マネー・ヘッタ・チャン著「ヘッテルとフエーテル 本当に残酷なマネー版グリム童話」はやはり面白い本です。

勉強会のある先生が、
お勧めの童話の本を紹介してくれました。


※アマゾンにリンクします。

特に一番面白かったのが、この

「ぼちぼちいこか」

でして、

色々な職業に憧れるサイ(動物)が、
身体が大きく体重が重かったりして失敗し続ける。

そんな絵本です。

もとは英語の絵本で、
最後のセリフの

Take it eazy を
「ぼちぼちいこか」に翻訳しています。

この本の訳が絶妙でして、
興味のある方は読んでください。


・・こうしてみると、童話と言っても、
私の小さい頃の童話とは全然違うジャンルの本
という感じがします。

私の時代は、
「アリとキリギリス」や「うさぎとかめ」など
動物系が多いイソップ物語や、

「あかずきん」や「白雪姫」など
人間系が多いグリム童話が代表的な物でした。

前者はどちらかと言えば、人の生き方を説いていて、
後者は子供が読むファンタジーの世界を感じます。

これらの童話は古くから日本に入っており、
イソップ物語等は宣教師とともに戦国時代には
日本にやってきております。

本格的に広がるのはどちらも明治期に入って
からですが、いずれにせよ童話から得る
影響はとても大きい物があります。


という訳で、本日はマネー・ヘッタ・チャンさん著、

「ヘッテルとフエーテル
ー本当に残酷なマネー版グリム童話

をご紹介します。

以前に「マッチポンプ売りの少女」をご紹介しましたが、
http://d.hatena.ne.jp/h6takahashi/20121113/1352847723

やや週刊誌ネタ的とは言え、
個人的に、とても面白く、

アマゾンの書評を読むと1冊目の

「ヘッテルとフエーテル

のほうがもっと面白いといった意見もあり、
早速読んでみることにしました。


著者のマネー・ヘッタ・チャンさんは
どんな人なのか?いったい何者なのか??

全く分からないのですが、
本当は著名な人ではないかと思います。

しかし本書のような、
世の中の理不尽な実態を、

皮肉というか、
風刺するというか、

そんな本の内容からして、
本名は明かせないさそうですね。

本文の後書きを読むと、
他にも面白そうな本の企画を上げています。
しかしアマゾンで調べる限りでは
現在この2冊しか無いようです。

・・と書いたところで、
今頃発見しました。

マネー・ヘッタ・チャンさんのブログです。
しかも私と同じ”はてな”だったという・・・

マネー・ヘッタ・チャン 物語るモノガタリ


それにしても、
こんな本を出す人も凄いし、
こんな本を出す出版社も凄いと思います。

こういった本は悪評も沢山書かれると
思うのですが、私は大好きです。

本書の内容は、極めて週刊誌のネタ的なものです。

読んでいて、
ネット詐欺や私も何度か紹介した、
某女史の悪口の話などは、
内容を感心するものや、
悪い冗談と割り切って明るく読みましたが、

寄付団体や大手銀行、政府の影の話は、
読んでいて暗くなってしまう印象でした。

この違いを何かと考えてみると、
前者は特定のある個人の悪い話であるのに対し、
後者は起業や政府など大きな組織が関与している
悪い話ということです。

本を書くに当たり、前者も後者もどちらも、
おもしろおかしく脚色しているのかと思うのですが、

解説を読んでみると、後者の場合事実はもっと悲惨で、
犯罪や亡くなる人が出るほどの悲劇だったりする
話もあるそうです。


ただ、内容が残念と感じる部分も確かに有り、
少し内容が寂しいと感じたのは、

年金が破綻するので、老後に備え貯金しましょう。
・・といった締めです。

年金が破綻する頃には、
円も余裕で破綻していそうな気がします。
あと一歩のコメントが欲しかった気はします。


後書きにマネー・ヘッタ・チャンさんが
本書を書いた理由が書かれています。

多くの童話は、
子供の頃に親に読み聞かせてもらいながら、
道徳や人とのつきあいを学びます。

例えば「あかずきんちゃん」は
道草を食べては行けない。
というお母さんの言いつけを破って、
オオカミに食べられてしまいます。

この例は、親の言いつけを守らないと、
失敗して痛い目に遭うことを学ぶのですが、

しかし、童話には、
人生で大切なお金に関する話が無く、
本書を書くきっかけとなったそうです。

個人的には、かなり辛辣な内容となっており、
「童話」の持つイメージとちょっと
離れている印象もしますが。。


本書の中で私が一番心に残っているのは、

「今だけが旬の本」

という表現です。

私も沢山の本を読んでいますが、
確かにそんな本が多い気がします。

本書もその一つだと思いますし、
今頃ご紹介するのもすでに何年分遅れています。

少し悪いことも書きましたが、
それでも本書は面白く、
手元に置いておきたい一冊と思います。


 
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