岡田准一主演「エベレスト 神々の山嶺」を観ました。

最近の邦画は、原作がマンガばっかりだなぁ〜。
でも、マンガはあまり読まないからいいか。
・・などと書いたばかりですが、
今回はいつもと違って、
原作のマンガを読んだことがあります。

しかもそのマンガは超面白く感動し、
加えて、
自分の知らない世界を知ることもできました。

本当に素晴らしい作品と思います。
谷口ジロー/夢枕獏「神々の山嶺」を読みました。 - つれづれなるまゝに、日ぐらしMacに向かいて・・・

・とか書きつつも、
本当はこのマンガの原作は小説なのですが・・。

それなのになぜ、”マンガが原作”という
書き出しをしたかといいますと、

映像化にあたり、映画スタッフは、
絶対にこのマンガを読んで、
参考にしたと思うのです。

キャスティングと云い、
絵的な世界観と云い、
マンガの世界観を映像化した。
そんな作品と感じます。

・・という訳で本日は、岡田准一さん主演映画、

 「エベレスト 神々の山嶺

をご紹介します。

つい何度みても読み方が一瞬???となってしまうのですが、
「さんれい」と打って漢字がでてきますが、
「いただき」と読ませます。

昨年後半に、
「エベレスト3D」という映画を観て凄く面白かったのですが、
何故かタイミングを合わせたかのように、
邦画でもエベレストをテーマにした映画が公開されます。

大自然パニック的な映画的とすれば、
作り方はアクション映画のようなものですので、
CD技術など、洋画(ハリウッド映画)に比べて
邦画は見劣りしてしまいます。

「エベレスト3D」の記憶も冷めぬ中、
この映画を見るのはどうかな。
と思ったのですが、
あれはあれ、これはこれ、で楽しめました。

「エベレスト3D」は実話をベースとしていますが、
神々の山嶺はあくまで物語をベースとしています。

絵の作り方、ストーリの見せ方など、
そもそもが違います。

神々の山嶺」のマンガを読む前は、
山岳登山の知識はもとより、
エベレストがどんなところかなど
全く知りませんでしたが、
神々の山嶺」のマンガを読んだことが
きっかけで私の知識は広がりました。

しかし映画版「神々の山嶺」では、
登山の知識やエベレストの知識は殆ど語られませんし、
必要としません。

「エベレスト3D」を観ると、
高度8,000mmの世界では空気が地上の1/3しかなく、
酸素ボンベが命綱であることが描かれるのですが、

神々の山嶺では、
無酸素登頂というセリフが一つあるだけです。

屈強な山男「羽生 丈二」を演じる阿部寛さんが
酸素ボンベ無しはあり得るとしても、
山岳カメラマンといえども、
初めてエベレストに登る「深町 誠」演じる
主演岡田准一さんが酸素ボンベ無しは疑問です。

↑「羽生 丈二」と「深町 誠」こんな二人です。

でも、そんな所をみる映画ではありません。


ここからは、
いつものように映画のストーリーを紹介します。

エベレスト初登頂を狙うも、
消息を絶ったイギリスの有名登山家マロニーが
持っていたと思われる古いカメラを、

「深町 誠(岡田准一さん)」が
エベレストの麓の街で発見するところから
ドラマは始まります。

古道具屋さんからカメラを購入しようとすると、
盗難品であることがわかり、
持ち主である「羽生 丈二(阿部寛さん)」と出会います。

「羽生 丈二」は日本山岳界の中でも、
数々の伝説を持つ登山家でした。

エベレストで行方不明となり、
死んだと思われていたのですが、
現地人に名前を変え、生きていたのです。

そして、その彼が持っていたのは、
エベレストで消息を絶ったマロニーのカメラです。
もしこのカメラにフィルムが入っていて、
エベレスト山頂での記念写真が入っていたら、
マロニーが世界初登頂をした証拠になるのです。


日本に帰った「深町 誠」は、
マロニーのカメラにロマンを感じ、
そして「羽生 丈二」に興味を持ち、
彼の歴史を調べていきます。

超人的な登山家である一方、
性格が歪んだ、
冷酷な登山家であると、
佐々木蔵之介さん演じるライバルの登山家や
元の登山仲間から語られます。

そして「羽生 丈二」を調べて得た結論は、
誰も成し遂げたことのない、
エベレスト登頂にチャレンジするチャンスを狙うため、
ヒマラヤの麓で暮らしている。
という確信です。

「羽生 丈二」が狙っていたのは、
エベレスト南壁の単独無酸素登頂でした。

エベレスト登山は幾つかのルートがあり、
山嶺(峯)を登っていくのですが、
「羽生 丈二」は、ベースキャンプから正面に見える、
南壁を真っ直ぐに登っていこうというのです。
(映画のホームページの写真のエベレストの中央を
登るというもの)

