辻井いつ子「親ばか力」を読みました。

もしも障害をもつお子様が生まれたら、どうしますか?
子供が生まれるとき、誰もが五体満足であることを望むと言います。
もしも自分の子供に障害があったら、
大切な子供の才能に気付き、
伸ばしてあげる事が出来るでしょうか?

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今日は「親ばか力」という子育ての本をご紹介します。

私は独身ですので、もちろん子供はおりませんが、
子供の教育には少なからず、興味があります。

ましてや、全盲のピアニスト「辻井伸行」さんを
育てたお母さんの話は、
私に限らず、親世代の多くの方の興味を引くのでは
無いでしょうか。

プロのピアニストという音楽家とも成ると、
育てるだけでも普通の家庭では想像できない
苦労があると思います。
ましてや、世界的なコンクールで優勝です。
我々の想像を絶するご苦労が有ったに違い有りません。

本書では、伸行さんが生まれてから、
プロのピアニストとして旅立つまでの生い立ちが、
著者である、辻井いつ子さんの上手な文章にまとめられ
ております。

障害を持つ子供を生んだ、母親の苦悩にはじまり、
(伸行さん特有ともいえる、)音に対する感受性が強い
がための子育ての難しさ。
(ちょっと変な音がすると難しくなるなど。)
音楽の才能があるのでは無いかと気付いた、母親としての気付き。
(お父さんのほうは、お医者さんということで、
ドライに見守っていたようですが。)

また、
おじいさんである、義理のお父さんもお医者さんということで、
「障害を持つ子供は、必ずある一定の確率で生まれるものだ。
ウチに生まれてきたからには、しっかりと育てて行こう。」
といった話には感動を覚えます。
旦那さんのご両親に何か言われたら、お嫁さんとしては、
立つ瀬が無いですものね。

しっかりした”学が有る。”立派なご家族に恵まれた、
伸行さんといつ子さんは、意味幸せなほうかもしれません。

その後、数々のピアノの先生や、有名な音楽家と出会います。
人の出会いもピアニスト辻井伸行をつくる上でとても重要役割を
していると思います。
目が見えない訳ですから楽譜が読めません。
そういった障害に対して、理解のある先生との出会いを、
母である、辻井いつ子さんが、引き寄せます。

ピアノがうまくなってからは、更に有名な音楽家と出会って行く
のですが、本書で読むとあまりのスムーさに、
まるで何かの成功ストーリー(物語)を読んでいるかのようです。


最初は、たまたまお母さんが子供の頃に習っていたピアノの音を聞き、
赤ちゃんだった伸行さんが音に反応したところから始まります。
楽譜が読めない伸行さんのために、先生が右手と左手のパートに分けて
録音したものを、伸行さんが耳で覚ることで練習をします。
一曲を仕上げるのに、どれだけ時間がかかったか知れません。


ポイントは、親はいかに子供の才能に気付き、それを伸ばして
上げる事ができるか。といったことに尽きると思います。

その様子を、辻井いつ子さんは「親ばか力」と名付けていますが、
親が子供のファン第一号になるというのは、ピアノに限らず、
どんな世界でも通じる話であると思いました。
そして、全てを導いたのが、著者の「親ばか力」です。

詳しい話は本書を読んで頂くのが一番では無いかと思いました。