マイルズ・テラー主演「セッション」は、かなり!見応えがあります。この映画は凄いと思いました。

引き続き、今年のアカデミー賞関連の映画を観ています。
・・・とはいえ、ノミネートされたとか、
何とか賞を取ったからといって、
それだけを基準に映画を選ぶわけではありません。

あくまで、言葉で説明が難しい直感だけを頼りに、
今日も映画を選びます。

さて、
今日ご紹介する映画は、
映画の予告編を見た記憶は無く、
ポスターと映画館のホームページにある、
短い説明だけを見て、映画を選びました。


・・という訳で本日は、マイルズ・テラーさん主演、
J・K・シモンズさんが、助演男優賞を取るなど、三部門で賞を取った映画、

 「セッション」

をご紹介します。

映画を見るまでは、
ドラマーを目指す若者が、
鬼コーチ(映画の設定は音楽学校の教授)にしごかれ、
そして一人前になっていく映画、ぐらいに思っていました。

実際はそんな感じで間違いでは無いのですが、
その内容が凄いのです。


映画の主人公(マイルズ・テラー)は、
一流のジャズドラマーになるため、
アメリカで最高峰の音楽学校である、
シャッファー音楽学校に入学した若者です。

夜な夜な一人で、学校のスタジオでドラムの練習をしているところに、
J・K・シモンズさん演じる鬼コーチが突然入ってきて、二人が出会います。

特に背景の説明が無いのですが、
音楽学校の授業は、
年次や技術レベルに応じてバンド(ブラスバンドのイメージ)を組んで
練習をするのですが、
主人公は初級クラスのバンドに属しているようです。
しかも、サブ(補欠)のドラム担当です。

一方の鬼コーチは学内ナンバーワンバンドを指導しています。
ある日、鬼コーチが、初級クラスのバンドの練習に訪れ、
各パート(演奏者)の演奏をチェックし、
そして主人公をスカウトして行きます。

夜に練習をしていた主人公の才能を見抜いた鬼コーチは、
全員をチェックする振りをして、主人公を一本釣りしたのです。

そして、そこから、主人公の試練が始まります。

最初の練習の日。
朝6時に練習開始だ。遅れるな。

と鬼コーチにいわれた主人公でしたが、
鬼コーチにスカウトされた晩に、

彼は前から気になっていた映画館の売店で働く
女の子をデートに誘い、浮かれて寝過ごしてしまいます。

しかし、急いで練習スタジオに行ってみれば、
練習開始は朝の9時だったのでした。

9時に近づくにつれ、バンドメンバーが集まり
楽器のセッティングをはじめていきます。
そして、9時ちょうど。

鬼コーチがスタジオに入ってくると、
スタジオ内に一気に緊張が走ります。

そして練習が始まるのですが、それは厳しいものでした。

バンドのメンバーが、激しく罵声を浴びせられ、
途中でクビになっていきます。

主人公も鬼コーチの指揮にテンポが合わないと言うことで、
スコア(譜面)を投げつけられられます。

さらに、鬼コーチの手拍子に合わせ、
主人公がドラムでテンポを取ろうとするのですが、
ほんのわずかなテンポのズレを鬼コーチが厳しく指摘します。

「テンポが速いのか、遅いのか、どっちだ。」

と詰められるシーンがあり、

1・2・3・ピシッ、
1・2・3・ピシッ、っと頬を打たれます。

私も多少音楽の心得があるので
一緒に考えるのですが、テンポが速いのか遅いのか、
正直分かりません。

そんな鬼コーチも、休憩時間になると、
主人公をなだめ機嫌を取るのですが、
再び練習が始まると、
暴言を吐きまくり、バンドをしごいていきます。


そして、この演技が白熱しており、
見事、助演男優賞をとった訳です。

J・K・シモンズさんの演技は本当に凄いと思ったのですが、
ただ、映画を見つつ、さすがにプロの音楽家ではなさそうな
気がしました。

しかし、映画を見た後、
wikiJ・K・シモンズさんを調べてみると、
大学で作曲を学んでいたと言うことで、
私の予想は間違えていることが分かりました。

ピアノを弾くシーンもあり、
これも相当練習したんだな。と思ったのですが、
私の見当違いです。

作曲を学んでいたと言うことは、
かなりピアノも弾けるということなのです。

一方の主人公を演じるマイルズ・テラーさんは、
彼が本当にドラムを叩いているとすれば、
この人も、ただ者ではありません。

片手でシンバルを叩きまくったりしているのですが、
常人のスピードでは有りません。

仮に、顔が写っていないシーンは別人が叩いているとしても、
それでもプロ級の腕前だと思います。
今時CGなんでしょうか?と思ってしまうぐらいです。

映画「セッション」は日本風に言えば、
鬼監督が出てくる、ど根性系のスポーツドラマの場面を、
音楽に変えたような映画です。

こんな厳しい音楽の世界が本当にあるのかと思いますが、
映画は、監督が高校生時代にバンドに属し、
鬼教師に出会い、怖い思いをした経験を脚本に
生かしていると言うことです。


