「ツレがうつになりまして。」この映画は大作です。

本日紹介する映画「ツレがうつになりまして。
これは是非みたい映画でした。

主演のお二人が、NHK大河ドラマ篤姫」コンビであるとか、
宮崎あおいさんが大好きとか、そういった理由ではありません。

純粋に映画のテーマ”うつ病”をどのように描くか興味があったからです。
加えて、予告編や広告からも力の入りようが伝わってきました。

うつ病”は、今時の多くの職場で問題となっています。
特に私の勤務するコンピュータ系の企業は、うつ病やその予備軍が多いと
云われておりますので、大変身近な問題です。

会社の研修などでも、”うつ病”について語られることがあるのですが、
”風邪のように誰でも起こりうるもの”という割には、なかなか実態を
理解しがたく、つい努力や気合いが足りない。と考えたり、
(映画にも出てきますが)応援するつもりで、「がんばれ!」と、
励ましてみたり、みたいな状況に陥っています。

たまたま近所の人が「うつ病」経験者でして、話を聞くことが
あるのですが、それでもなかなか正確に理解できません。

この映画を見て、(これが100%ではないにせよ)
うつ病」がどんなものか、少し分かった気がします。
※あくまで、”気”になっただけかもしれませんが。

一日中眠くて起きられない様子など、話には聞くのですが、
言葉で聞いても、なかなかイメージはできないものです。

この映画はエンターテイメント性に加え、教育的な側面を持っており、
映画を通じてこういった事を広く周知していくというのは、
重要な使命だなぁ〜。と感じました。

部下を持つ上司の方、旦那さんが真面目だったり、ハードワーカーな
方の奥様など、一度みておいたほうが良いかもしれないと思いました。


さて映画のほうですが、土曜日のレイトショーで見てきました。
いつもはほぼ貸し切り状態なのですが、ほぼ満席でした。
たまたま、いつもの席はすんなり取れたので、
今日も空いているだろう。と予告編の途中で入ったら、
「すいません」・・と頭を下げ下げ席に着く。といった具合でした。


映画は、ややゆったりとした印象ではじまります。
今日は面白くない映画かな。と少し不安になりますが、
途中からどんどん引き込まれていきます。

堺雅人さん演じる”ツレ”の病気がどんどん進行(進展?)して
行くわけですが、どこまでも、主人公役の宮崎あおいさんは、
とても良い奥さんを努めます。

それでも一度、
主人公の仕事である漫画の締め切りに追われ、
イライラして、”ツレ”と喧嘩するのですが、
私など短期なので、良くも一度の喧嘩で済んだなぁ〜。
と感心します。


”ツレ”はお医者さんからの勧めで、病状を自己認識するために、
日記を書いているのですが、後に病気が回復し、
主人公が体験記「ツレがうつになりまして」を執筆する歳の、
資料になれば。と主人公に渡します。
それを読む主役、宮崎あおいさんの涙をみて、
私もつられて泣いてしまいます。


映画の中で、宮崎あおいさんが、
「”ツレ”がうつになった理由を考える。」というセリフがあります。

病気の苦難を受け入れて、そこに何かしらの合理性を求めるという、
「身に起きることは、(どんな苦労でも)正しくて、何かしらの意味がある。」
という成功哲学の本に書いているような言葉です。

そして、
「”ツレ”がうつになったおかげで、二人は本当の夫婦になれた。」
と締めます。

また、堺雅人さんが、
「本当に大切な物は近く(奥さん)にあったんだ。」

というセリフは、独身の私には、特に心にしみます。
こんなに(綺麗で。笑)優しくて心から愛してくれる奥さんが
いたらどんなに幸せだろうか。と思います。
うらやましいです。

他にも、”つれ”を心から心配する職場の同僚や家族の方々など、
人は助け合って生きているんだなぁ。といったことも感じさせる
映画です。

このように、”うつ病”という直接的なテーマのほかに、夫婦愛や家族愛
などのテーマ性も盛り込まれています。

派手なセットやしかけが有る訳でもなく、ストーリーに大きな
泣き笑いや展開が有る訳ではなく、斬新な音楽やカット割りも
ありません。

そういった意味では、同じ邦画でも、前回ご紹介した「モテキ」の
反対を行くような演出ですが、心にしみる大作だと感じました。


さて、この先は思いついたところメモ。

□あおいさんを、さん付けするのは何故なんだろう?
 宮崎あおいさんの夫は、あおいさんの役名を
 ●×”さん”と”さん”付けで呼びます。
 たしか、「神様のカルテ」もそうでした。
 多くないですか?

□若夫婦なのに、古めの日本家屋に住むのは何故だろう。?
 「僕と妻の1778の物語」もそうでした。
 ちなみに、「神様のカルテ」は古い旅館に住んでました。
 どの場合も、サザエさんの家のような小さい庭があって、
 そこも重要は舞台の一つと成っています。

□「イグアナ」ってあんなに人になつく動物なの。?
 堺雅人さんが、「イグアナ」を長時間抱いているシーンが
 結構あります。
 人になつくのであれば、私も飼ってみたい気がしてきました。
 (爬虫類は、うるさくないし、泣かないし、臭くないし。という
 ことで、ペットに適している。という意見もありますらかね。)


演技面では、宮崎あおいさん、堺雅人さんは、いつも同じ感じ
といった感はありますが、安心して見ることの出来る演技でした。
あまりリアルすぎると、引いてしまうかもしれないので、
この程度が良い感じだと思いました。
また、納豆を食べるシーンなど少しコミカルな演出も入って、
数度場内で笑いが漏れました。


劇場で見ている方は、若いカップルからお年寄りの方まで
幅広かったのですが、この映画は年代や性別に寄らないと思います。
しみじみと感動に浸りたい方には、この秋一番の映画だと思いました。



http://www.tsureutsu.jp/index.html




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