大津 秀一 (著) 「感動を与えて逝った12人の物語」を読み、自分の目指す人生の最後の姿がイメージできました。

二十歳を過ぎると、
毎日沢山の脳細胞が死んでいく。

子供の頃そんな話しを聞いて、
なんというか、
少し暗い気分になったのですが、

最近では、
この説が必ずしも正しく
無いことが分かってきました。

定量の脳細胞は死んでいく
のは変わらないのですが、

経験を積み・頭を使うことで、
細胞を繋ぐ神経ネットワークが
複雑化するとか・・・

詳しい仕組みは説明出来ないのですが、
こうした学説が発表されたのは、
1999年頃のようです。

比較的最近の話しですね。

先日紹介した40代の本にも、
身体としてのピークは25歳位だが
精神的・脳的にはそのあとも成長する。

といった事が書かれていました。

歳を取ると脳は衰えるばかり。と、
歳を取っても脳は成長する。とでは、

本を読んで勉強しよう。のような、
やる気に大きな違いが出てきますね。


ところで、
かの吉田松陰は、
捕らえられた牢獄の中でも沢山の本を読み、

牢からでられるか分からず、
この先死ぬだけなのに、
勉強しても仕方ないじゃないか。

という周囲の声に対し、

死ぬと云っても生き物なので、
それまでは毎日飯を食うわけだ。
動物と違う訳だから、
人は死ぬ直前まで進化しなくてはいけない。

そんな事を言ったそうです。

また若くして処刑され命が惜しくないのか。
という声に対しては、

若かろうと年を取ろうと、
死ぬのが怖い人は怖い。
関係ない。

どんなに人が長生きしても、
天の時間に比べれば誤差みたいなものだ。

そんな事も言ったそうです。

彼の凄さの一つは、
20代にしてそのような達観した
死生観をもっていたことに
あるように思います。

その原動力の源は、
獄中でさえ1日2冊もの本を読んだ
という読書力にあるような気がします。

一方私の場合、
人生も半ばを過ぎても、
吉田松陰の世界には程遠いわけですが、

人生最後まで勉強し、
そして進化していくという思想は、
引き継いで行かねばならないと思います。

そして目指すは、
ある日ぽっくり死ぬことですな。


・・という訳で本日は、大津 秀一さん 著

「感動を与えて逝った12人の物語」

をご紹介します。

医師であり、ホスピタルに勤務する
大津秀一さんの著書は、これまで

「死ぬときに後悔すること25」
「死ぬときに人はどうなる 10の質問」


↑アマゾンにリンクします。

の2冊を読みました。

最初は「死ぬときに後悔すること25」の、
そのタイトルが気になり読んだのですが、

意外だったのは、
後悔する内容が予想に反して普通というか、
平凡だったことです。

これは!という予想外な何かはなく、
生きていれば誰でも思いそうな事と感じました。

今回読んだ、

「感動を与えて逝った12人の物語」は、

そのタイトル通り、
著者の大津秀一さんの患者さんの中で
印象深かった12人の物語が紹介されています。

「あやまっちゃダメよ・・」と、
新人の頃、注射を失敗しても
痛いそぶりも見せなかった元看護士さんや、

若い医者の勉強のためになればと・・、
ひょうひょうと、診断を受けていた男性の話、

「しあわせ・しあわせ」が口癖のおばあちゃんや、
80代なのに20代のような凜とした女性。

・・・どれも感動を呼ぶ話しばかりです。


私も病気になると、
一番良いお医者さんにかかりたい。
などと思うわけで、
正直自分よりも若いお医者にかかるのは不安です。

しかしこうした本を読むと、
孫のような年齢の医師に、
不安や不審な感情をひとつも出さずに、
治療を受ける人も多いように感じました。

日本人というのは、
たいしたものだと感じます。

予想される時間よりも、
長く生きた人も著者の印象に残ります。

どうすれば長生きできるのか。
情報として気になるのですが、
正直なところ理由は分からないそうです。

著者の印象では、
病気と共存する姿勢や明るい性格の方が
そうした傾向にあるのではないか?
と書かれています。

病気の原因の多くはストレスであり、
笑うことで免疫力が上がる。
などとも言いますが、
きっとそうなんだと思います。


私が印象深かったのは、
着物作りをしていた男性の話です。

彼は東京帝国大学(つまり東大)を卒業し
ながらも戦争に徴集され、
奇跡的に生き残りました。

戦争が終わり東京に帰ったときは
何も無い焼け野原になっていたそうです。

「僕は一番になりたかった」

彼はそういいました。
そして「一番」になるために、

日本文化の極みである着物の世界で
一番になることを目指しました。

大学で経済を学んだ彼は、
仕事でもその知識を活用し、

そして世界で仕事ができる、
つまり着物の世界で一番になるような
会社を作り上げたのです。

彼がしたいことは、
戦争で負けたとはいえ、
世界一の日本を創りたかった。
のだと著者は感じました。


死にゆく人達になぜ力を尽くすのか?

そんな彼が病院に入ってきて
最初に疑問をもったのは、

彼が大学で学んだであろう、
経済合理性に反する、
死にゆく人達への医療行為でした。

著者は上手くは説明出来ませんでしたが、
しかし、そこにも価値があることを
分かってもらえました。

病床おいても常に沢山の疑問を持ち、
自ら考え学ぶ姿勢に加え、
もともと博学で話しも面白いことから、
沢山の人が話しを聞きに彼の病室に
集まったそうです。

なんというか、
吉田松陰のようではありませんか。

私の目指すべき姿はこれではないか。!

これでまたひとつ、
人生の問題が解決した。
そのように感じた今日の一冊でした。



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