大沢たかお主演「風に立つライオン」は、原曲の世界観を再現している素晴らしい映画と思いました。

ファンの間では「さだまさし」さんの事を、
「まっさん」と呼びます。

最近終わった、
NHK朝のテレビドラマの人のようですが、
さだまさし」さんは、遙か昔から「まっさん」
と呼ばれています。

とはいえ、
私は「まっさん」いうのは抵抗があり、
決して使わないのですが、
しかし・・。
その昔「まさし」と言えば「さだ」という位、
聞き込んでおりまして、
ライブも何度か聞いたことがあります。

そんな「さだまさし」さんですが、
最近はもっぱらテレビ番組で拝見します。

特に毎年大晦日の、紅白の後のお寺の鐘の
後から始まる深夜番組が毎年楽しみです。
今夜も生でさだまさし
↑こちらです。

例年のように今年もこの番組を観ていたら、
大沢としおさんがゲストでした。
もちろんあの映画の話しが出て、
そして、あの名曲が歌われたわけです。

私も映画館に貼られたポスター等を観て、
大沢としおさん主演で、
あの曲が映画化されることは知っておりました。

この映画だけは絶対観なければ成らない。
そんなふうに誓い、楽しみにしていたのです。

・・という訳で本日は、大沢たかおさん主演映画

 「風に立つライオン

をご紹介します。

映画の元となった「風に立つライオン」の楽曲は、
実際にケニアにあった
長崎大学の熱帯医学研究所に勤務する、
お医者さん(柴田紘一郎氏)を題材に作られた曲と
いわれています。

1987年発売の「夢回帰線」というアルバムから
シングルカットされた曲で、
当時「さださん」はケニア(というかアフリカ)へは
行ったことが無く、想像だけでこの曲を書いたそうです。

それにしては、名曲過ぎると思います。

その名曲の舞台を初めて「さだまさし」さんが訪れる。
という企画の番組を、やはりNHKで今年の
お正月にやっていました。

柴田紘一郎氏と共にケニアにある、
長崎大学の研究所の建物(今は病院でした)を訪れ、
現地で、大沢たかおさんと、石橋蓮司さんが食堂で
ご飯を食べながら会話するシーン(だったと思います)
の撮影の見学&陣中見舞いをして、
最後にケニア大学のコーラス部の学生をバックに、
風に立つライオン」をギター一本で歌う。
そんな番組でした。

この番組中でも「さだまさし」さんは、
現地に来なくて想像だけで曲をつくった事を語り、
そして、現地にきたら、あんな曲は書けなかった
かも知れない。
・・そんなことを語っていました。

風に立つライオン」の歌い出しは、

 「突然の手紙には驚いたけど嬉しかったぁ〜〜。」

と始まります。
知らない方のために歌詞をご紹介します。
著作権的にリンクにします。
風に立つライオン さだまさし - 歌詞タイム

・・と私などは歌詞を観なくても出てくるわけですが、

 「突然の手紙には驚いたけど嬉しかったぁ〜〜。」

がどんな風に映像化されているのか、
大沢たかおさんはどのような演技をするのか、
とても楽しみです。


・・という訳でいつもより前置きが長くなりました。
ここからあらすじを簡単に紹介します。

映画の冒頭は、東日本大震災で被災した現場に、
一人の黒人男性が、トウモロコシ(と思われる)
種を持って立っているシーンから始まります。

震災現場の映像はかなり圧倒されるのですが、
曲ができたのは1980年代と知っている私は、
やや違和感があります。

その次のシーンでは、
アフリカの子供達が手を繋いで丘を降りた後、
何かが爆発するシーンが描かれます。
この時、何が起きたのか分からないのですが、
映画の中で後に説明されるところによれば、
子供達が人間地雷探知機となるのだそうです。

