「神様のカルテ」をみました。

映画「神様のカルテ」を見たその日、
私は近所の総合病院に、年に一度の健康診断に出かけました。
病院に行く事など滅多にありませんので、
ついでとばかり、いくつか気になる部分を診てもらうことにしました。

都合、3名のお医者さんと話をする事になりました。

一人目は、50歳代後半のお医者さん。
いたって普通でした。安心感があります。

二人目は、30歳代前半の女医さん。
語尾がやたらと伸びるギャル語(というのでしょうか?)が特徴で、
本当に大丈夫なのか?と思いました。

三人目は、年の頃30代前半のお医者さん。
見た目は色黒なサーファー風で、親近感の無いしゃべり方です。
なんだかなぁ〜。と思って体の事を質問すると、
その後は丁寧に会話してくれました。

色々なお医者さんがいるものだと思いました。


30代後半からでしょうか?
健康診断にいくたび、測定数値が悪くなってきました。
何処が痛いということはまだ無いのですが、確実に老化は
進んでいます。

次第に健康や医療にも興味が出てきます。

自分だけでなく、両親が病気になったり、
お医者さんと接する機会も増えてきました。
やはり、自分や家族が病気に成ったら、
一番腕がたち、一番信頼の出来るお医者さんに
診てもらいたいと思うものです。

最も信頼出来るお医者様が診てくれれば、
あとは何が有っても思い残す事はありません。
そう、その一番信頼出来るお医者さんが書いてくれた
診療録が、映画のタイトルである、
つまり「神様のカルテ」なのです。

映画では、余命半年を宣告された、患者さんは、
たまたま研修で居合わせた大学病院の医師が書いた
カルテをみました。
意味は分からないけれども、熱心に書かれたその
記録から、信頼出来るお医者さんに違いないと確信
しました。
電話帳からあちらこちらの病院を探して、
やっと、「神様のカルテ」を書いたお医者さんに
巡り会える訳です。

映画では、128分という少し長めの上映時間の中に、
様々なテーマが埋め込まれていました。
見る人の年齢や立場によって大きく印象が変わる、
シナリオになっているのではないかと思いました。


私がこの映画をみて感じたのは、
亡くなってゆく加賀まりこさん役を見て、
私もあのようにして、死んでいくのだろうか。?

という事でした。
映画をみた方が年配の方や重い病気を抱える方だったら、
加賀まりこさん役に心を重ねる事と思います。


また、岡田義徳さん演じる、学士(あだな)が、
志半ばで下宿を出て行くシーンを見ながら、
人生には正解が無いんだなぁ〜。と感じました。
下宿から出て行く前に、「社会人とは」という議論を
します。このシーンを見た時は、意味が分かりませんが、
後に彼が下宿を出て行く際の伏線でした。
彼は、長い長い子供の時間を過ごしていたのですが、
これからは、大人としての時間を過ごす訳です。


救急医療や、医局制度、大学病院と地域病院の役割分担など、
現代医療の抱える問題点も浮き彫りにしながら、
人生の進路や、老い、友情・・・
1本の映画にここまで沢山のメッセージを盛り込むのは
たいしたものだと思いました。


「楽しい」とか、「感動した。」
といった類いの映画ではなかったと思いますが、
様々な人が、なにかしら”気付き”を得られる映画と感じます。


加賀まりこさん演じる患者さんが、
「やりたい事をして過ごしてください。」とお医者さんにいわれ、
「やりたい事はなんだかわからない。」と答えるシーンがあります。

ある種のビジネス本や成功本には、
「やりたい事をやりなさい」それが成功の道です。
と書かれています。しかし、多くの人にとって、
「やりたい事はなんだか分からない。」は一番共感を得られるのでは
ないかと感じました。

ある年を過ぎたら、何時死んでも良いように、日頃から
準備をすることが、重要なことでは無いか。
そんなメッセージも感じました。


以下はキャストについて、ひとこと。

■ 櫻井翔さん
 この映画は、全体的に個々人が面白い役作りをしています。
 主役の櫻井翔さん演じる医師の、やる気の無い、というか
 気の抜けた表情。
 この人が担当医だったら、命の危険を感じると思います。(笑)

宮崎あおいさん
 ブレンディー(コーヒー)の原田知世さんの口調と同じです。
 声も似ており、個人的に原田知世さんが好きなので、”良い”です。
 でも、口調と行動のキャラクターは少しかみ合っていない印象
 を持ちました。
 ところで、使っていたカメラはオリンパスでしたが、
 やはり、スポンサー関連なんですね。

そのほか榎本明さん、原田泰三さんは相変わらず、
いい味を出していますし、西岡徳馬さんも、ぴったりな感じの役でした。

特に榎本明さんには、「自分は大学に残らず後悔した」といった
セリフが有ります。ある種想定通りのエンディングでしたが、
私は主人公が大学病院に行くのもアリかと思いました。


そして、最後に挿入かのピアノが流れる訳ですが、
最近ご紹介した、辻井伸行さんでした。

また古い旅館に、寮のように共同生活をしているという設定も面白かった
ですね。

監督の深川栄洋さんは、まだ三十代ですが、なかなか深い作品を
撮る物だと感じました。


映画「神様のカルテ」は、是非とも見ておきたい1本です。


参照
http://www.kamisamanokarute-movie.jp/index.html?type=fc


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