マイケル・キートン主演「バードマン あるいは(無知がもたらす予期せぬ奇跡)」を観ました。

本日は、マイケル・キートンさん主演

 「バードマン あるいは(無知がもたらす予期せぬ奇跡)」

をご紹介します。

今年度のアカデミーショー作品賞のほか3部門で賞を取った作品です。

最近、アカデミー書で賞を取ったからといって、
映画を選んでいるわけではない。
・・などと書いていました。

実際に、去年も一昨年も、
アカデミー作品賞を取った作品は観ていません。(汗)
(その前の「アーティスト」は観ましたが。)
ですが、この映画は純粋に、
アカデミーで作品賞を取った映画ということで観に行きました。


ストーリーは、
昔「バードマン」というヒーロー映画で一躍スターとなり、
何億ものお金を稼いだ主人公が、それから20年以上もたち、
歳を取って世間から忘れ去れていく中で、
再起をかけて舞台に挑戦するという映画です。

正直に申しますと、
アメリカンヒーロー映画にはあまり興味はなく、
しかも、歳を取った人の映画を観ても
分からないのではないか。などと思い、
観るつもりは無かったのですが、

あるメルマガで、年老いた主人公に共感するものがある。
という感想を読んで、私の老後に備え勉強になるのでは
無いかと興味が湧き、映画館に足を運んだ次第です。


映画の冒頭は、主人公が舞台の楽屋でパンツ一丁で、
座禅をしながら空中に浮いているシーンから始まります。
昔日本で問題を起こした、某宗教を思い出すのですが、
訳が分かりません。

映画ではこのように、主人公が超能力を使うシーンが
至る所で出てきます。
最初は、その手の映画か?・・などと、戸惑うのですが、
何か、主人公の心理的な葛藤のようなものを表す
演出のように感じます。

映画の舞台の殆どは、楽屋やステージなど、劇場の中と
劇場のほんの近くで進んで行きます。
私はニューヨークには行ったことが無いので正確なことが
分からないのですが、いわゆるブロードウェイ(劇場街)
という所と思います。

至るシーンで「オペラ座の怪人」のマスクの絵が、
看板に出ていたり、ガラスに反射して映っています。
これはブロードウェイを知らない人に向けた、
説明のための映像演出と思いました。

そのブロードウェイで、主人公は、
自らの全てをかけて、アメリカンヒーローではなく、
芸術家として、自ら脚本を書き、主演をします。

そして、
親友の弁護士にプロダクションを頼み、
娘のサムにアシスタントを頼み、
恋人がヒロインを演じます。

しかし共演者の演技が納得いかないと言うことで、
直前に、ブロードウェイでも名の通った俳優である、
エドワード・ノートンさん演じるマイクに代役を頼みます。

マイクとリハーサルをして、演技力のすばらしさに、
すぐに気に入った主人公は、
マイクの高額な報酬を払うため、
一人娘のサムのためにとっておいた、
最後の財産である自宅を担保にかけお金を借ります。

しかしマイクは、その演技力とは裏腹に、
女癖が悪く、しかも、自分勝手なところがある、
使いにくい役者でした。

そのため、舞台の本公演前に行われるプレビューでは、
さんざんな目にあい、
しかも新聞芸能欄の一面には、
主人公ではなくマイクが掲載され注目を浴びるのでした。

余談ですが、このマイクさん演じる、
エドワード・ノートンさんは、感じ良いイケメンで、
30代後半ぐらいかなぁ〜。と思ったのですが、
私と同じ45歳でした。しかも誕生日もほとんど同じ・・

得てして外人さんは実年齢よりも歳をとってみえる
のですが、髪の毛もふさふさで、
10代のサム(主人公の娘)を演じるエマ・ストーン
(26歳)を口説くのですが、
全く違和感がないので凄いです。

調べてみると、名門イエール大学の出身で、
日本語を学び大阪で海遊館の水槽を設置をしたり、
英会話スクールNOVAの公告にもでていたそうです。
良い感じの役者さんだと思いました。

映画はプレビューシーンを繰り返しながら
進んで行きます。

その中で、重要なセリフを繰り返し語り、
そして主人公と恋人の関係や、
元奥さんとの関係、
一人娘サムとの関係、
主人公とマイクの関係、
マイクとサムとの関係
・・・・
様々なものが浮かび上がらせていきます。

そして一番厄介なのが、
主人公にだけしか聞こえない心の声、
第二の自分であるバードマンの幻聴です。

主人公がメンタル的に落ち込むと、
バードマンの幻聴が聞こえます。

ブロードウェイや芸術家になることなど諦めて、
もう一度バードマンの映画を撮ろう。
そんな事を言うのです。

多くの人が共感するのは、
こうした心の声は、私たち一般人でも
常に聞こえてしまうことです。

若者に抜かれる恐怖であったり、
実の子とのすれ違いであったり、
その娘が他の男とできてしまうことであったり、
夫婦の問題であったり、
過去の仕事の成功がいつまでもつきまとう事であったり、
さらに有名人であるがゆえのめんどくささ・・

