岡田准一主演『永遠の0』を観てきました。久々に泣きました。

ブログを書くのは久しぶりです。

特に今年に入ってから忙しさが増し、
仕事を終え帰宅するのが午前様、
週末も何もあったものではありません。

しかし、
どうしても観たい映画があります。

「永遠の0」です。

私は子供の頃からゼロ戦零戦)の
プラモデルを作り成長しましたので(笑)、
どうしてもこの映画は観たいのわけです。

「永遠の0」が零戦を題材にした
ベストセラー小説であることは当然知っており、
私も単行本・文庫本と2冊持っているのですが、
未だ読んでおりません。(汗)

そんな具合なので原作は分からないのですが、

主人公の祖父は、元零戦乗りで、
最後は特攻隊で亡くなったことを知り、

祖父がどんな人物だったのか、
戦友を訪ねて、調べて行く物語である
ことは知っていました。

あり得ない空中戦の様子等もネット等で
話題になっていることも知っていましたが、

私的には、映画の中で零戦が飛んでいれば
十分満足と思って映画館に足を運んだのです。


しかし映画は冒頭に登場する、
空母赤城の映像(VFX)をみて感動しました。

映画の解説によると、
「赤城」の資料は少ないそうですが、
苦労をして資料を集め動画をつくったそうです。

航行する船首の波の様子は、自衛艦の船首の
波を合成したそうで、なんともリアルです。

その空母「赤城」に主人公の宮部久蔵を演じる
岡田准一さんが、零戦に乗って着艦してきます。

空母への着艦は、飛行場への着陸と違って
大変な技量が必要なのですが、

やっとのことで着艦した他の零戦に比べ、
岡田さんだけが綺麗に着艦します。

凄いですね。と後の橋爪功さん演じる
部下にに言われるのですが、
教えられた通りにやっただけ。

みたいな事をいって、
艦橋の中に入っていきます。
初めてなのにさわやかに艦橋の中に
入っていくのは不思議です。

話題だけのダメな映画か・・とおもったのですが、
杞憂におわりこの後も??なシーンはいくつか
有る物の、細かな事は気にしないでおきます。

そして真珠湾攻撃が始まります。

真珠湾攻撃のシーンは、
幾つかの映画でみたシーンに比べ
案外あっさりと終わります。

しかし、その後のミッドウェイ海戦で、
母艦赤城が攻撃されるシーンが大迫力です。

魚雷と爆弾を交換している暇はないだろ。
・・みたいな説明セリフを岡田准一さんに
言わせるのはどうかと思いましたが、

その後、敵機がきて、
直掩機(赤城の護衛機)に乗り込み出撃します。

幾つかの飛行機を打ち落とし、
護衛に成功するのですが、
後に「赤城」が沈没することを知っている私的には
いつやられるんだろう、と一瞬あれ?と思います。

・・・と思ったら、
おとりの敵機を打ち落としているスキに、
上空から急降下爆撃機が爆弾を命中させました。

瞬く間に航空甲板に穴が開き、火の海となり、
乗組員に沢山の死傷者がでます。

その様子を岡田准一さんの零戦からの
目線で眺めます。

映画の解説によると、
この様子は史実に基づいているそうで、
映画の見所のひとつと思います。

戦闘シーン的に、もうひとつの見所は、
特攻機が敵艦船に近づくまもなく、
打ち落とされていくシーンです。


映画「永遠の0」のストーリーは、

凄腕のパイロットであるにもかかわらず、
自らの命を守るため、敵機と空戦を避け、
周囲にも、俺は命が惜しい。お前も命を大切にしろ。
といい、非合理な作戦には反対しながら、
いくつもの戦闘を生き延びていきます。

その後日本の負け戦が続き、太平洋の戦線が縮小するなか、
映画の中盤では、筑波でパイロットの指導教官となります。
若い教え子を戦争に出さないため、
なかなか訓練では合格を出しません。
そんな教官を演じます。

