ベネディクト・カンバーバッチ主演「イミテーション・ゲーム/エニグマと天才数学者の秘密」を見ました。

アカデミー賞の発表も終わりまして、
そのためでしょうか。
ノミネートされた映画がいくつか上映されています。

久々に、見たい映画がありすぎて追いつかない状況
に陥っております。

そんな訳でアカデミー賞関連の映画を観てきました。

さて本日は、アカデミー8部門でノミネート、
脚本賞を取った、ベネディクト・カンバーバッチ主演

 「イミテーション・ゲーム/エニグマと天才数学者の秘密」

をご紹介します。

なぜ今回、この映画が選ばれたのかと言いますと、
単に上映時間の都合です。(汗)

いつものように日曜日のレイトショーで見たのですが、
この日は夕方までの用事があり、
夕食を掻きこみ映画に足を運びました。

映画のチケットを買うまで、てっきりタイトルは、
エニグマと天才数学者の秘密」
と思っていました。

というのは、エニグマは、
第二次大戦中にドイツで利用された暗号機であることや、
それをイギリスが解読したことなどは知っていました。

ですから戦争と数学者と暗号解読。
そんな堅い話しである事を予想しました。
気分的には、恋愛映画とか観たかったのですがね。。


映画のストーリーを簡単に紹介します。

映画の冒頭、
主人公の家に泥棒が入るのですが、
警察に届け出もせず被害も語らない主人公を、
担当の刑事が怪しみ、事件性を調べるところから
物語は始まります。

主人公は戦時中に軍にいたことは分かったのですが、
何をしていたかという記録が消されています。

しかし主人公は、
当時違法だった同性愛の罪で逮捕されてしまうのです。

刑事はそんな小物ではない。
と彼の人物像をさらに探ろうとするのですが、
その取調中に語ったのが彼が戦時中に行った、
ドイツ軍の暗号機「エニグマ」の解読の物語です。


主人公アラン・チューリング(当時27歳)を演じるのが、
ベネディクト・カンバーバッチさん(現在38歳)で、
演技の評価が高いのですね。

映画を観た印象では27歳には見えず、
やはり実年齢の30代中頃という印象を持ちました。

それまでの暗号解読チームは、
チェスの天才や、言語の天才などが集まっていました。

若き天才数学者の彼は、マシンにはマシンで対抗するしかない。

と考え、
後にコンピュータの基礎となるような暗号解読機を
開発することで暗号解読に挑みます。

そしてついに、主人公がクリストファーと呼ぶ
暗号解読機(マシン)が完成します。

早速、暗号解読を試みるのですが、
暗号のパターンが毎日変わるため、
分析量が多すぎて時間が足りません。

大金をつぎ込んだにも関わらず、
全く成果のでないプロジェクトは、中止を迫られます。

そんな中、
「今日の天気は○×、ヒトラー万歳(みたいな文章)」
という、

どんな通信にも必ず含まれる短いセンテンスがあることに気付き、
このセンテンスの解読にマシンを使う事で、
彼らはついに暗号パターンを紐解くことに成功したのでした。

マシンの開発途中で、
スタッフを公募し、キーラ・ナイトレイさん演じる
ジョーン・クラークが採用されます。

Wikiのページなどを読むと、
もっと地味な人だったようですが、
映画では、派手な顔立ちのキーラ・ナイトレイさんが
採用されています。

彼女は変人である、主人公のアラン・チューリングを理解し、
暗号解読チームの中でも嫌われ者だった彼と、
他のメンバーの交流を促進する触媒のような
役割を果たします。

映画を観ながら、
もしかして・・実は期待した恋愛映画だったのではないか。

と思ったりするのですが、
一方では少年時代(イギリスの男子校の寄宿舎生活のようです)
に同性愛に芽生えてしまった様子が映し出されます。

結局二人は婚約関係になり、めでたし。めでたし。
・・かと思えば、

最後には自分が監視されていることを知った主人公は、
彼女の安全を考えて、彼女と別れようとするのです。


暗号解読に成功した主人公達でしたが、
その成果は極秘に扱われます。
そこでどうみても、007にか見えない人※が登場し、

マーク・ストロングさん演じるスチュワート・メンジーズ少将
その組織名がMI6という、007が所属するイギリス秘密情報部
とういう組織のようです。
その中で暗号解読組織は、確か映画ではMI7と言っていたように思います。

主人公はこの007にしか見えない、
メンジーズ少将に暗号解読を打ち明けます。

この暗号解読情報は後にウルトラ情報と呼ばれるのですが、
彼らは暗号解読の情報がドイツにバレるのを恐れ、
小さい作戦ではワザと騙されて被害を出し、

数学統計的に重要と思われる作戦のみで情報を活用するのです。
そしてノルマンディー上陸作戦などで成果を上げました。

現在のイギリスは軍事力や経済力では世界一ではありませんが、
今でも情報収集力は世界一で、情報で世界を支配している。
と言われたりします。

こうした映画をみていると、当時(今も?)の情報戦の
巧みな扱いには感心させられます。
それに引き替え日本は・・と思います。
※そんな事をちゃんと語っている方のURLをご紹介します。
数学者を使うのが遅すぎた日本陸軍の失敗 映画「イミテーション・ゲーム」が教えてくれるもの(5/6) | JBpress(日本ビジネスプレス)


映画では、昔の戦争の模様が多数利用されたり、
実際に暗号解読器(のレプリカ)を作ったりして、
絵的にもかなり見応えがありました。
ちなみに、レプリカは映画で観やすいように、
少し大きめに作ったのだそうです。

イギリス映画ですが、ハリウッド映画?
と思うぐらいのお金をかけた印象を持ちました。


そして戦争が終わり、
暗号解読チームの活躍は、歴史から消されます。
当時の資料や暗号解読機は全て廃棄されてしまうのです。


戦後、大学に戻ってコンピュータの研究をしていた
主人公アラン・チューリングは、同性愛の罪で捕まります。

裁判で収監か、ホルモン治療かの選択をせまられ、
ホルモン治療をしています。

そんなところに、かつての婚約者が
ジョーン・クラークが訊ねてきます。

薬でやつれた彼をみて、
「時に想像しない人物が、偉業を成し遂げるのよ」
という名台詞を語ります。

ここで映画は終わり、
このあと主人公は結局自殺をする。
というテロップが流れます。

この史実は50年もの長期間、
極秘事項とされましたが、
後にイギリス政府が主人公にお詫びをするなど、
現在では名誉が回復されているようです。

ですから、
映画の見方によっては、
同性愛をテーマにした映画のようにも見えるのですが、

私個人的には、

「貴方は変わり者だから、世界は素晴らしい」
「貴方は沢山の人を助けたのよ。・・・」

のセリフが最も心に残りました。

このセリフは、
主人公アラン・チューリングへむけたセリフではなく、
私たち観客へ向けたセリフと感じます。

つまり、
どんな人も、他人と違ったところがあり、
だから人生は素晴らしい。といっているわけです。

人と違う事は、個性なのです。
個性があるから世界は素晴らしく見える訳です。
・・とそんな事を感じた今日の一本です。

予想に反して大変見応えのある、
素晴らしい映画だと思いました。


<公式>映画『イミテーション・ゲーム / エニグマと天才数学者の秘密』オフィシャルサイト|大ヒット上映中

※映画の主人公や、イギリス秘密情報部などの
 情報はWikiにも潤沢にあります。
 ので興味のある方は調べてみてください。


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