「アントキノイノチ」をみました。

毎日チェックしている、
糸井重里さんのサイト「ほぼ日」で、
糸井さんが、こんな事を書いていました。
(少し曖昧な記憶で書いています。)

人間は、
ある歳(50歳ごろ)を過ぎると、3つの人に分かれる。

 ・ひとつは、元気な人。
 ・ひとつは、病気の人。
 ・ひとつは、いなくなった人。

歳をとっても元気な人は、
本人だけでなく、周りの人も幸せにする・・・

と続きまして、歳を取ってなお健康であることの
重要性を説いているのですが、

私個人的には、”3つの人”の話に大いに興味を持ちました。

人生は、40年も生きると、
この先が3つに分かれていくだろう事が、容易に想像が付くわけです。
あと10年経ったときに、
私は3つのうち、どの人になっているのだろ?

そんな事を考えて日々を過ごすのですが、
もしかすると、
この映画のヒロインのように、
明日、突然死んでしまうかもしれません。

そのとき思うのは、
案外良い人生だったと思うのですが、
後悔があるとすれば、
親よりも早く死んでしまうことと、
部屋にある、膨大なゴミの山です。(凹)


映画「アントキノイノチ」の舞台は、
亡くなった方の部屋を、遺族に代わって片付けるのが仕事です。

歳をとり孤独死した現場では、
壊れた家電製品が修理もされずそのままだったり、
沢山のゴミの山で散らかっていたりします。

こういった様子は、歳を取ってだんだん死期が近づくと、
修理や掃除がおっくうになり、放置されるようになる。
映画のセリフで、主人公の上司である原田泰造さんが説明します。

それでも、映画なので、
あまり悲惨にならないように表現しているのだと思いますが、
孤独死の現場の映像からは、悲しい臨場感が伝わってきます。


そして再度、私部屋の汚いゴミの山の映像が頭をよぎります。

俺って死期が近いのだろうか?
とか、ふと思うと、

個人的に集めた、少々恥ずかしいコレクションの数々が、
死んだ後どうなるのか最も気になります。
そういえば、最近「オタクの逝き方」なる本も
注目を集めているといいますね。


映画「アントキノイノチ」の
主人公の岡田将生さんと、ヒロインの榮倉奈々さんは、
自分がどうして生きているのか、悩みながらも、
それでも懸命に生きています。

二人は、高校生時代の悲しい出来事で心が傷ついてしまい、
本当はもう死んでしまいたいのです。

映画は、主人公の、遺品整理の仕事を中心にした現在と、
高校生時代の過去の出来事を織り交ぜながら進んでいきます。

主人公が遺品整理の仕事を始めるに当たり、
ヒロイン榮倉さんは、歳は同じでも仕事では2年先輩でした。
色々な事を教わりながらも、懸命に働きます。

いつしか、
岡田さんと榮倉さんの二人は引かれ合い、
そして恋に落ち、
そして分かれて行くのですが、

若い頃は誰でも持ち合わせていたような、
切なさや恋の感情表現を、上手く表現していると思いました。

例えば、
榮倉さんは、こっそり岡田さんの写真を撮っていたりする
のですが、確かに学生の頃はそんな感覚はあったような気もします。
(もちろんデジタルカメラはありませんでしたがね。)

また高校時代の回想では、
友人が学校で自殺する場面や、所属する登山部の登山で、
同級生役の松坂桃李さんが滑落しそうになる場面など、
ここまで必要ないのではないか?
と思うぐらいのリアル感な映像表現が時に挿入されます。
(このシーンはどうなっているのか確認しようと映画のパンフレットを
購入したのですが、載ってませんでした。この点は少し残念)



この映画は、予告編をみたときに、絶対に見ようと思いました。
この手のストーリーは大好きです。
(原作が「さだまさし」さんですし・・・。期待も大きいです。)

ただ内容が、「さださん」の有名な曲でもある「精霊流し」のように、
思いっきり暗い映画であったらどうしよう。

とか思い、少し考えるのですが、
映画の榮倉奈々を見たかったことも重なり、
この秋一番みたい映画のひとつとなっていました。

はじめて映画館で見た榮倉奈々さんは、
丸顔なのに体がほっそりしていて、
足が長く、後ろ姿もとても綺麗で意外でした。

大概、丸顔の人は、体もずんぐりむっくりしている訳ですが(失礼・・)

演技に関しては、
台詞回しというか、演技がとても自然で、普通に会話をしているかのようです。
宮崎あおいさんも同じような傾向なので、
最近の若い女優さんは似たような傾向があるのかもしれないと感じました。


先にも書きましたが、最後のシーンではヒロインの榮倉奈々さんは
死んでしまいます。
その部屋の遺品を主役の岡田さんと、
先輩社員である原田泰造さんが、片付けることに成るわけですが、
そのシーンでは、正直涙がとまりません。


(きっと)ヒロインの残した恥ずかしい遺品の一つは、
主人公をこっそり撮影した写真なのです。
分かれた後も、大切にとっておいた写真を見ながら、
スクリーンの岡田さんに感情移入してしまし、
そして一緒に泣いてしまうわけです。


映画「アントキノイノチ」は、
秋の夜長、感動に浸りたい方にはぴったりの1本だと思いました。


http://antoki.jp/index.html


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