旧作DVDレビュー「プラダを着た悪魔」を観て、悪魔とは職場の上司のことだったと今更知りました。(汗)

様々な本やメルマガや友人の情報を元に、
未だ観ていない旧作をDVDで観ています。

今回は夏休みということもあり、
数本まとめてみました。

4日目の今日(ちなみに最終回)は、

プラダを着た悪魔

をご紹介します。


さて「アン・ハサウェイ」という
素敵な女優さんがいることは
ずいぶん前から知っておりました。

某「レ・ミゼラブル」も本当は、
彼女を鑑賞する目的で見に行った位なのですが、

しかし主役は彼女ではなく、
(もちろんヒュー・ジャックマンですが)
登場時間も予想に反して長くありませんでした。

彼女の歌う「夢破れて」のシーンは心に残ったのですが、
レ・ミゼラブル」をみてからというもの、

ますます彼女の映画を観たい思いが募り、
ようやく見ようと思いつつ見逃してしまった、
プラダを着た悪魔」を観ることが出来ました。

この映画も、
何度か予告編を観たつもりだったのですが、
どういった勘違いなのか、
本物の悪魔が登場する小説・ファンタジー系の
映画だと思い込んでおりました。

原題は「The Devil Wears Prada」と、
”デビル”という単語が含まれることも知っており、
アン・ハサウェイが主役と言うことで、

私の頭の中では、アン・ハサウェイプラダを着て
悪魔を演じる映画という設定ができあがって
いたわけです。(汗)

そんな前提でビデオをみてしまい、
普通の格好をした彼女が出てきたので驚きました。


映画のストーリーは、
大学を卒業後ジャーナリスト目指す、
主人公(アン・ハサウェイ)は、
ファッション雑誌の編集部に採用され、
編集長の副アシスタントとなります。

その編集長というのがプラダを着た悪魔です。

主人公は悪魔のように部下を使う、
鬼上司の下で懸命に仕事を頑張る女性を演じます。

映画を最初に観て気付くのは、
アメリカのなんとも自由な就職活動です。
主人公は日本のようなリクルートスーツなどはなく、
近所のスーパーで買ったような洋服で面接に望んでいます。

アン・ハサウェイが着るとそれなりですが、
結構違和感もあります。

面接に臨んだ編集長は、主人公をチラ見しながら、
試しに今までと違うタイプの娘を雇ってみるとして、
彼女は採用になります。

実際はあり得ないのですが、
そうして彼女は何百万人の女性の憧れの仕事である、
ファッション誌に職を得るのです。

何百万人の女性の憧れの仕事。とは、
実際に映画のセリフで出てくるのですが、

そうなんだ。
・・と映画を観ながら素朴に感じるのですが、
ファッション(か恋愛?)が最大の関心事であろう
女性の憧れの仕事には間違い無いでしょう。

映画もその点を、このセリフに込めて強調するのです。

そんなファッション雑誌社の中にあって、
はじめ彼女は仕事さえ出来れば服装など何でも良い。
という考え方なのですが、
だんだん周りの人達に着る物を合わせるように
成っていきます。

