「今、そこにある苦悩からの脱出」を読みました。

「今、そこにある苦悩からの脱出」とは、

なんとも、嘆かわしく、しかし、興味をそそるタイトルでしょう。

誰でも、今、そこにある苦悩から脱出をしたいと思います。


貴方にはどんな苦悩が有りますか?


最近あるWebサイトで、人間の寿命は本当は30歳位なのに、
長く生き過ぎたため、苦悩も増える。
(苦労は30歳からグンと増える。)

といった話を読みました。


では、10歳の私は、17歳の私は、20歳の私は・・・
悩みなど無かったかというと、そんなことはありません。

今の私は、18歳の私にも、27歳の私にも
様々なアドバイスが出来ます。

(そういった意味では、私も多かれ少なかれ、
学習し、成長したのかもしれません。)


でも、30歳の私、35歳の私に対するアドバイスは、
今の私にとって難しい物が多く存在します。

若い頃の悩みは、将来(つまり今)に対する悩みで、
ほとんどが解決してしまったのに対して、
30代を過ぎた悩みは、人生に対する悩みです。

悩みの質が変わりました。


先日、40歳を過ぎたら亡くなってしまう人も増える。
5年後を考えて行動しよう。
という本を紹介したのですが、
期せずして、私と同い年の、伊良部さんが亡くなりました。

彼はどんな苦悩を抱え、どうして脱出することが出来なかったか。
相談する人は居なかったのだろうか。
・・・多くの人がその点を想い、そして悲しみます。


さて、著者である斉藤孝先生は、
そこにあった苦悩から脱出した一人です。

本書を読むと、斉藤先生の学生時代から、
「声に出して読みたい日本語」を執筆して有名になるまでの、
苦悩の歴史を綴った本で、どちらかというとエッセーといった
雰囲気の内容です。


弁護士を目指した受験時代、
弁護士から、教育者へ目標を変更した学生時代、
研究テーマが独創過ぎて、何年も苦労した大学院時代、

その後、明治大学に職を得たエピソードなどが、
詳しく記されています。


苦労して世の中に出て来た人に共通して言える、
いわゆる下積み時代と、それをどうやって乗り越えたか
分かる内容です。


信念の論文と、奥さんと子供さんに食べさせる事。
この2つが斉藤先生を苦悩から脱出するための、
原動力となりました。


ここらへんの下りは、
先日ご紹介した、「勤めない生き方」にも共通するものを
感じました。
私も大学時代、薄々察しましたが、大学の先生になるという
ことは、無職と紙一重の世界です。
よっぽど恵まれないと、卒業後すぐに職にありつけず、
オーバードクター(博士コースを卒業して職が無い
研究員の方)となってしまいます。

斉藤先生もオーバードクターを経て、現職となり、
次々に本を出し、TVなどでも有名となりました。


この本を読んで思うのは、色々なテーマーについて書かれて
いますが、いったい誰向けに書いたのだろうか。?
という事です。

なんとなく、20代の若者向けの内容のように思えるのですが、
本当の苦悩は30歳を過ぎて始まると、(私は)思うので、
その年代の方が期待すると、ちょっと違う本ということに
なるかと想います。

本書を読んで、本筋以外のところで一番心に残ったのは、
恋愛で、振られたくないので、引っ込み思案になる。
という話の流れで、

私は自分の(容姿などの)好みより、相手が自分に関心が有るか
どうかで女性を判断する。
自分に興味が無い女性は好きに成らない。

と言い切っている、フレーズです。
最初読んだ時は、そんなにモテるのか。
次に読んだ時は、なんて合理的。
・・と想いました。

ちなみに私は・・・、
もちろん、そんな割り切りは出来ず、
良い歳をして独身を突き進んでいます。
だいたい自分に興味を持ってくれる女性など、
なかなか居る物ではありません。(涙)
(斉藤先生は、モテ男に違い無いのです。)
と、思いました。


進学や就職など、これからの進路に悩む若者に読んで欲しい
一冊だと想いました。
また、斉藤先生を研究したい方は、一読する必要がある内容です。