谷口ジロー/夢枕獏「神々の山嶺」を読みました。

今日も、夏休み特集です。!!
ココ数年、ビジネス本ばかり読んでおりまして、
漫画本を読むのは、久しぶりです。

さて、
私がココで書くまでもなく、日本の漫画は、
コミックから芸術まで幅広いバリエーションがありますが、、

本日ご紹介する「神々の山嶺」は、間違いなく芸術作品※だと思います。
※2001年に第5回文化庁メディア芸術祭マンガ部門・優秀賞

2000〜2003年に「ビジネスジャンプ集英社)」に連載されていた
ということで、既に10年程前のものですが、
こんなスゴい漫画を10年も読んでいなかったとは、なんとも・・・。


本書のストーリーは、
ヒマラヤ登山に挑む、登山家「羽生 丈二」と、
羽生を追いかける山岳カメラマンであり主役の「深町 誠」の二人の
ストーリです。

メインと成る登場人物は多くなく、派手さもありませんが、
無理の無い丁寧なストーリ展開と、
見た事が有るのか?という位、真に迫る登山シーンがいくつも
登場する迫力あるストーリです。
※原作は夢枕獏さんの小説です。
沢山の取材に裏付けられたのだと感じます。


ヒマラヤ登山というと、最近は、
三浦雄一郎さんの75歳を過ぎてからの最高齢チャレンジや、
野口健さんの掃除登山などが有名です。

野口健さんが、テレビで(ヒマラヤ)登山の怖さを、
例えば、クレパスを渡る様子や、遭難して亡くなった人が
すぐ道の横にいる話など、
おもしろおかしく話をしていたりしますが、
普通の人が映像としてみる事は出来ません。

しかし、このマンガを見ると、我々の想像力でも十分というぐらい、
イメージを膨らます事ができると思います。


知識として、滑落し骨折など怪我をして、気絶した状態で、
ザイル(ロープ)にぶら下がると、
苦しくて無意識のうちにナイフで衣服を切り裂いてしまう
(その後は凍死です)等を知っていたのですが、
まさに、同じ状況から生還する羽生のシーンなどがあり、
映画などの表現を超えていると思いました。

そして、更に驚くのは、読んだあと、Wikiで調べてみると、
羽生には実在のモデルとなる登山家がいて(森田勝氏)
実際に滑落し、4時間も気を失い、その後自力で生還した。
という、史実に基づく物語だったということです。


最近は山女など、登山が流行っているようですが、
この漫画を読むと、次元の違う登山の世界を知る事ができます。
私も多少山登り(登山以下のレベルです。汗)には心得が有るのですが、
ヒマラヤという、本当の山岳登山がどんなものか、
この本を読んで初めて知った次第です。

漫画化にあたり、夢枕獏さんが、谷口ジローさんを指名したそうです。
谷口さんの絵は本当に素晴らしいと思いました。
最後の方で少しストーリ展開が急になる印象はありましたが、
このごく小さい点以外は、本当にスゴい漫画だと思いました。


冬山登山の話なので、見た目も涼しい(というか凍ります)です。
興味の有る方は、この夏是非チャレンジしてみてください。
お薦めです!!