彼女の大きな支えと成ってくれたのが、
編集長の腹心でもあるデザイナーの男性です。

何を着たら良いか分からないという彼女に、
靴や洋服を選んであげます。

なんといっても、ファッション誌の編集部なので、
倉庫には沢山のサンプル品が有るのです。

ココは痩せている服しかない。
と言いつつサンプル品を貸してあげます。

そういえば、アン・ハサウェイは至る処で、
デブ呼ばわりされるのですが、
まったくそうは見えないのに・・と思います。

いずれにせよ、
ファッションに疎い私が観ても、
主人公はみるみる美しくなっていきます。


そうして少しずつ仕事に慣れ、
仕事は順調に回り出すのですが、

一方、今度は彼氏との仲が上手く行かなくなって
ゆきます。

いかにも田舎者っぽい格好をしていた彼女が、
ブランド物のスーツを着こなしているのです。


男にしてみれば彼女が一流企業に勤め、
遠くなってしまった感はあります。


しかし仕事は上手く行くときもあれば、
失敗することもあります。

失敗したとき、鬼編集長の指示はいっそう厳しくなります。
出版前のハリーポッターの続編を自分の娘達に読ませたい。
等といわれる始末です。

しかし主人公は、パーティーで知り合った
ライターのつてを活用し発売前の原稿を手に入れます。

そういった懸命に頑張る主人公の姿をみて、
編集長は彼女を次第に認めていくのです。

そして自分と一緒に仕事でパリに同行するように言うのでした。

但し編集長とパリに行くのは、
先輩の第一アシスタントと決まっているのです。

そして、彼女はパリに行くことを楽しみに、
鬼上司の下で仕事をしていたのでした。

自分から伝えるように。という指示も鬼です。
しかし、パリ行きを目前に張り切って仕事をしていた彼女は、
交通事故に遭い怪我をしてパリに行くことが出来なくなりました。

主人公はどうにか何題を乗り越えパリに行き、
無事仕事を終え、そして先日のライターと一夜を共にします。


・・とストーリーはコレぐらいにしておきますが、

どこにでも多かれ少なかれある鬼上司と部下の様子を、
映画的にコミカルに楽しく描いたのが本作です。

同名の原作もあり、
27カ国で翻訳されベストセラーになったそうです。


今にして思えば、

アイドル的な女優さんが偶然憧れの職について、
半分イジメのようなしごきに耐えつつめげずに頑張り、
少しずつ成果を上げて、次第に認められる。
そして新たな恋に・・・

そんな単純明快シンデレラ的なストーリで、
今時の邦画ではどんなアイドルや美人の女優さんを
使っても成り立たないと思ったりもしました。

しかしそれは映画のある面しか見て居らず、
本作を見所の一つは、

田舎の大学を出た若者が都会で職を得て、
周囲の人と溶け込んで成長していく姿が、
この映画ではファッションの違いとなって
現れるわけです。

つまり、
服装やファッションとは自己満足ではなく、
相手への敬意を表すものですが、

主人公の成長をファッションに表し、
おもしろおかしく表現している部分もあります。

映画では主人公は最後にファッション雑誌を退職し、
念願の新聞社に就職が決まります。

その時は、もっていたプラダの洋服を全てあげてしまい、
最初とはまた違った洋服で現れます。

映画の解説によると、
周りに流されず自分流というのを確立した。
ということなんだそうですが、

私個人的にはファッション雑誌社で、
プラダを着ていたアン・ハサウェイのほうが
よっぽど可愛いと思いました。
そういった意味では、女性向けの映画ですがね。


さて映画では、
一見アン・ハサウェイが主役のように思われますが、
私はプラダを着た悪魔ご本人の「メリル・ストリープ」が
主役では無いかと思ったりしました。

彼女は最近は「マーガレット・サッチャー 鉄の女の涙
に出ていた人だと直ぐに気付きましたが、
サッチャーさんの演技同様、本当に素晴らしい演技と
感じました。

また、個性的で良かったと感じたのは、
アン・ハサウェイを支えるデザイナー役を演じた
スタンリー・トゥッチ」です。
このような雰囲気の人は実にいいです。


私は仕事で数年、ブランド物のメーカさん
担当の仕事をしたことがあるのですが、
なんとなく、ファッションの世界の裏というのは
通じるものがあるような感じを持ちました。

そういった意味ではこの映画のもう一つの見所は、
女性の憧れである、
ファッションや世の中の流行がどのように
作られているのか裏側を魅せることです。

映画では、ファッションショーにはじまり、
数々のブランドやデザイナーの取材を重ね、
その中から厳選に厳選を重ねて洋服を選び、
撮影された記事によって誌面が作られ、
それをみた読者が流行を作り、
流行は大量生産品を生み、
そして最後はファッションにあまり興味がない、
末端のひとたちに広がって行く様子が描かれます。

単純なヒロインの出世物語や恋愛物語だけでない、
ビジネスや世の中の裏側など多面な表現をしており、
アイドル映画とはちょと違う映画だと思いました。

とはいえ、
私はやはり「アン・ハサウェイ」22〜23歳の
オシャレな洋服を着た姿が素敵だと思った今日の1本です。