短い映画の中で、人生の沢山の問題を表現している
のがこのバードマンという映画です。

(この先、ネタバレになりますが)

そんな主人公の人生をかけた挑戦に対し、
その批評一つで舞台の成功失敗が決まるという、
有名な批評家に、貴方の舞台は失敗する。
とボロボロに言われ、
そして公演初日を迎えます。

舞台の前幕は、素晴らしい演技と絶賛されるのですが、
舞台の後幕の最後の主人公が自殺するシーンで、
彼は本物の拳銃を用いて自殺しようとするのです。

主人公の演技が素晴らしいのは、
批評家にぼろくそ言われ、舞台の失敗を悟った
主人公が、本当に自殺しようとしたからのでした。

このシーンは、プレビューで何度か演じられており、
しっかり伏線があります。
ピストルの銃口に栓がしてあって嘘くさい。
とマイクに言わせたり、
血糊をカツラにセットするシーンを入れたり、
主人公に血糊の量が多すぎる。
など、何故そんなセリフが必要なのか?
と思うようなセリフが挿入されています。

ですから、映画を観ている人は、
このクライマックスのシーンで、
主人公が自殺しようとすることが分かるのように
つくられています。

しかし問題はそのクライマックでは無く、
一番最後のシーンです。

主人公が結局どうなってしまったのか、
わからない、
いわゆる、結末を観客に考えさせる
オープンエンディングです。

結局主人公は大怪我はするものの、
一命を取り留め病院に入院しています。
そしてその病院の窓を開けて消えてしまうのです。

飛び降り自殺をしたのではないかと
思わせるのですが、

最後に、娘サムが恐る恐る下を見て、
上を見てほほえんでいるので、
私は、主人公は空を飛んでいる。
つまり、
本当のバードマンになったのだ。
ということだと思いました。

如何でしょうかね。??

なお、一人娘サムを演じる、
エマ・ストーンさんですが、
どこかで観たことがあるなぁ〜。
と思いきや、
アメージング・スパイダーマン
のヒロインでした。

アメリカンヒーローは好きでない。
といいつつ、スパイダーマンの映画は
大好きなのですが・・・(汗)

スパイダーマンの時は、清楚な感じでしたが、
この映画では、すれた若い女性を演じていて、
しっくり10代の役がハマっていました。

それにしても目が大きいのです。
最後のシーンでは、綺麗なグリーンアイです。
ちなみに、映画のエンディングロールでは、
彼女が2番目になってました。
マイク(エドワード・ノートンさん)じゃないんだ。
と思いました。


この映画の見所の一つは、
ドラムの音楽が多用されている点です。

主人公の心を表現するシーンで多用される
のですが、たまたま前回みた映画が、
「セッション」というドラマーの映画
だったので、ドラムが重なるのは、
単なる偶然なのか?と思いました。

ドラムが流行っているのか、
何らかの情報連携があったのか。
そんな事を思いました。
こちらも調べてみると、アントニオ・サンチェスさん
というメキシコの有名なドラマーさんらしいです。


色々書いてみましたが、
ひと言でまとめると、
これまで観たことが無い映画。
という言葉がピッタリです。

数々のシリアスなシーンに交えて、
主人公がパンツ一丁で、ブロードウェイの
大通りを歩くシーンがあります。
煙草を吸うために、劇場の通用口から
外に出たら、鍵が掛かってしまうという、
古典的なギャク演出です。

舞台の本番に、本物のピストルを使う。
というのも、なにかのドラマにありそうです。

また、TwitterYouTubeの再生回数が、
存在価値(知名度)なの。
と娘に説教されるシーンがあるのですが、

おじさんが主人公の映画で、
ネットという、若者文化が出てくるあたりも
斬新な印象を持ちます。

これらの組み合わせの巧みさが、
この映画の素晴らしいところで、
観たことのない映画。
という感想になるのだと思います。

唯一意味が分からないのは、
(無知がもたらす予期せぬ奇跡)というタイトルです。

色々とネットで調べてみると、
この映画は様々な映画のパロディーを組み合わせて
いるそうで、

「無知だからこそ、無茶なことに挑戦できる」

という解釈の他に、
様々なカバーやパロディーを組み合わせた馬鹿げた
企画が映画になり、アカデミー賞をとったことが、
「無知がもたらす予期せぬ奇跡」である。
という厳し目のコメントもありました。

カバーやパロディーが多用されていると言うことで、
映画や音楽にもっと詳しければ、
この映画の楽しさ・すばらしさが何倍も
理解できたかも知れません。

・・という訳で、
主人公マイケル・キートンさんは、
その昔バッドマンを演じた役者さんです。
実際に、ヒーロー映画で主役を演じた人物が、

こうした再起物の映画の主人公に据えるあたりが、
そもそも凄いのですが、

確かに一見の価値がある映画だと思った、
今日の一本です。


映画『バードマン あるいは(無知がもたらす予期せぬ奇跡)』オフィシャルサイト| 20世紀フォックス ホーム エンターテイメント


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