「ゆれるあなたに贈る言葉」は読み応えがあります。

「男は常に、周りの順番や評価を気にしながら生きている。」
(だから、男は一定の評価や順番を確認するまでは、常に自信が無い。)

というような話をとあるセミナーで聞きました。

そのとき、「なるほど!」と感じ入ったのは、
どうやら、私だけでは無いような雰囲気でした。


男はいつの頃からか、
周囲と自分を比較しながら生きているのです。
自分の順番や周りからの評価が、気になって仕方有りません。

ここで、男を手玉に取りうまく操るには、
「貴方が一番よ」的に声をかけてあげれば良く、
つまり、キャバクラなどで使われる、
女性の基本的な会話術という訳です。


思えば私自身、小さな頃から体格や力の強さ、
おもちゃやゲーム、はやまた、自宅の大きさや車の立派具合・・・
友達と比べて、勝ったり負けたりするのは、
ごく普通のことでした。
(私の場合は、大概負けていたのですが・・。涙)

ちょっと大きくなると、
テストの成績や偏差値、100m走のタイムなど、
数字で順番がわかります。

そして、そこから四半世紀も経ち、社会人に至る今でも、
数値による勝負があることは変わりません。
(最も端的に示す物は、年収の数字だったりする訳です。)

このように男は、周りの評価や順番を気にしながら
生きているわけで、改めてそれを指摘されると、
”なるほど”と感じ入るわけです。


男の、勝ったり負けたりや、何事も数字や物の大きさにこだわる
感覚は女性にしてみれば意味不明なものらしいのです。


つなわち、ほとんどの場合、自分で勝手に思い悩んで
いるだけで、人生を生きるにあたっては、
さほど気にする必要はない。
と、冒頭のセミナーではまとめていました。


前置きがメチャクチャ長くなってしまいました。

本書は、NHKの国民的番組とまでいわれた「プロジェクトX
を作り上げた(プロジェクトXプロデューサー)、
今井彰氏が書き上げた、サラリーマンの指南書ともいえる書籍です。

タイトルである「ゆれるあなたに贈る言葉」の
”ゆれるあなた”というのは、前おきで延々と書いた、
世の中一般的な”男”のことです。
(どうも迷って揺れているのは、私や貴方だけではないらしいのです。)


今井氏によると、「プロジェクトX」が有名になってからというもの、
番組を作ったのは、オレだ。と名乗る人が20人程いるそうです。
確かに、様々な関係者がいたことは事実と思いますが、今井氏によると、
オレだ。と名乗れるのは、自分と、統括部長をしていた鬼頭氏の
2名とのことです。

このエピソードは、本書の1p目に紹介されるのですが、
つまり、周りの評価を気にしなかが不安に生きている男達が、
いかに多いかということです。


他にも、プロジェクトX作成や、NHKのどろどろしたエピソードが、
沢山書かれているのですが、
業界の体質なのか、伝統のある組織では避けられないのか、
大組織ではごく普通にあることなのか、

正直私の勤める会社では、目に出来ないことも多く、
驚きました。

大学時代の就職先として、NHKは雲の上の存在でした。
ちゃんとした筆記の試験があり、友人が合格したことを
思い出します。

そんなNHKが、こんな状態とは想像も出来ませんでした。
プロジェクトX終了にあたって、ごぐ一般の人はネタ切れ。
と思ったに違いないのですが、本書のような内部事情があった
とは驚きです。


本書では、出世やお金、悪い上司に当たった話など、
サラリーマンには必須の話題を、13にまとめて綴っています。
かなりみっちり書かれた内容で、読み応えがあります。

また、トヨタが普通乗用車を作った話や、ビクターが
VHSビデオを作った話なども、いくつか紹介されており、
サラリーマンが頑張ると、どこまでできるのか。
ということも分かります。

ゆれる貴方、悩めるサラリーマンの方は是非ご一読ください。
この本はお薦めです。


追伸)
ちなみに、プロジェクトXのテーマ曲に、
中島みゆきさんを選んだのは、本人がファンだった。
ということなのです。
みゆきさんは、通常この種の仕事を引きうけない。
と言うことなのですが、純粋なファンの力は強い。
と今井氏は書いていました。
無理を可能にする方法なども、参考になると思います。




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