絹谷幸二著「群れない生き方「常識人間」を捨てる44の法則」は、画家の壮絶な人生論です。

私の沢山の興味は、
成功本(自己啓発本)の内容に集約されるので、
これまでも沢山の成功本を読んできました。

多くの成功本の概要は、

 紙に書いて、毎日眺めれば・・
 成功できないのは、単なる思い込み・・
 自らの行動力が・・
 信頼を得ることが、お金を得ることよりも・・
 (お金は信頼の後からついてくる系。)
 悩み考え行動すれば、奇跡は起きる・・
 etc.

など、

この種の本を数冊読めば、
ある程度集約できるように感じます。


しかし、それでも成功本を読み続けるのは、
隙あらば、怠けようとする怠惰な気持ちを
奮い立たせるのが目的です。

従って、同じような内容でも、
読み続けることが大切と思っています。


さて、本日ご紹介する、

「群れない生き方 「常識人間」を捨てる44の法則」

も、そんな気持ちで読み始めました。


タイトルから想像するに、人と同じ事をしない。
例えば、相場の世界で云うところの

「人の行く裏に道あり花の山」※

の話かと思いました。

※相場の世界で有名な格言で、
 花見の歳に、混雑する人をさけ、
 裏道をいくと、満開の花を見ることができた。
 というたとえ話が由来。

 注目度の低い銘柄で一人勝ちするような
 ニュアンスが含まれる。


しかし、
読んだ感想は、こんな単純なものではなく、
もっと深い世界観、哲学のようなものを感じました。


本書は、絹谷幸二氏が自らの半生を振り返り、
日本を代表する洋画家に至るまでの、
様々な分岐点とその時の判断の気持ちが記されています。

この点は、他の成功本と同じなのですが、
どこかにネタというか、
オリジナルの話(思想)がありそうな、
他の成功本とは異なっており、

似たような話であったとしても、
絹谷氏の強い個性を感じました。

一つの理由は、絹谷氏の職業である、
画家の人生に照らし合わせて述べられていること
にあると思います。

画家を目指し芸大を卒業したけれど、
安定収入に負け、教師になってしまう話。

画壇に入った物の、派閥に属してしまった話。

絵を売ってください。
・・・と、甘い話をもちより近寄ってくる数々の罠。

etc.

このような芸術の世界は、
私にとって多くは、小説やドラマの話ですが、
実際にそのようなことがあるんだ。
と本書を読みながら感じます。


本書のタイトルが示す、「群れない生き方」とは、
このような俗世にまみれた世間(画家)の、
お金や甘い話、名誉や地位などに屈せず、
独自の道を開こうとして努力した結果が、
今の自分である。

絹谷幸二氏は、そう述べたかったのではないかと思います。


他の人とちょっと違う事をしてみよう。
そんなレベルではありません。

これから画家を目指そうとする若者に、
最も伝えたかった内容ではないか。と感じます。


20代の頃、毎日チキンラーメンを食べて、
絵を描くことに集中しすぎて、一瞬心臓が止まった話や、

そんな貧乏を経験した絹谷氏に、絵を売ってください。
と数千万の現金を見せつけられ、断った話もあります。

言葉では、

画家はどんなに貧乏であっても、
心は貴族でなくてはならない。

と、本文の言葉で簡単にまとめているのですが、
一流の画家になるには、そこまで壮絶な人生(経験)
を経なくては行けないのか。

・・と並々ならぬ物を感じます。


並の人間が、「群れない生き方」を実践するには、
かなり高いハードルというか、
絶壁を乗り越えなくてはなりません。

しかし、
いつかは、その絶壁を乗り越えてみたいものです。


本書は、文体はとても読みやすく、
いわゆる成功本に読み飽きた方にお勧め出来ます。

もちろん、画家としての絹谷氏をもっと知りたい方、
画家の壮絶な人生に興味を持つ方にもお勧め出来ます。

他の成功本とは、ひと味違います。



追伸)
本書を読んで、絹谷氏を知ったのですが、
長野五輪のポスターを書いた方ということです。

参考URL 信濃毎日新聞より
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ほかにも、「絹谷幸二」で画像検索をすると、
沢山の絵が出てくるのですが、どの絵も超個性的
過ぎるインパクトのある絵です。


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