橘 玲(著) 「大震災の後で人生について語るということ」は震災や人生というより、今後の経済を考える一冊です。

ネットのニュースを見ておりますと、
ときおり東日本大震災の、
がれき処理の様子が出てきます。

象徴的な被災現場である、
枯れてしまった一本松を保存する様子や、
ひっくり返ったSL、

柱だけ残った庁舎や乗り上げた大型船。

それらを残すのか、解体するのか。

・・そんな記事が話題となっています。


この想定外の悲惨な震災を経験し、
日本は大きく変わる筈・・・
・・・だったのですが、

現実はどうなのでしょう?

震災から2年が経過し、
そんな事を思いながら本書を読みます。

・・という訳で、本日は橘玲さん著、

「大震災の後で人生について語るということ」

をご紹介します。

私にとって、
橘玲さんの本は”ある意味”ハズレがありません。

膨大な資料に基づく内容や、
私が普段考えないような、
新しい視点で世の中を切り取り解説してくれます。

しかし、これからどうすべきか。
という点ではやや実現性に乏しい面もあり、

本に答えを求める人にとっては、”ハズレ”です。

私個人的には、そういった予想が困難なことを
自らの頭で考える事が大切と思います。


本書は前回ご紹介した、
「残酷な世界で生き延びるたったひとつの方法 」

↑アマゾンにリンクします。

の続編的位置づけとして
書かれたものということです。

そこで私は、

「残酷な世界で生き延びるたったひとつの方法 」
「大震災の後で人生について語るということ」

の2冊を同時に購入し、出版順に読みました。

今回「大震災の・・」を読んだ率直な印象は、

タイトルにも書いたとおり、
大震災や人生という言葉と内容は殆ど関係ない。
ということです。

著者の解説によれば、
震災が起きる前に予定していた企画を取りやめ、
急遽本書の原稿を書き起こしたそうです。

ですから、
震災の後で人生を考え本書にまとめた。
というのは著者にとっては確かなことですが、

残念ながら本書を読んだ印象は、
個人(各家庭)と日本国の収支バランスに
代表される経済的な内容が
大部分を占めているように感じました。

本書では、
はじめに「ブラックスワン」という、
それまであり得ないと云われていたことが、
実際におきてしまうこと。を例えに出し、

地震の予知が不可能なことや、
様々な経済現象(特に経済危機的な現象)が
これからも起きるであろうことから
話しが時まります。

その後、株価の歴史や、
日本国の収支(バランスシート)状況
金利や債券価格、自殺率やリスクテイクなど
様々なデータが紹介されます。

そして最後に結論づけられるのは、

伽藍を捨てバザールへ飛び出よう。

という前作と同じ話題でした。
「残酷な・・」と少し違った点は、

伽藍とバザールについて、
バランスシートを用いて、
収支構造の面から説明を加えていることです。

ざっくり説明すると
会社や年金からの収入の一本化や
自宅という不動産資産の一本化から、

知識や経験から多様な収入を得る方法を考え、
株や各種再建、金や外貨などに資産を分散する。
ということです。

国債が持つのはあと数年という記述も
本書内にはあり、

なんとなく、
来るべき国債の崩壊を考慮し、
今からリスク分散しましょう。

そのような事を暗示する
内容かも知れないとも感じる点もあります。


という訳で、途中でも書きましたとおり、
本書はは震災とか人生というより、

本書に示される、様々な情報やデータから、
これからの私たちの家庭と日本の経済を
考える一冊です。



追伸)
本書を読み終え、ブログを書きながら
めくって気付いたのですが、
表紙の裏に次のような事が書かれています。

本当は、このタイトルでだせば良かったのでは
無いかと思いました。

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  <お金とリスクの経済入門>
  斜陽の国の
  明るい人生設計

PART1 日本人の人生設計を変えた四つの神話
  1. 日本を襲った二羽の「ブラックスワン
  2. 不動産神話 持ち家は賃貸より得だ
  3. 会社神話 大きな会社に就職して定年まで勤める
  4. 円神話 日本人なら円資産を保有するのが安心だ
  5. 国家神話 定年後は年金で暮らせばいい
 
PART2 ポスト3・11の人生設計
  6.伽藍からバザールへ 人的資本のリスクを分散する
  7. 世界市場投資のススメ 金融資本を分散する
番外編 なぜ普通のおばさんが億万長者になれるのか?
  8. 大震災の後で人生を語るということ


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