そして戦争末期には、
神風攻撃隊の、護衛隊となり、
そして最後は自らも特攻隊として死んでいくのです。


映画の前半では、
三浦春馬さんと吹石一恵さん演じる兄弟が、
臆病者と言われる祖父の姿に凹みつつも、

真珠湾からミッドウェイまで直属の部下であった、
橋爪功さんの話しを聞き、

初めて祖父が、妻と子供のために、
当時の価値観とは大きく異なる、
命を大切にした、祖父の本当の姿を知ります。

そして筑波の航空教官時代の教え子の話を聴きます。

本当に生き残るのは、祖父(岡田准一さん)だった。
と素晴らしい人格の持ち主だったことを知るのです。


映画の後半は凄腕パイロットでありながら、
命を大切にした祖父が、
何故、必ず命を失う特攻に志願したのか。
その謎に三浦春馬さんが望みます。

祖父とはライバルパイロットであり、
祖父の最後を知る戦友に話しを聞くも、
特攻を志願した本当の気持ちは分かりません。

映画では答えが出ていないのですが、

この頃の岡田准一さんの表情は、
目に隈が出て、いかにも病的になっているので、
精神的に病んでしまった説。

教え子を沢山特攻で死なせてしまった責任を感じて、
特攻の司令官として終戦後自ら特攻機に乗った
宇垣纏のようなことした説。

・・などと私は感じました。

ただ、この理由については、
この映画をみるうえではさほど重要では
無い気がします。


特に映画の後半を理解するには、

戦闘機に神風特攻用の爆弾を搭載すると、
重く運動能力が悪くなり、
敵機に容易に打ち落とされるため、

戦闘機でありながら、
直掩機(護衛機)とセットで運用されるとか、

ゼロ戦51型(緑色)とか、
古いゼロ戦21型(灰色)とか、

ちょっと専門的な知識が無いと、後半は
多少理解がきつくなってくる部分はあると思いました。

敵の戦闘機の能力が向上し厳しい、
など若干解説のセリフが入っていますが、
普通の人には分からない世界が多々あると感じます。


P38など良く打ち落とされていたり、
P51との空中戦なども迫力がありますが、
空母「赤城」のVFXに比べると、

飛行機の映像は比較的簡単に作れるためか、
ちょっと安っぽいというか、動きが?
という感じはしました。

そのあたりの飛行機の動きは、
宮崎駿監督のほうが上手い気がします。(笑)


・・・ミリタリー系の話しはさておき、


この映画を観ながら感じるのは、

組織や場の空気に従わざるを得ない環境のなかで、
自分の信念や合理性に基づき動いていくのは、
どれだけ大変なことか。

という点です。

私もサラリーマンの中間管理職をしていますが、
トップからの指示は絶対ですし、

仕事の出来る人柄の良い上司が、
間違った方向に進むこともあります。

仕事で間違っても命を取られることがありませんが、
戦争では一つの判断が全て命がけです。

岡田准一さん演じる宮部久蔵は、
常にエンジンの音を気にかけ、
ちょっと調子が悪いと、
整備員に面倒な整備を命じます。

臆病者にエンジン整備を命じられ、
煙たがられるのですが、

その姿勢が、最後に彼が乗る零戦
エンジンの調子の善し悪しを見抜く
伏線となるのです。

映画でみる、
岡田准一さん演じる宮部久蔵の苦労は、
現代の我々にも通じるものがあるのです。


そしてもう一つこの映画で大事なのは、
家族愛、家族を守ることの大切さです。

俺が一人死んでも戦争成り行きはたいして
変わらないが、
家族にとっては俺が死んだら大変な問題だ。

岡田准一さんが言うセリフがあります。

実際の特攻隊の多くの若者は20歳前後で、
殆どが独身の人達だったと思いますが、
岡田准一さん演じる、
宮部久蔵には妻と娘がいます。

そういった意味で、
独身か既婚者かで戦争や死ぬという
意味は大きく違ってくることに、
この映画をみて今更気付いたわけです。

結局、男にとって大切な事(つまり幸せ)は、
世の中の大事よりも、
家庭(愛する妻と子供)を守ることにある。

というのがこの映画の主題なのではないかと、
そんな事を感じました。


映画では、主人公の岡田准一さんが死に、
代わりに教え子である、
夏八木勲さん演じる大石が生き残ります。

もし生き残って、私の妻子が困っていたら
助けて欲しい。
という宮部の遺言ともいえる、
メッセージを若き日の大石が読んで、

そして、宮部久蔵の妻である井上真央さんを訊ねます。

この映画の唯一の問題は、
岡田准一さん演じる宮部の妻が、
井上真央さんという若くて美人だったから
成り立つストーリーと言うことです。

この映画に限らず、
戦争未亡人と復員兵のカップルというのは、
当時多かったのだと思いますが、
井上真央さんではなく、
もっとゴツくて、年配のおばちゃんだったら、
このストーリは成り立たない訳ですが、
そこは娯楽の世界なので良しとしましょう。


この映画は、泣かせる演出が至ること所に
散りばめられています。

特に、夏八木勲さんに残した、
メッセージを、宮部久蔵の子供役である、
風吹ジュンさんが観るシーンなどは、
涙が止まりません。

戦争で父を失った娘が戦後60年立って、
父の自分への愛情を感じるわけです。


俺は必ず帰ってくる。
腕がなくなっても、足がなくなっても、
例え死んでも、生まれ変わって帰って来る。

映画の中盤にあるセリフですが、
彼は戦友や教え子に、自分の生きる姿や
考え方を通じ、生きる勇気や命を残しました。

結局自分が死んでも、
残された人達が彼の意思を引き継いで、
日本を作ったり、
残された家族を守ったのです。

零戦VFXの映画というよりも、
家族や、生きる上で大切な事はなにか。
そんな事を考えさせられる今日の1本でした。

私に何ヶ月ぶりにブログを書く気にさせた
映画です。
時間があったらもう一度みたい今日の一本です。


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