香山リカ「「こころのSOS」をもっと発信しよう」を読みました。

頑張れ。頑張れ。
頑張らなくてもいいんだよ。
あなたは、どちらが応援してもらいたいのは、どちらですか?
日本人は真面目だから、頑張り過ぎます。
時には弱音やグチつまり「こころのSOS」を声に出しても良いんだよ。
というのが、香山リカ風です。

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最近はお二人のブームも落ち着いた感もありますが、

カツマー(勝間和代)さん >> 頑張って仕事をして成功しよう。
カヤマー(香山リカ)さん >> そんなに頑張らなくていいんだよ。

このお互い、相反する対立軸は、
雑誌やテレビなどのマスコミにウケました。


私は、どちらの考えも支持しており、
時と場合によって異なるもの。コインの表裏。と考えています。

この国は、二宮尊徳松下幸之助に代表される働き者が
美徳とされる国ですから、基本は頑張って仕事しよう。
といった考え方が受け入れ易いと思います。

社会人として、頑張って仕事をしよう。
そして成功しよう。といった考え方は、
きわめて真っ当である一方、
頑張り過ぎて、心底疲れた人には、
そんなに頑張らなくてもいいんだよ。
といった優しい言葉が必要です。

そんなに頑張らなくてもいいんだよ。
は、出世しなくても適当に飯が食えりゃいいや。的な
考え方ではありません。


このような常識的な話を、もっと頑張ろう。
の対立軸として盛り上げようとするマスコミもおかしな人達
ですが、当のお二人もテレビなどで盛り上げています。

二人の意見は相反するものでない。
ということは、きっとお二人とも認識している筈ですが、
恐らく、テレビの台本どおり、番組を盛り上げているだけなのだ
と思います。(そういった意味では、罪深い二人です。)


ところで、私事で恐縮ですが、
数年前、会社の管理職研修を受けました。
その際に、管理職の仕事とは何か。という偉いさんの有りました。

昔は、大きな仕事のマネジメント(タスクと予算とスケジュール)
が管理職の仕事だったが、これからの管理職は、部下の精神面
の管理が仕事だ。という話でした。

話をきいた時は、あまり現実感もなく、心の管理って何だよ。
と思ったものですが、今時どこの組織にも、精神的に参って
出社できない社員がいる時代です。

新人や5月病の類いではありません。
中堅の仕事ができる人だったりします。


香山さんは、そんな人達(とその予備軍)に対して、
頑張らなくてもいいんだよ。

・・と、説いています。


(本書を読むと分かるのですが、)
ポイントは”いつも”頑張らなくてよい。であって、
”少しだけ”サボろうよ。と書かれている点です。

会社にとって、精神面で貴重な戦力を失う事は
大きな損失であり、”やる気”つまりモチベーションを
向上するようにコントロールする事が、業績に繋がります。


さて、
本書は、香山リカさんが日々感じるところをエッセーに
まとめた物です。
香山さんの日常である、診療風景が目に浮かぶようです。

しかし、
本書を最も有名にしたのは、
3.11の震災以降の部分だと思います。

震災後(土日だったこともあり)国民の多くはテレビなどの
マスコミに釘付けに成りました。
そのため、テレビを見て精神的に不調に陥るケースが多く、
たまにはテレビやネットを止めて、普段通りの生活をしてみたら。
と訴えかけた点にあると思います。
(これは、テレビには出来ない事、言えない事です。)

当時は私も、毎日テレビを見続け、お陰で気分が立っていました。
精神的に不調となることは有りませんでしたが、
およそ仕事などしていられない気持ちでした。

”頑張らなくてもいいよ”、や
”普段通り過ごそう”

は、とても大切なメッセージだったと思います。

「私は普通です」といった方は、もしかしたら自分に気付いていない
ダケかもしれません。
「こころのSOS」をもっと発信しても良いのでは無いか?
と本書を読んで思いました。
気楽に読めますので、幅広い方々にお薦めの一冊です。