中谷彰宏著「器の大きい人、器の小さい人」を読みました。

あの人は器が大きいとか、
あの人は器が小さいとか、

居酒屋に集うサラリーマンの会話としては、
良くあるネタではないでしょうか。

しかも、若い人ではなく、
中堅サラリーマンというか、
結構いい歳をしたおじさん系サラリーマンが
言いそうです。

何故でしょう。?

若ければ若いなりに、
歳を取れば歳を取ったなりの、
器の大きさという物が求められるように
思うのですが、、

でも、
サラリーマン社会で、
器の大きさを見られるのはやはり上司。
特に中間管理職以上ということに
なりそうな気がします。

私もそんな中間管理職の一人として、
この本をせっせと読むわけです。


・・・という訳で本日は、中谷章宏さん著

 「器の大きい人、器の小さい人」

をご紹介します。


出世はしなくても男として、

 ○○さんって器がちっちゃい!

とか、言われたくはない物です。

ある種の見栄といえば、見栄ですが、
本を読んで学習して、
直せる物は直したいです。


本書は「器を大きくする65の工夫」ということで、
65個のテーマで器の大きさを考えています。

例えば、冒頭に紹介されるのが、
ホテル業で、かわいがっていた部下が、
最近オープンした近所のホテルに、
チーム毎転職してしまった。という話しです。

ホテル業界は転職が多いとはいえ、
近所のホテルにチーム毎引き抜かれて
しまった訳です。

その時、貴方が上司ならどうしますか?
ということです。

良く出来た人でも、
仕事のローテーション等を考えると、
顔で笑って心で恨んで送り出す。
そんなところではないかと思います。

似たようなケースで、部下が異動したい。
というケースも本書にあります。
別の部署に異動するには、
上司に異動願いを出さなくてはなりません。

私も上司なので分かるのですが、
常々、部下を考えて仕事を教え、
間違えたときにはフォローをし、
お客さんに誤り・・・。

「それで異動したのか!」

と感情的になってしまいがちです。

こんな時の対応こそ、
器の大きさが分かる場面です。

部下が戻りやすいことを考えて
送り出してあげるのが器の大きい人です。


転職した人は、もっと優秀な人を
連れて帰ってくるかもしれませんし、
異動した人は、一回り大きくなって
帰って来るかも知れません。

そしてその時は、貴方が感謝され、
貴方の戦力として働いてくれるのです。

こうして考えると、
器が大きいということは、
単に人柄が偉い人というよりも、

長期的に考えて得をする考え方を持っている人。
ということも言えそうな気もします。


こんな事例も本書にはあります。
リストラで部下を切らねばならないときは
どうするか。ということです。

仕事人生で最も辛いことは、
部下を切ることでしょう。
しかし、リストラをしなければ会社が傾く。
潰れかねない。そんなときもあります。

最近ネットをみていたら、
最近調子が良い某広島の自動車メーカーの
エンジンの責任者のインタビューがありまして、
その昔、同期に遅れてようやく部長になった
と思ったら最初の仕事は部下のリストラだった。
という話しでした。

これを読んでリストラも、エンジニアの仕事なのか?
辛いなぁ〜。と思いました。

(若干余談でした。)


本書によれば、
リストラをしなければならない時、
器の大きい人は部下を切るという選択ができます。
器の大きい人は、困難には逃げないのです。

そしてこの時も大切な事は、
部下の転職の面倒を見てあげること。
そして会社の業績が回復したら戻りやすい
環境を作ってあげることです。

ここでも長い目で物事を考えて、
長期的に得をする選択をすることが、
器の大きい考え方に繋がるような
気がします。
(↑あくまで私見ですが。)


汚れ役は自分が率先して、
手柄は、部下をはじめ周囲の人にあげる。
時には間違っていることも、
そのまま飲み込む。

そういったことが出来る人が、
器の大きい人であるわけです。

たとえば、
感じの悪いタクシーの運転手さんに
どのように対応するかです。

タクシーに乗って、
感じが悪い運転手さんに当たることがあります。

そのとき、無言でタクシーを降りる人と、
「有り難うございました」と挨拶をして
タクシーを降りる人の二通りがあります。

感じが悪いタクシーの運転手さんに、
お金を払って無言で降りるということは普通ですが、
しかし一方では、「有り難うございました」と
挨拶をして降りる人もいるのです。

ポイントは「有り難うございました」と
挨拶をした人も気分は悪いのですが、
悪い気分をそのままにせずに、

「有り難うございました」と言うことで、
自らイニシアティブをとって場の空気を
変えようとしているのです。

つまり挨拶をして空気を変えようとする
具体的な行動が器の大きさであり、

世の中には、
器が普通のひとと、
器の大きい人の、
二通りがあるということなのです。


 「器というのは自分の表現です」p125

と本文にありますが、
つまり、こうした具体的な行動の積み重ねが、
器の大きさを表現するのだと思います。
そして、それをみた部下が居酒屋で会話するという。。


ベッカムがワールドカップでレッドカードをもらい、
退場になる失敗をしたとき、イギリスに戻って
今までの人生でやり直したいことは有りませんか?
というインタビューを受けたそうです。

インタビューアはもちろん、ワールドカップの失敗
を答えとして期待したわけですが、
ベッカムの答えは、やり直したいことはない。
だったそうです。

つまり、同じ状況になったらまた同じように
失敗すると言うことです。

これが器の大きさという事です。

 「過去のここを直したい」と思う時点で、
  器が小さいのです。 p40


ということで、
私など直したいところだらけですが、
ベッカムに習い、ココの考え方から直して
行きたいと感じた今日の一冊です。


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