長谷川博己さん主演、庵野秀明さん総監督

 『シン・ゴジラ

をご紹介します。

2年ほど前でしょうか、
渡辺健さんが出演するハリウッド版ゴジラを観まして、
結構面白かったのですが、

アーロン・テイラー主演「GODZILLA ゴジラ」を観てきました。案外面白かったです。 - つれづれなるまゝに、日ぐらしMacに向かいて・・・

今回の「ゴジラ」は正直あまり期待して
いませんでした。

しかし、
結構なお客さんが入っているようで、
ネット情報も増えると、つい読んでしまいます。

特に、枝野幸男さんの取材記事や、
石破茂さんのブログなど読みまして、
結構危機管理の様子がリアルに再現されている。
というコメントにはたいへん興味を持ちました。
なんといってもお二人は、
内閣官房長官、元防衛大臣という閣僚経験者です。
この二人がリアルというのですから、
俄然映画を観たいモードに火が付いたのです。


シン・ゴジラ』を観る際には、
通常シートと、MX4Dの2つのシートが選べます。

3Dがあるときは、3D上映のほうが面白い。
という事を学習しているので、
絶対MX4Dだろうと思いまして、

結構お高いですが、迷わずMX4Dを予約しました。
※TOHOシネマズの場合、通常料金+1200円とのことです。

私的に初めてのMX4Dでした。
席をみるとまるで遊園地のアトラクションです。
座席から足が浮くのです。

そして3Dと同じように予告もMX4Dモードでした。

席が揺れ、顔に風や水蒸気が飛んできます。
ちなみに私は身長175センチほどでメガネをしています。
水蒸気がメガネに飛んでくると、
その後見えなくなってしまう可能性があるので
少し心配だったのですが、
私の場合は最後まで大丈夫でした。

なお、あくまで個人的感想ですが、
ストーリーや映画そのものを楽しみたい場合は、
通常シートのほうが良い気がしました。
いきなり揺れたり、シューとか水蒸気が
飛んでくると、映画に没頭することができません。(^_^;)


・・という訳で映画のストーリです。
シン・ゴジラ』のホームページを観ても
情報は良くわからないのですが、
Wikiを読むとほぼストーリーがわかります。

超要約すると、

東京湾に幼虫(虫ではないが)のゴジラが現れ、
アクアラインに被害を出し、
大田区あたりに上陸して町を壊し、
再び東京湾に帰っていきます。

その後、成虫となったゴジラは湘南(鎌倉)に現れ
都心めがけ一路北上します。
自衛隊の敷いた玉川に防衛ラインを突破し、
東京駅付近まで北上。
そこで米軍との共同作戦により、
ゴジラが死んで(機能停止して)しまう訳です。
※実際に死んでしまったかどうかは良く分かりません。

そして映画の最後に、
竹野内豊さんが、主役の長谷川博己さんに言うのです。

 日本はスクラッチ&ビルドをしてここまで成長してきた。
 だからゴジラの被害を乗り越えて、新しい日本を作っていこう。

みたいなエンディングです。

クラッチ&ビルドという言葉は、
こんなとき使う単語かなぁ〜。
と少しだけ違和感を感じますが、
そのような細かなことを抜きにすれば、
後味良いエンディングだったと思います。


映画をみて言いたいこと、書きたい事は沢山あります。
例えば、小林よしのりさんはブログで上手くまとめている
と思いましたのでリンクを張らせていただきますが、
「シン・ゴジラ」こんな感想が一人いる

私が最もイマイチだなぁ〜と思ったのは、
幼虫(第二形態というらしい)の目です。
安いおもちゃの目玉にしか見えません。
少なくとも生き物の生気が無いのです。

幼虫の形に関しては、色々な方がネットで書き込みしています。
ラブカという深海サメがモチーフとか言われていますが、
こちらも参考URL
「シン・ゴジラ」モデルの深海サメ、沼津の水族館で展示中! グッズも買える! - ニュース - Jタウンネット 東京都

いくら幼虫とはいえ、
カッコ悪いというのは、私もイマイチな気がしました。

その後立ち上がり、成虫と成るのですが、
背中の様子などは実に上手くできていると思いました。
ただ、
小林よしのりさんのブログでも指摘されていますが、
手が小さいです。
加えて、しっぽが地面に設置しておらず
ブラブラしています。

私が子供の頃の恐竜の画は、
尻尾が地面に設置していたと記憶しているのですが、
最近のTVの恐竜番組などをみますと、尻尾は中に浮いています。
手の小ささを含め全体的な体の形は、
ティラノサウルスをイメージしている筈ですが、
中の動きは野村萬斎さん。つまり人なので、
しっぽの全体感が逢わない印象を持ちました。
些細な話しですが・・。


ただ全体的に観れば、
すくなくとも成虫(第四形態というらしい)は、
歴代ゴジラと比べてもカッコ良い気がします。

ハリウッド版と顔も見比べてみましたが、
ハリウッド版は、三角的な輪郭であるのにたいし、
シン・ゴジラ』は四角い輪郭で、
オリジナルイメージを損なわないように、
現代風にアレンジしていると思います。


続けてストーリ的な感想を書きます。
田原総一朗さんのコメントに寄れば、

2016年9月20日 – 田原総一朗公式サイト

==
自衛隊憲法、官僚制度の欠陥、核と原発……、
日本という国の抱える問題を、非常にリアルに描いている。僕はとてもおもしろく観ることができた。
興行成績がトップクラスだというのも納得である。現役の政治家や官僚たちも、ぜひ観ていただきたい。
==

