「人生をやり直すための哲学」を読み、ときには哲学を感じてみるのも一興かと思いました。

一つだけ願いが叶うなら、何を叶えて欲しいですか?
と、神様に訊ねられたら、

「時間を巻き戻して欲しい」とか、「あのときに戻りたい」

と答える人は多いのではないかと思います。

このように考えるのは、つまり、
あの時・あの頃から人生をやり直したい。
という事だと思います。

どんな若者であっても、お年寄りであっても、
「あの時」に比べたら、(若さはありませんが、)
知恵を得て、経験を重ねています。

あのとき、どうすれば(もっと)良かったか。
痛い経験ほど分かるのです。

それが歳を取ると言うことであり、
人が成長していくという事なのだと思います。


私の場合、社会人になってからは、ろくに仕事ができず、
辛い思いをしたので、あの頃に戻りたいとは思いません。
「若さ」除けば、今は、まんざら悪くないと思っていますが、

ひとつだけ、
こと恋愛の話になると、
あ〜。あの頃に戻りたい。と思うことが多々あります。
(あの頃にもどったら、今頃は誰と結婚しているのだろうと・・)


大切なことは、あの頃に戻ってしまうと、
知恵や経験も無くなってしまうので、
きっと同じ失敗を繰り返してしまうだろう。
ということです。


しかし人類とは、たいしたものです。
失敗にや経験を書籍として蓄積してきました。


本日ご紹介する「人生をやり直すための哲学」は、
沢山の人が、人生をやり直したい。と思うほどの失敗に対して、
過去の偉人はどうすれば良いと考えたか。
について簡単に、分かりやすく書き記した内容です。

本書は、

「悪妻を持てば哲学者になれる(ソクラテス)」

の紹介から始まります。

お互い年中悪口を言い合っていたそうですが、
じつはソクラテスは妻を愛しており、
妻もまたソクラテスを愛していたエピソードが
記されています。
本書を読むまでは、ソクラテスの妻は悪妻だと
ずっと思っていましたが、実態とは違うようです。


また、「お金が無くてどうしたら良いのでしょうか?」
というテーマに対しては、マルクスを紹介しています。

マルクスは哲学者というよりは、(資本主義の問題点を
明らかにしようとした「資本論」で有名な)経済学者と
して知られていますが、本書では彼の哲学的なメッセージ
を金言として紹介しています。

「豊かな人間とは、自信が富であるかのような人間であって、
富を持つ人間のことではない。(マルクス)」


このように有名な方から、初めて知る方まで、
ざっと20名の知恵を哲学として紹介しています。

読んでみた印象としては、本当に人生をやり直したい。
と悩んでいる方が参考にする。というよりも、
哲学史上の有名人を、とっつき易く紹介した参考書的な
内容だと思いました。

すこし心が折れかかっているかたや、
哲学の教養を得たい方など、
気軽に読んでみてください。

本書を読んで思うのは、
ここに紹介される偉人は、きっと哲学とか立派なことを
書き残したかった訳ではないということです。

真剣に人生を生きた結果が、たまたま本書に紹介されるように、
人々の共感を得たのだ。と感じました。

そして、誰もが悩みが深い生き物。
ということです。

「人生にはたいした意味はない。(ニーチェ)」

とのことで、
時折訪れる幸せを素直に喜ぶことが人生なのだそうです。

”時折”とは、人生とは悲しいものですね。



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