J・K・シモンズさん演じる鬼コーチは、
この後も様々な方法で、
主人公に精神的なプレッシャーをかけていきます。

主人公は、ひたすら練習する他なく、
スティックを握る手からは血が出て、
それを絆創膏でとめ、更に氷水で手を冷やしながら
練習を続けます。

私もギターを始めたとき、あまりにも指が痛く、
絆創膏を貼りながら練習したものですが、
そんな比ではありません。(汗)

偉大なドラマーに成る為に、練習の時間が足りない
といって、仲良く付き合っていた彼女とも別れます。
彼女を演じるメリッサ・ブノワさんが可愛いので、
そこで別れるんじゃない。
あんな可愛い彼女はいないよー。

・・と映画を見ながら、心の中で思う訳ですが、
彼こそが、まさに若気の至りと思います。

後に、彼女にお詫びの電話を入れるのですが、
定石通り、彼女には新しい彼氏がおり、
彼は振られてしまいます。


そして彼は練習を続けますが、
鬼コーチのプレッシャーはさらにエスカレートします。
主人公に代わり、彼のライバルをわざと、
メインのドラマーにさせて、彼の競争心をあおるのです。

そして予想外の展開があり、
結局、主人公は事件を起こし学校を退学になります。

アルバイトをして暮らしを始めたとき、
ライブハウスで鬼コーチが演奏する姿を見ます。

見つからないように去ろうとしたとき、
鬼コーチから声をかけられます。

グラスを傾けながら、鬼コーチが言うのは、
自分は、素晴らしいミュージシャンを育てるため
に命をかけている。
時には過激な指導もしたが、
全ては若者に彼らの能力以上の力を引き出すためなんだ。
だから後悔はしていない。

そして今は学校を辞め、
プロのバンドを率いているが、
バンドのドラムがイマイチなんだ。
と主人公をバンドのメンバーに誘います。

鬼コーチに心を開いた主人公は、
再びドラムセットを出し、練習して、
鬼コーチのバンドで演奏しようとします。
しかし、
それも全て鬼コーチによって計算された罠だったのです。

舞台では自分だけが知らない曲を演奏することに
なり、主人公はまともにドラムを叩けません。
ステージで大恥をかくのです。

悔しさのあまり、
ドラムから立ち上がり舞台の袖に下がる主人公でしたが、
再びドラムに戻り、
そして彼の激しいドラム演奏が始まります。

そうです。
舞台で恥をかいたことで一流になった、
ミュージシャンの話を彼は、
鬼コーチから聞かされていたのでした。

そのシーンを、
予告編では「ラスト9分19秒 映画史が塗り替えられる」
とありますが、
彼のドラムソロは、心底ビートが響きます。

私はジャズは聴かないのですが、
音楽が良すぎて、つい、体も動いてします。
そんな場面でありました。

そして、何故映画のタイトルが「セッション」なのか
このラストシーンをみて、はじめて分かるのです。

師匠と弟子のセッションのシーンが
最後の最後に映し出されるのです。


本当に凄い映画なのですが、
帰ってネットで映画情報をみて更に驚くのは、
映画の監督である、デミアン・チャゼルさんは、
映画作成のとき、なんど若干28歳だったというのです。

彼は高校性のころドラマーを目指していたのですが、
そこで厳しい音楽教師の指導をうけた経験が、
この映画に生かされているとのことです。

こんな若者が、こんな偉大な映画を作れるなんて、
これがアメリカの凄さです。

ブラックリストという、映画化されていない
脚本を載せる本が有り、そこに掲載されたことで
資金が集まったそうです。


この人が将来、第二のスピルバーグになるんだろうか。
そんな事も感じてしまいます。
単に面白いだけでなく、精神的なレベルというか、
マインドの高さもハンパ無いと思います。

これは本当に凄い映画と思った、今日の一本です。
かなりオススメです。!!


映画『セッション』公式サイト


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