とまとめられていますが、
私が映画を観て感じたのは、
極めて政治的なメッセージ性の強さです。

危機管理という点では、
実際に自衛隊が防衛出動するとき、
つまり自衛隊は防衛が任務なので、
特に陸上自衛隊などは日本国内で活動することになります。
つまり国内で兵器を利用するわけです。
市街地とも成れば当然民間人がおり、
この時の運用の問題が描かれています。

次に自衛隊の兵器ではゴジラにダメージすら
与える事が出来ません。
対戦車ヘリコプターの攻撃が中心だったので
仕方ない面はありますが、
結局ゴジラにダメージを与える事ができたのは、
アメリカ軍がもつ、大型貫通爆弾で、
地下施設にダメージを与える専用爆弾です。

自衛隊は飛行機や軍艦など、海や空からの
兵器は潤沢ですが、地上攻撃兵器は無いわけです。

ココは単に米軍が自衛隊よりも強いの当たり前じゃん。
というレベルの見方をすると、映画の作り手の気持ちを
見落とすと思います。

普通は戦車がだめなら、
試しに対艦ミサイルを撃っても良さそうな気がしますが。
そこは飛ばして、米軍のB2爆撃機が出てくるわけです。

私は自衛隊も地上攻撃兵器をもたねばならない。
というメッセージだと感じました。

でもこれは全体から見れば小さな話しで、
一番大切なのは、自衛隊で手に負えなければ、
有無を言わさず国連軍が組織され、
ゴジラ(のいる東京)に核爆弾が落とされる下りです。

つまりゴジラよりもアメリカのほうが怖いわけですよ。

ゴジラが自己増殖し、世界中が危ないという伏線も
読み取れるのですが、
でも、今回の映画の範囲でみれば、
日本に最もダメージを与えそうなのは、
ゴジラではなく米軍の核兵器です。
都心に核爆弾が落ちれば、日本はアウトで、
首都圏のGNPは何パーセント(数字を失念)という
セリフも入ります。

ここで言いたいことは、
日本有事の際、独力で処理対応できなければ、
容赦なく核爆弾が日本に落とされる。
という現実です。

これが映画『シン・ゴジラ』のもつ最大のメッセージ性
だと感じます。

これを阻止するには、
もっと強い自衛軍が必要ですし、
国際政治的にも国連常任理事国入りするなど、
拒否権が使える立場になる必要があります。

映画の中で、核爆弾が落ちないように交渉するのは、
暫定内閣がフランス政府を通じて交渉したからでした。

東日本大震災でもわかるとおり、
原子力発電所や除染事業に強いフランスに交渉ルートを
作るわけです。

映画では表現されませんが、
ゴジラという、壊れた原発のようのなものが、
都心に残ってしまった処理を、フランスとの共同事業
として進めるバーターに、
フランス政府は交渉に乗った訳ですね。

ゴジラ福島原発だ。
というひとも多い訳ですが、作り手はもちろん
そうしたことも考えたと思います。

こうした強いメッセージ性があるがために、
シン・ゴジラ』はつまらない。
という人もいるのですが、
ただし、議論の元になった功績は認める必要が
あると感じます。

ちなみにハリウッド版『GODZILLA ゴジラ』は、
メッセージ性はかんじられず、
仮想敵を倒して家族を守る。
・・みたいな分かり易い話しだったと思います。

作り手はそうしたことも理解した上で、
あえて日本専用映画として『シン・ゴジラ』を
作ったのでしょう。


結局のところ、ゴジラは主人公の長谷川博己演じる
矢口らのチームが開発した血液凝固剤を経口注入することで
機能停止します。
薬を作るのに化学プラントというのは変な気もしましたが、
それはさておき、
一番おかしなのは、
やはり薬の経口注入です。
ちょっと動けば外れてしまいますし、
なんとなく注射しなければ薬は効かない気がします。

なにより、退治方法として画的にはカッコ良くないです。


・・とその前に、
東京駅で暴れるゴジラに対し、
電車爆弾で攻撃するアタリも見逃せません。

爆薬量を考えると、この作戦は妥当というコメントを
読んだのですが、新幹線が新橋か有楽町を過ぎる際に、
駅にホームがあったのですが、
このカットはおかしいと思いました。
(もちろん些細なはなしです。)

それにしても電車爆弾を作ったり、
東京駅周辺の高層ビルを破壊したり、
いざとなれば政府というのはもの凄い権限を
もっているものだと感じました。
これはこれで、ある意味怖いと感じます。


そんな訳で最後になりますが、
映画を観て疑問に思うのは、
ゴジラは何故東京に現れ、そして何をしたかったのか。
ということです。

確かに歩いた所は線上に壊されていき、
少しの放射線も出てしまうのですが、
それ以外のところは普通なわけです。
仮に東京を破壊したかったとしても、
その理由がよくわかりません。

ゴジラは、日本の学会を追われた牧悟郎
(元城南大学統合生物学教授)
の怨念の形という説があるのですが、
映画を観る限り良く分かりません。

そんな訳で、ネタ満載で議論が尽きない『シン・ゴジラ』です。
ネタが多すぎて、俳優さん特に、
石原さとみさんネタに到達しないのが残念です。
もの凄く可愛い女優さんなのに、
この映画では、まったく可愛くない点が、
個人的にイマイチです。
新路線なのでしょうかね。


映画『シン・ゴジラ』公式サイト


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