たまたま前回観た映画がアメリカン・スナイパー
イラク戦争の話しだったのですが、
哀しいかな、子供が戦争に巻き込まれる様子は
よく似ています。

心に染みる、純愛の穏やかな映画と
思っていたのですが、予想と違いました。

そんなアフリカの研究所に日本から
大沢たかおさんと、荻原聖人さんが
応援で派遣されます。

現地では研究をしながらも、
地元の人達に医療を行う診療所をかねています。
主人公といい、診療所の風景と良い、
まったく曲のイメージ通りです。

ここでの大沢たかおさんは、
「大丈夫」
が口癖の明るい腕の立つお医者さんです。

しばらくして、
国境に近い赤十字の病院から医師の派遣要請が来ます。
1ヶ月間という短い任期で、
大沢たかおさん、荻原聖人さんが派遣されます。

しかしそこは普通の診療所ではなく、
内戦で傷ついた兵士や子供達が運び込まれるような
医療の最前線でした。
派遣されたその日に二人が行ったのは、
そうした人達の手足の切断でした。

初日から驚き疲れている二人に現地の院長は、
ここでの主な仕事は、傷口の洗浄と手足の切断だ。
と言います。

一ヶ月の任期を終え、
無事に二人は元の研究所に戻っていくのですが、
アメリカン・スナイパーの主人公と同様に、
心はここにあらずです。
心配した研究所の所長は、マサイの村に彼を
旅行に誘います。
マサイの村では歓迎の食事や踊りが響きます。

 「闇の中ではじける彼らの祈りと激しいリズム」

という歌詞があるのですが、
ここも曲のイメージ通りです。

そして翌朝大沢たかおさんは、朝日に向かい、
「がんばれー」と大きな声で叫んでいます。
やはり「さだまさし」さんの歌で、

 「がんばれー・がんばれー・みんなぁー」

という名曲(迷曲?)があるのですが、
 (「関白失脚」という歌です。)

映画を観ながらその歌が頭の中にぐるぐる回ります。

「がんばれー」と叫ぶのは、
自分で自分を勇気づけているのです。

そしてアメリカン・スナイパーの主人公と同じように、
何度も何度も戦場近くにある赤十字の病院に戻っていき、
そして最後はずっとここで働かせて欲しい。
と院長に願うのでした。


そんな、大沢たかおさんには、
日本に残してきた真木よう子さん演じる彼女がいるのです。
(歌詞のとおりです。)
大沢たかおさん、荻原聖人さんと大学の同級生です。

ちなみに、大沢さんは、今年47歳、荻原さんは43歳。
この二人は同級生でも良しとしましょう。
しかし、真木さん32歳と同級生というのはどうでしょう。

ただ、映画をみた絵的には全く違和感なかったのですが。
というのは、真木よう子さんはシーンによって、
若くなったり歳をとったりしているのですが、
大沢たかおさんは、全く違いを感じません。(笑)

そんな些細な話しはさておき、
ここで歌詞と大きく違うのは、
その大学の設定が長崎大学というところです。

風に立つライオン」歌詞で、個人的に特に心に響くのは、

 「千鳥ヶ淵で 昔、君と観た夜桜が恋しくて
 故郷ではなく、東京の桜が恋しいと言うことが、
 自分でもおかしいくらいです。」

という下りです。

私はてっきり地方出身の二人が、東京の大学
(もしくは就職)に入ってデートしたときの
思い出を歌ったのだと思いましたが、

この部分は実在のモデルを題材にしているようで、
長崎になっています。
これでは千鳥ヶ淵の桜が出てきません。

知らない人は「さだまさし」さんが、
長崎出身だから地元の大学にしたんだ。
なんて思っているに違い有りません。


個人的にちょっと残念です。

私は、歌のほうでは、
主人公が勝手に彼女を置いてけぼりに
してアフリカに渡ったのだと思っていました。

しかし、アフリカに行く大沢たかおさんは、
一緒にアフリカに行こうと彼女を誘うのですが、
(それはつまり、結婚して欲しいと言うことでもあります。)

