橘玲「悪玖夢博士の経済入門」を読みました。

10年位前でしょうか、
お金持ちになれる黄金の羽根の拾い方 ― 知的人生設計入門
など、橘玲氏にハマってしまい、著書を何冊か読みました。

個人のお金(資産形成)にまつわる話が多く、
どの書籍も当時の私にはインパクトがある内容だったと
記憶しています。

今回、何年かぶりに橘玲紙の「悪玖夢博士の経済入門」を
読みましたが、更にインパクト具合が増しているように感じました。

本書は、

 ・行動経済学
 ・囚人のジレンマ
 ・ネットワーク経済学
 ・社会心理学
 ・ゲーデル不完全性定理

の5章から構成されております。

目次をみると相当に難解な印象を持ちますが、
中身は小説仕立てで、容易に理解出来るように工夫されています。
(ただし、若干悪ノリ的な印象も否定でいません。)

表紙の、悪玖魔博士のイラストからインパクトがありますが、
中を読んでも登場人物それぞれにストーリ全てにインパクトが有り、
引き込まれました。


例えば、一章の「行動経済学」にあるストーリでは、
借金は多くなるほど感じにくくなるといった話です。
数十万の借金をした人がどんどん借金を増やして行き、
最後には、感覚が麻痺してしまいます。

確かに10円100円を節約する方達が、ローンで家や車を買う時に、
様々なオプションをつけたりする話は有名です。
また、ここでは、目先の現金は将来の現金よりも価値がある。
という有名な法則も紹介されます。

手元の1万円刷は、(福利で利子がつくので、)10年後の1万円よりも
価値がある。といった経済の話を何処かで習いましたが、

行動経済学では、何時獲物(現金)が取得出来るか分からない。
という狩猟時代の記憶があるため、特に目先の現金をほしがる。
といった特性を紹介しています。


ネットワーク経済学では”いじめ”問題をテーマにネットワーク理論を
説明しています。想像を超えるストーリ展開ですが、
ネットワークの性質である、ハブ(たとえばいじめられっ子)と
呼ばれる拠点に集約されるとか、ある出来事(突拍子も無い事件など)
で突然変異する(いじめが解消される)。といった特性が理解出来ます。


文庫本と安易に考えて帰省中の新幹線の中で読みましたが、
中身がみっちり詰まっていて、読み終えるまで結構時間がかかりました。
(文庫本の値段を考えたら、1章でもとが取れると思います。)

本書は、初心者向けに書かれていますが、
初心者というよりも、多少知識のある人が読んだほうが、
よりインパクト度合いが増すのではないかと思います。


最後に吉本佳夫氏の解説があります。
学生に本書をテキストとして紹介しているとの事でした。

吉本氏は「出社が楽しい経済学NHKにて放送)」の監修をされた
ということで、番組中でも、本書のイラストを真似て使っているとの事でした。
私もテレビを見ましたが、こちらも面白い内容でした。
冒頭部分だけですが、時間があればどうぞ。
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一度経済学の勉強に挫折した人、ビジネス本や専門書の合間の
息抜きとして、読んで頂ければと思います。