小林一郎、栢原伸也共著「脱・社内奴隷」を読み「ルール」を疑うことの大切さを感じました。

本日は、小林一郎さん、 栢原伸也さん著の

「脱・社内奴隷」
「伝説の先輩」が教える幸せに成る為の仕事のルール

をご紹介します。

2010年に出版された本ですが、

タイトルに、「社内奴隷を脱する」という
刺激的な言葉を用い、

そして、アマゾンの評価も高い一冊です。


社内奴隷といいますと、
少々きつい単語表現のように感じますが、

しかし生活のために、
ヘトヘトになるまで働いている。
まるで奴隷のようだ。
と考える人も多いのではないかと思います。

私も多少なりとも、そういった気持ちがあるので、
興味をもって本書を購入しました。


著者の小林一郎さん、栢原伸也さんは、
もともと味の素、ベネッセという日本を
代表する企業に勤め、高い実績を上げた方です。

現在は会社を辞め、起業や大学の先生
をして活躍をしています。

本書のタイトル表現を借りれば、
「脱・社内奴隷」
ということなのかも知れませんが、
しかし本書は「脱・社内奴隷」のために、
転職や起業などを推奨する内容ではありません。


本書は、
仕事をしながら、多かれ少なかれ感じる
従属意識(奴隷意識)や拘束感をどうやって改善するか
がテーマのように思います。

そのための方法として、
様々な内容を論じており、
統一感に欠ける部分を感じますが、

全体的には、
組織には明文化されていない
「普遍的ではない独自の(暗黙の)ルール」があり、

そのルールの解釈やとらえ方を間違えないことが大事。
といったことのように思います。


本書にある印象的な「ルール」をご紹介すると、

マーケティングとは接待のことだった
 国内でマーケティングに強いと云われる会社で
 実績を上げている人でも、やっていることは、
 代理店の接待攻勢だったりする。

 MBAで云うマーケティングとは全く別のもので、
 ヘタに外資系の会社にヘッドハンティングなど
 されたら目も当てられない。

□ルーティンワークをこなすのが仕事
 どんなに優秀な人でも、ルーティンワークの量が
 増えると、どんどん想像力が失われ、
 本来するべき創造性が求められる、
 高付加価値の仕事が出来なくなってしまう。

□毎日沢山の仕事や練習をする
 日本では得てして毎日朝から晩まで仕事をする
 人が評価される。

 例えば、お相撲さんは毎日激しい練習をしたら
 怪我をしてしまうが、
 ちょっと練習を休んでいると、
 やんや云われ評価が下がる。

 大切な事は、仕事や練習の量ではなく、
 成果を出すことなのだ。

□英語の勉強
 仕事のためにと思って、英語を勉強している人は多いが、
 いったい労働時間のどれだけの割合が、
 英語を必要としている業務なのだろうか?

 もちろん、英語中心の企業や、
 好きで英語を学ぶ分には問題は無いが。。。

□コスト削減
 中国に出張に行った際、近くの日本人ビジネスマンが、

 「我々もこんな高級ホテルに泊まれるようになった。
 等と喜んでいないで、3,000円のホテルに泊まって
 頑張るぐらいでないと、現地の人達に勝てないな」
 と話していた。

 確かにコスト意識は大切ですが、
 安いホテルに泊まったことによる不便さや、
 セキュリティー面などのデメリットを考えると、
 単純に金額の大小では無いはずです。

etc.

少し前に勝間勝代さんの本を紹介しましたが、
表現は違えども、
本書でも似たような事が書かれています。

どちらも、

本質を見失わず、
高付加価値の仕事をし、
生産性を上げるためにはどうすべきか。

ということが根底にありそうです。


個人的に興味深かった話は、
ラーメン屋は誰が忙しいか?と言う話です。

直感的には、
ラーメンを作ったり給仕をする、
料理人や店員さんが忙しいように思います。

しかし収入で考えると、
もっとも高収入なのはラーメン店のオーナーで、
どこにラーメン店を作るか、味はどうするかなど、
戦略を考えるのが仕事です。

以前に、

奥山真司さん著
「世界を変えたいなら一度"武器"を捨ててしまおう」
http://hatena.gwbg.ws/ahia
にも似たような話が書かれておりまして、

本書でも、日本人は技術やオペレーションに
こだわりすぎる。
と指摘されています。


本書の最後には、
入社15年で課長になる。・・・

・・・と書かれていたのですが、
40年ある会社人生の中で、管理職になってからの
残りの25年をどのように過ごすのか。

これが「脱・奴隷」考える上で、
最も大切なことではないかと感じます。

この点に関して本書から得られるヒントは、
目の前にある「人・物・金」にこだわらない。
という事なのですが、

何のために仕事をするのか。
という事を考えてみても、

特に「金」にこだわらない。
等は、特に難しいのではないかと感じます。


このように本書を通してみると、
「脱・奴隷」の言葉とはちょっと遠い印象で、
物足りなさ、消化不良感は確かに有ります。

しかし、真面目な内容でありまして、
ご紹介したように、参考になるネタは多く
含まれる一冊ではないかと感じました。




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