彼女が生まれ育った五島列島の離島で、
診療所の医師として働く父が倒れ、
その後を継ぐためにアフリカ行きを断ります。

彼女の夢は、大沢たかおさんと共に、
島の診療所を継ぐことだったのです。

一方の大沢たかおさんは、
2年という任期をへても日本に帰ってきません。
彼はアフリカの地で生きていくことを決めたのです。

そうしているうち、年が経ち、
真木よう子さんに、
地元の漁師さんとの縁談が持ち上がり、
彼女は受け入れ、

あの、「突然の手紙」を書くわけです。


どんな手紙なんだろうか。
とスクリーンを凝視していたのですが、
彼女が結婚することを書いているようですが、
詳しくは表現されていませんでした。

そして、その手紙を読んだ大沢たかおさんが、
返信を書くわけです。


原曲の「風に立つライオン」は、
「突然の手紙には驚いたけど嬉しかった。」と、
日本を捨てて、彼女を捨てて、アフリカに渡った
若い医師が彼女に返信する内容を歌詞にしたものです。

ですから、
大沢たかおさんが書く手紙の内容は、
原曲の「風に立つライオン」の歌詞そのもの。
の筈です。

・・・がしかし、彼が書いたのは、
「(確か)頑張って幸せになってください。」

という一行でした。

この手紙を書くシーンで、何を書いたらいいのか
分からない大沢たかおさんが相当悩んでいるのですが、

この一行をみて、真木よう子さんは涙を流し、
わたしは、えーーー。これだけぇーーー。
っと思ってしまったわけです。


この映画の企画は、
なんと、大沢たかおさんご本人です。

テレビでも言っていましたが、
大沢たかおさんが、「さだまさし」さんに、
曲の小説化を依頼し、さらに映画化したのだそうです。

確かに、映画のクレジットロールにも、
企画 大沢たかお
という一行が出ていました。

日本でも役者さんが企画をして作る映画があるんだ。
と驚きます。
驚くと言えば、やはりテレビで「さだまさし」さんが
語っていましたが、アフリカロケのために、
スタッフが行った予防注射代が一千万も
掛かったのだそうです。すごい。(若干話しがそれました。)

ですので、
小説版をもとに映画化されているということで、
戦争や東日本大震災に絡めたりして、
大自然と診療所というよりも、
もっとスケールの大きな話しになっているのだと思いました。


映画では赤十字の病院がドラマの舞台となります。
彼が助けた、なかなか心を開かない少年が大人になって、
冒頭の震災シーンに登場するのです。

彼は大沢たかおさんに言われて、医師となったのでした。

そして、やはり、大沢たかおさんに助けてもらったという、
現地のお婆ちゃんが大震災の事を知り、
食べ物がないだろうからと、
大事なトウモロコシの種を送ってくれたわけです。

個人的に「風に立つライオン」には震災は絡めなくても
十分ではないかと思うのですが、
ちょっと別の物語になってしまった気もします。

別の物語と言えば、
赤十字病院で、日本人看護士として働く、
石原さとみさんと出会うことです。
後に彼女は、病院内で孤児院を開くのですが、
私的には、そんな石原さとみさんが、
大変可愛く、若干、石原さとみさんを愛でる
映画となってしまったことは否めません。

といいつつも、

 「去年のクリスマスは国境近くの村で過ごしました。
 こんな所にもサンタクロースはやってきます。
 去年は僕でした。」

というシーンが忠実に再現されていたして、
曲の世界観が見事に映像化されていたりします。


映画を見終わって、
邦画だしこんなもんかな。と予想した通りの映画であり、
歌詞に忠実で無い点がちょっとガッカリした映画であり、
石原さとみさんが、可愛いすぎる映画であり。
とはいっても「風に立つライオン」の世界観を映し出した
映画である。
・・と、そんなふうに感じました。

事前情報や思い入れ、
期待が大きい映画というのは、
観るのも難しいなぁ〜。と感じた今日の一本です。
いずれにせよ「まっさん」のファンは、
必ず観なくてはならない映画ですね。(笑)


http://kaze-lion.com/


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