天野雅博著「貧乏は完治する病気」を読みました。

若い頃、事業を立ち上げ、上手くいかず、
藁をもつかむ思いで、必死にビジネス本を読みあさり、

・・いろいろやってみたけれども、
結局失敗した。

・・という話を最近読みました。
(※もちろん私のことではありませんよ。)

その方は、
再起を図るためもう一度事業を立ち上げるのですが、
その際に、もう一度ビジネス本を読みあさって実践したところ、
(ビジネス本に書いていることが)上手くいくようになった。
とのこと。

その方なりに原因を分析すると、
ビジネス本を書く人は、そこに至るまで、
沢山の失敗や、何かしら不幸な出来事を積み重ねているのですが、
その部分は、多く触れていません。

失敗経験の無い人が、いくらビジネス本を読んだとしても、
本に書かれていない、大前提やコツのようなものが分からないため、
上手くいかないのではないか。
ということでした。


さて本書でも、
著者である天野雅博氏が、冒頭に触れているのですが、
人生に多大な影響を与えるのは、次の4つのうちどれかと云います。

 1.大きな病気にかかる。
 2.会社の倒産や自己破産などの経済的な打撃をうける。
 3.大切な人と別れる。
 4.犯罪を犯して刑務所に入る。

どれをとっても、映画が1本作れそうな不幸な出来事ことです。

逆にいうと、
これ位のインパクトが無いと、
人生は変わらないということかもしれません。

著者の天野雅博氏は、上記の4つを全て経験したと云います。
幼くして親に捨てられ、大病にかかったりして成長するのですが、
不良の道に入り、刑務所行きです。

成人する頃には、誰も雇ってくれる人はおらず、
「自分で事業を興すしかない」境遇と成ってしまいました。
(そうゆうことって、あるんだな。と感じます。)

人間、起こることは全て必然とも云いますが、
もしも天野氏が、普通に成長して大人になったとしたら、
今の成功は無かったかもしれません。

「お金持ちになるためには、学歴は関係ない」
とも云いますが、
天野氏は、その言葉を地でいく人物と思いました。

天野氏は、若い頃から商才があったようです。
(最初に始めた商売である、)
普通のお皿に絵を描いて、付加価値を加え、
1万円という値段で売るなど、普通の感覚では想像できません。

お皿はスーパーに行けば、数百円で買える品物です。
これ以上の値段で売れるとは、一般人は思わないのです。

しかし、安かったら売れなかった。と天野氏はいいます。


本書は、
良い大学を出た、自称コンサルタント氏の書いた本よりは、
かなり良いと思います。

読んでみるとわかるのですが、
大変読みやすい文体であり、また沢山の知識や教養を兼ね備えた
人物の筆であることが分かります。

これまで相当な苦労をされ、
勉強したに違い有りません。


「貧乏は完治する病気」という題名から、
少しだけイメージが違った点は、
どうせ、このタイトルを付けたならば、

どういった治療をすれば、
どんな薬を飲めば、完治する病気なのか
答えを、”ずばっと”書いてほしかったように思います。

貯金のやり方とか、お金の貸し借りなど、
沢山の内容が書かれている訳ですし、
せっかくここまで書いたら、もっとタイトルに忠実になっても
良かったのでは無いかと感じました。


しかし、先にも書いたように内容は良く、
例えば、お金を水に例えた話などは、とても勉強になります。

 Aさん → バケツで水をくんで自宅に蓄える。
 Bさん → (みんなで)水路を造り、いつでも使えるようにする。


Aさんのように、
個人が自分のために、こつこつ貯めた水(つまりお金)は、
Bさんのように、
みんなで水路を造り得られる用水よりも遙かに小さく、
しかも、貯めた水は使わないと腐ってしまう。

という話です。

ビジネス本などでは、こういった例にを読んで、
大いに感動したりするわけですが、
はたして、どのように実践したら上手くいくか。
が個々人に求められると思います。

水路を作ると云うことは、
つまり、
みんなが喜ぶ何かを作りなさい。
そうすれば、自然にお金が流れてきます。
という意味です。

また、月々、例えば30万ずつ稼ぐ(年間360万)よりも、
120万を1年で3回稼ぐほうが簡単で、
サラリーマンがお金持ちになれない理由はそこにある。
と書かれています。

説得力を感じましたが、120万稼ぐイメージが全くない
私にとって、”どうすれば”が良いのか分かりません。

貧乏人の病気とは、この点にあると思います。


冒頭の話に戻りますが、天野氏の経験した失敗談こそ、
我々が本当に読むべき本かもしれない。とも感じました。



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