「ゲーテの恋〜君に捧ぐ「若きウェルテルの悩み」〜」をみました。

ゲーテについて、
ファウスト」や「若きウェルテルの悩み」などの
代表作とともに、世界史の授業で習いました。

そのゲーテ「魔王」や「野ばら」などの沢山の詩に
シューベルトが作曲をしていることを、
こんどは音楽の授業で知りました。

ここでも、ゲーテが出てくるのかと、別の視点から、
その偉大さを感じたこともあります。
(・・いずれも、30年ぐらい前の話でございます。)


ゲーテという、その偉大な名前から思うのは、

人間、
どんな出来事があると、
ゲーテ程の人物になるのだろうか?

ということです。

「若きウェルテルの悩み」が、ゲーテの若き日の様々な出来事に
題材を得て作られたとすれば、なにかしら答えのヒントが見えて
くるかもしれません。

そんな期待をもとに映画館に足を運びました。


映画の導入部分は、ややゆったりとしていて、
時代背景が分からないと、難しい部分もあります。
主人公であるゲーテは、なにかしらの試験(映画のホームページに
よると、法学の博士号の試験とのこと)に落第し大学を去ります。

そして父のツテで、地方裁判所の書記官見習いとして働き始めます。


映画をみながら、最初に印象に残るのは人々の生活の様子です。

町並みは、立派な石造りの建物ですが、
道路はどろどろにぬかるんでおり、女性の履く丈の長いスカートの裾は、
泥で汚れています。
しかし、女性達はそれが普通であるかのように歩いています。

もしも、日本人だったら、
ぬかるんだ道を通る時には、大切な洋服が汚れるようなことはせずに、
裾を上げたり、高い下駄を履いたり、何かしら工夫すると思います。


こういった観点で映画をみると、
ちょっと歴史の勉強をしている気分になったりします。

映画の演出と思うのですが、導入部分では時代背景を説明し、
途中からどんどん、ゲートとヒロイン(ブッフ)の物語に入って
いきます。


映画で分からない点は、ゲーテとブッフは深い仲になりつつも、
その少し後に、ゲーテの上司から求婚された際に、
「喜んで(求婚をお受けします。)」と答えることです。
そのとき、ゲーテのことは頭に全くなかったかのようです。

しかし、求婚を受けた後、ゲーテを忘れられないブッフは、
夜な夜な泣いています。

上司が誰に求婚するかもしらず、ゲーテが教えた求婚のセリフが
文学少女である、ブッフの心に響いたのでしょうか?
そんなことって・・。

40代独身サラリーマンには、この女性の気持ちは分かりません。


ブッフとの復縁を願い、
二人のストーリーを「若きウェルテルの悩み」にまとめ、
その締めくくりとして、ゲーテーは自殺するシナリオにしました。
ブッフは結局、ゲーテの上司と結婚してしまい、ゲーテの願いは
かなえられませんでした。

自殺未遂を犯したゲーテは、失恋の心の痛みのなか、父とともに、
実家に帰る訳ですが、同じ男として大いに共感するものがあります。



映画「ゲーテの恋〜君に捧ぐ「若きウェルテルの悩み」〜」は、
全体的な色合いや演出など「アマデウス」とよく似た印象を持ちました。

モーツアルトのような激動の人物の生涯をまとめた訳では
無いので、「アマデウス」ほどのストーリー展開はないのですが、
逆にひとつひとつの出来事が丁寧に描かれていました。

映画の長さ、無駄なカットのなさ、音楽などは上質で感じ良い物
でした。また、近世ヨーロッパの雰囲気も味わうことが出来ました。


モーツアルトと同じように、ゲーテにも地位のある、教育熱心な
父がおり、金銭面だけではなく、時に息子を気にかけ下宿に顔を
出しお説教をします。
ダメ息子であるものの、父親の云うことには素直に従います。
こんな点もこの映画では見逃せないポイントのひとつです。


面白い系の映画ではありませんが、秋の夜長に心に染み入る映画です。


結局のところ、ゲーテゲーテになり得たのは、
若き日の失恋のおかげということになりそうです。

失恋によって、全てを失ったかのように思われることも、
無駄ではなく、その人を作る肥やしとなるということでしょうか?

そして、もう一つの教訓は、答え(相手の婚約など)が出てからでは
何をしても、手遅れになる。
ということだと思います。

”良い女性がいたら、速攻で。”
これがゲーテとこの映画
ゲーテの恋〜君に捧ぐ「若きウェルテルの悩み」〜」
から得られる、最大の知見かもしれません。


そういった意味では、やはり男性の方には見て頂きたい映画と思いました。


参考URL
http://goethe.gaga.ne.jp/

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