「フライト」はパニック映画というよりも、ヒューマンドラマでした。

映画「フライト」を観てきました。

往年の名作、エアポートシリーズを
彷彿させる予告編を見て、
この映画は見たいと思いました。

個人的に飛行機パニック映画は、
大好きなのです。

ところが映画が始まると
いきなり、

裸のお姉さん

に釘付けとなります。
これは予想外の展開です。

飛行機のパニック映画なのに、
このシーンは必要なのか?

・・これは素朴な疑問です。

そして、
予告編を見たからなのですが、

ベット横にあるアルコールを
飲むシーンが少々気になります。

この印象的なオープニングは、
映画のクライマックスで効いてきます。


そのあと映画の早い段階で、
期待していた飛行機の落下シーンがあります。

危険度からして、
映像は絶対にCGだと思うのですが、
メチャクチャリアルな映像です。

使用されている航空機はよく分かりませんが、
コックピットが液晶(グラスコックピット
でしたので、
DC-9(MD90)系ではなくボーイング717あたり
かと思いますが、これ以上は分かりません。


それにしても、
エアポートシリーズでも、

こんなに急落下したことは無かったのでは
ないでしょうか。?

・・という位、飛行機が落下し、
そしてどうにか不時着します。

期待したシーンが終わり、
これからどんな展開になるんだろう?

・・と感じるのですが、
映画はここからが始まりです。

アクション映画と思って見に行きましたので、
映画を見ながら、少し中だるみ感を感じました。


しかしこの中だるみのシーンから、
この映画が、パニック映画出はなく、
ヒューマンドラマということが、
分かってきます。


先日観た「世界に一つだけのプレイブック」は、
精神を病むカップルの恋愛ドラマでしたが、

「フライト」は、
アルコール依存症&薬物依存症
をテーマにしたドラマでした。


主人公は、アルコール依存&薬物依存を隠し、
国内線の機長として業務を行っています。

飛行機の昇降舵の破損により、
操縦不能となり急落下した旅客機は、

主人公の極めて冷静沈着かつ奇跡的な操縦により、
郊外の広場に胴体着陸します。

残念ながら6人の乗客が亡くなってしまうのですが、
それでも、100名近い人命を救う訳です。

しかし、
墜落後怪我をし搬送先の病院で、
アルコール中毒の主人公の身体からは、
当然のようにアルコールが検出され、
このままでは、
彼は犯罪者として刑務所に入りです。

そのとき、
彼を守りたい、友人や弁護士が登場します。

彼の本来の人柄と、
奇跡の操縦が、友人や弁護士の心を打ち、
主人公が不利とならない状況を作りだすのです。

クライマックスと成る、
事故検証の公判のシーンでは、
事故の原因が昇降舵のネジの破損であることが
証明されます。

しかし、
調査官は主人公がアルコールを
飲んでいないかどうか追い詰めます。

そのシーンで初めて、
冒頭の裸の女性が、
飛行機の墜落中に必死で子供を守って
そして亡くなったCAであることが分かります。

彼女もまたアルコール中毒だったのです。

機内で飲まれたアルコールは
誰が飲んだのか?

調査官は主人公に問い詰めます。

亡くなったCAの彼女か、
主人公かと。

<略>

人間は、一つの心で、
素晴らしい面と、悪い面を同時に持ちます。

映画では、
100名の命を救った人物と同じ人物が、
一方ではアルコール&薬物中毒者なのです。

 彼は英雄なのか、彼は犯罪者なのか

映画のコピーですが、
そういった人間の複雑な内面を表現しているのが、
映画「フライト」ではないかと感じました。


映画を見る前は、
飛行機パニック映画+α程度と予想したのですが、

見終わってみれば、

アルコール依存、薬物依存、
主人公を救おうとする友人知人、
恋愛に加え、
真実や正直に生きることとはなにか。

そんな沢山のテーマを追った、
極めて重い映画でした。

なかなか見応えのある映画ですが、
酒や薬に溺れるシーンがこれでもか。
という位出てきます。
そしたこともありR指定です。


映画の最後で
刑務所の彼の部屋が映し出されます。

子供や元妻の写真、昔の彼女の写真、
そして事故後の病院で出会った、
彼女の写真にクローズアップします。

その写真は主人公が、
彼女のデジタルカメラで撮影したものです。

彼女は、
アルコール中毒の主人公がイヤになり、
出て行ったのですが、

この写真が映し出されると言うことは、
つまり、
彼女が刑務所に訪れて、
彼に写真を渡したということなのです。

後半特に重い印象になるこの映画に、
救いを与えるカットです。


映画「フライト」は、
人間と社会のもつ複雑な内面を、
航空機事故というアクションシーンに
オブラートに包んで表現しています。

これもアメリカなんだと感じた映画でした。


http://www.flight-movie.jp/index.html


 
★★★ ツィッターやってます! ★★★

   https://twitter.com/h6takahashi


今日のアクセス:142,710