南壁は崩れやすい岩場で、
登山ルートも無いうえに、風の直撃を受けます。
そんなところをクライミングして山頂を目指そうと
するのです。

その前人未踏のチャレンジに、
カメラマンとして撮影をしながら、
ついて行けるところまで、
付いていこうとするのが主人公「深町 誠」です。

撮影を許す「羽生 丈二」ですが、
一方山で何か有っても助けない。と言い切ります。

羽生を追いかけ、可能な限り追いすがろうと
するのですが、技術・体力のさは歴然です。
落石に合い滑落してしまうのです。

普通は遭難。死亡というパターンですが、
「羽生 丈二」が彼を助けそして、
帰還させようとしたのでした。

日本で聴いた、
過去に「羽生 丈二」と一緒に山に登った
若い登山家を事故で殺してしまった噂は、
本当は嘘だったことがわかります。


映画「エベレスト3D」では、
ベースキャンプの様子や、
少しずつ高度を上げて行く訓練や、
アイスフォールというクレパス地帯を抜ける
様子などエベレスト登山が詳細に描かれていましたが、
映画「神々の山嶺」では、そういったことは
全く描かれません。

代わりに「羽生 丈二」の元彼女、
尾野真智子さん演じる「岸涼子」との切ない恋の行方、
人生を山にかけた男を追いかける
女の儚さが描かれます。

映画という限られた時間の中で描くには、
ちょっと物足りない感じもしましたが、
マンガの世界をしっている私にとっては十分です。


そして、
無事にベースキャンプに戻った「深町 誠」ですが、
「羽生 丈二」はついに帰らぬ人と成ってしまいます。
「深町 誠」を助けたことで日程をロスし、
嵐に巻き込まれてしまったのです。

そして次は「羽生 丈二」が本当にエベレスト南壁を
登ったかを知るため、
「深町 誠」がエベレストに登ります。

マンガを読んだときは、えーっ。そんなことするの?
と思いましたが、
マンガ同様、映画でも「深町 誠」はエベレストに
単独登頂するのです。

そして、マンガと同じように、
氷の固まりと成った「羽生 丈二」と再開します。

つまり「羽生 丈二」は登頂に成功したのでした。
生きて帰らなかったら意味がない。
と言い続けた「羽生 丈二」も今では氷の固まりです。

映画では、目を見開きながら凍ってしまった
阿部寛さんが映し出されます。

あまりにも良く出来ているので、
本物なのかCGなのか人形なのか区別つきませんが、
リアルです。

エベレストに登るも、嵐の中憔悴しきった、
「深町 誠」は「羽生 丈二」の最後を記した
ノートを見つけます。

そこにはあくまで「生」にこだわり、
生還しようとする「羽生 丈二」の魂の言葉が
書かれていたのです。

 足が動かなかったら、手で進め、
 手が動かなかったら、指で進め、
 指が動かなかったら、歯で進め、
 歯が動かなかったら、目で進め、
 目が動かなかったら、思いで進め、

と記されていたのでした。

目を見開いていたのは、最後まで生きて帰ることに
に執着した「羽生 丈二」の姿を表現したのです。


結局「深町 誠」はどうにかエベレストから生還し、
「岸涼子」が待つベースキャンプへと帰って来ました。

映画ではあまり表現されていませんが、
二人で「羽生 丈二」を追いかけるうちに、
いつしか「深町 誠」に恋心を持っています。

と、そんな映画です。

原作でも、映画でも主演は、
「深町 誠」演じる岡田准一さんで、
圧倒的に深町のシーンが多いです。

しかし映画では「羽生 丈二」演じる
阿部寛さんの圧巻のシーン、存在感を考えると、
阿部さんが主役と言っても良いぐらいと思います。

特に最後のシーンなど、
(繰り返しますが、)
本人なのかCGなのか人形なのか解りませんが、
凄い映像です。


最近ネットで読んだ記事ですが、
岡田准一さんの体はもの凄く鍛えられており、
美形アイドルとは思えないオーラを発しているそうです。
映画をみても、顔つき・体つきはただ事ではありません。

しかし、その岡田さんのさらに上をいくのが、
阿部さんではなかったかと思います。
完全に超人登山家「羽生 丈二」に成りきっています。

私も阿部さんと同世代なので、
阿部さんがイケメンモデルだった頃から
良く知っているのですが、
先日はギリシャ人を演じているかと思いきや、
こんどはこの演技です。
本当に素晴らしいと感じた今日の一本です。

http://everest-movie.jp


追伸)
本作は角川映画40周年記念作品とのことです。
セーラー服と機関銃」もそうなのですが、
ずいぶん気合いが違う2本だなぁ〜と思いました。


今日のアクセス:467,531(2016/4/25記)