「天国からのエール」をみました。

前回「神様のカルテ」の感想を書きました。

本日のTOHOの映画ランキングでは第4位と、

公開からひと月以上経っているのに、再び上位を狙う勢いです。



「私の足を出さないと、ヒットしない」

宮崎あおいさんが言ったとか、言わなかったとかネットで読みました。

そんなことで、山岳写真家のファッションは、
パンツルックから
スカートになったそうです。(本当ですかね?)




そんな話はさておきまして、

前回の「神様のカルテ」はお医者さんが主人公でしたが、

今回の「天国からのエール」では、
病気で無くなってしまう
お弁当屋さんが主人公です。


阿部寛さん演じる主人公は、
3年前にガンを煩い、
東京から地元の街に帰ってきました。


高校生にも人気のあるお弁当屋さんをしているのですが、

たまたま、知り合ったバンドをしている高校生達が、
大きな音が出せるバンドの練習場所が無い事を知り、
彼らの為に練習スタジオを作ろうと決心します。


資金は潤沢でなく、昔工務店で働いていた腕を生かし、
手作りでスタジオ建設を開始します。


最初は一人ではじめたスタジオ建設も、
いつしか沢山の高校生が協力してくれるようになりました。

練習スタジオは完成します。



主人公はスタジオを無料で高校生に開放する代わりに、
礼儀やマナーを重んじ、彼らを指導します。
いつしか”にいにい”と呼ばれ、高校生に慕われます。

主人公は特に最初に出会った高校生バンドを励まし続け、
ついに、地元の大きなバンドのイベントに出場するほどの
人気を得るまでに成長します。


しかし、
主人公の病気の進行は早く、
彼らの大舞台を見る事無く、息を引き取っていきます。

いつも彼らを励まし、エールを送り続けた主人公はこの日、

「天国からのエール」を送るのです。




映画「天国からのエール」は、
主人公と高校生の日々を淡々と
映し出すところから始まります。


主人公と高校生が出会うシーンや、ミムラさん演じる奥さんに

反対されながらもスタジオを作るシーンなども、
淡々と進んで、いつの間にかスタジオが出来ています。


スタジオを作る物語と思っていると、

ココは話の中心じゃなかったんだ。と途中で気付きます。



また病気で感動を誘う物語かと思うと、
途中までは主人公の病気の話題は一切なくて、

むしろ主役は、桜庭ななみさんはじめとする、

高校生の青春ドラマといった印象です。



ストーリが盛り上がるのは、
主人公の病気が、奥さんにバレてしまうあたりからです。


ココまで病気を出さず、淡々とした演出をすることによって、

主人公が病気で無くなってしまう、それ以外の”何か”を引き出そう
として
いるのだと感じます。



舞台となった、沖縄県本部町は、”美ら海水族館”でも有名で、

私も数度訪れた事があります。
とても海の奇麗な場所です。


「何も無いところに、大人がそうしたんだ。」
といったセリフを、
高校生が主人公に言うシーンがありますが、

実際に住んでいる人に取っては、
そういった暗い面もあるのだと思います。
(これに関しては、どこの地方も似たようなものですが、)

また、
冒頭で主人公が、俺たちの小さい頃は、お金とか言わなくても、

「昔はいろんな人が助けてくれた。今の若い連中にはそれが無いわけよ」

といったセリフがありますが、
このセリフは、
「拝金社会」へのアンチテーゼであり、この点も、
考えさせられる部分が大きいです。


こういった、サブテーマに抱えているように感じました。


映画の後半では、今時珍しい、古いタイプの”いかにも”といった演出が
多用されていたように思います。

例えば、人が病気でなくなる時は、生と死はかなり曖昧なものですが、

主人公約の阿部寛さんは、はっきりと死ぬ演出をしています。

最後のステージで、桜庭ななみさん役が、声に詰まってしまうシーンなど、
少し
やり過ぎな印象を持ちました。


(もしも私が監督なら、最後のライブ映像でエンディングとして、
その後の様子は、クレジットと合わせて表現します。)


この映画のターゲット層はかなり40代を中心とした狭い世代のように
思われますが、そういった層を意識してのことかもしれません。

私は主人公と同じ40代として、
映画を見ながら
自分の残りの人生を考えずには居られませんでした。

※資料をみると、モデルの仲宗根さんは享年42歳ということで、

 私と同い年ということです。

 つまり、スタジオを作ったのは、30歳位なんです。



主人公は、自分の生まれ育った待ちに、
”音楽”という文化を
残して去って行きました。



「個人の欲望や野望は一代限りだが、夢や志は受け継ぐ人が現れる。」

夢や志は、自分の体が消えても、誰かが引き継いでくれると、
最近読んだ本に書いていました。



私は、いったい何を残せるのでしょうか?



ここからは、役者さんコーナ


ミムラさん

今回一番心に残った演技は、阿部寛さんとミムラさんの
結婚式のシーンで、
阿部寛さんが、病気の事を高校生に告白しそうになって
やっぱり止めたときの
ミムラさんの表情でした。


セリフは有りませんでしたが、何で正直に言わないの?
という
怒ったような表情から、主人公に「ありがとう」と言われ、
幸せそうな
表情に変わる演技が、とても良かったと思いました。

(映画ではミムラさんがとても素敵でした。)


阿部寛さん

主役の阿部寛さんは、個人的に好きな俳優さんで、

(イケメンの割にはこれまで、トリックや結婚出来ない男など、

など面白い系の役も多いので・・)

今回の演技のため、激やせしたり、モデルの仲宗根さんと
同じ美容院で
パーマをかけたりしたそうです。

パンチ系パーマが妙に印象的だったのですが、
そうゆう事だったのですね。

・・と今頃ネットで資料を調べて分かった次第です。



「ハヤブサ」より、こっちを選んでくれてありがとう。

舞台挨拶で阿部寛さんが言ったそうです。


人生にとって大切な事は何なのか、考えさせてくれる映画だと感じました。


人生の中盤にさしかかった方にお勧めしたい映画だだと思いました。


追伸)
この話は、もともとはNHKのドキュメンタリー番組として放送され、
その後、書籍「僕らの歌は弁当屋で生まれた・YELL」となったものが
原作ということです。


主人公のモデルとなった仲宗根さんが無くなってまだ1年も立って
ないとの事ですが、
そういった中で映画を撮るのは関係者一同辛い
面も有ったという記事を読みました。

スタッフの皆様。ご苦労様でした。


参考URL
天国からのエール | アスミック・エース
参考URL 熊澤誓人監督
熊澤誓人の映画作品 | 映画-Movie Walker


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