「一分間スティーブ・ジョブス」を読みました。

「Stay Hungry. Stay Foolish.」

2005年にスタンフォード大学で行われた、
スティーブ・ジョブス氏(以下ジョブス)の
スピーチの締めくくりの言葉です。

その後プレゼンテーション本などで紹介され
有名なセリフとなったのですが、
この4つの単語の日本語訳がとても難しく、

某経済新聞では「ハングリーであれ。愚か者であれ。」
と訳し、それはどうか?と評されたりしました。


本日ご紹介する「一分間スティーブ・ジョブス」にも、
スピーチの日本語訳が載っておりまして、
最後の4文字を、「倦む※ことなかれ、愚直で有り続けろ」
と訳しております。

※”あぐむ”と読むらしいです。
 退屈する、飽きる、嫌になるといった意味です。

私個人的には、

Stay Hungryは、若い頃描いた、高い志を忘れず
Stay Foolishは、周りの雑音や世の中の常識に捕らわれず

自分の道を探求しろ。

といった意味だと勝手に思い込んでいたのですが、

「Stay Hungry. Stay Foolish.」

は、知人と会話しても解釈はまちまちでした。

いずれ、訳しかたには、その人の考え方や経験などが
出てしまうようなのですが、
そういった意味でも良く考えられている、
センテンスなのかもしれません。


ジョブスは59歳の若さでガンで亡くなってしまうのですが、
現在の彼を有名にしたのは、Appleというパソコンの開発では
なく、iPodiPhoneで成功を収めたことだと思います。

私は、会社に入って最初に借金をして購入したのが
Macintoshというコンピュータに憧れていました。
秋葉原のお店でローン用紙を記入した日のことは今でも
覚えています。

Windows95が全盛の時代ですから、Macを購入するのは、
どちらかといえば変わり者で、友人にはAppleはそのうち潰れる。
とか馬鹿にされたものです。

あの時代から考えると、現在のAppleの株価時価総額
世界一というレベルになるとは想像も付きませんが、

馬鹿にした友人も、今ではiPodiPhoneを使っており、
Apple社の売り上げに貢献しています。
(某携帯メーカに勤めているのですが・・・。)


さて、以前に一分間ドラッカーをご紹介しましたが、
西村克己「一分間ドラッカー 最高の成果を生み出す77の原則」を読みました。 - つれづれなるまゝに、日ぐらしMacに向かいて・・・

この本が良かったので、ジョブス本も買ってみました。
(出版されたのは、ジョブスが亡くなる半年ほど前のことです。)
文章のまとまり具合や、読み安さは良質なレベル感を感じました。

本書は、ジョブスが大成功を収める前のエピソードを
中心に編集したといい、その理由として、
自ら立ち上げたAppleを追い出され、沢山の挫折を経験し
人間が成熟した後では、彼の本質が解らないから。といいます。

若い頃Appleの本をいくつか読みましたが、
私のようにある程度の知識をもって読んでも、
本書で読む、ジョブスのエピソードは意外なものが多く、
どちらかというと、イヤな奴。といった印象をもってしまう
かもしれません。

iPodを開発したエピソード、クリック3つで使えるようにしろ。
とか試作品のダメだしが半端無かったとか、エンジニアとして
伝説的な話は伝わってくるのですが、
本書を読むとジョブスの本当の凄みは、
人使いのすごさにあると思います。

時に、人をほめ、餌を与え、罵倒し、首を切り、週に90時間働かせ、
Appleという会社は成り立っています。

少なくとも、日本の大企業で出来る事では無いと感じます。
日本で同じようなことをすれば、ブラック企業どころの話では
無いかもしれません。

「彼のことは、いろいろな意味で好きだけど、信用はおけない」

とジョブスをAppleに復帰され、そして追い出された
ギル・アメリオ氏は言ったそうですが、本書を読むと、
ジョブスを上手く言い表している印象を持ちます。


副題は「人生に革命を起こす77の原則」となっています。
ジョブスのエピソードや言葉が綴られているわけですが、
「一分間ドラッカー」本に比べて、自分で参考にしたり、
真似ができそうな部分があまりにも少ない気がしました。

コンパクトにまとまっていて、内容は面白いのですが、
沢山あるジョブス情報の中のひとつとして読んで頂きたいと
思いました。



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