「敗者の錯覚」は一流の経営者が行わない内容をまとめたものです。

失われた10年」に変わり、
「失われた20年」という言葉が定着してきました。

経済は波打つ性質に有るので、
理屈の上では、いつかは回復する筈です。

しかし、
(よくご存じのように、)
現在の日本では、経済が再浮するきっかけが見あたらず、

このまま、ズルズルと、
失われた30年になりそうな雰囲気が漂っています。

その時は、失った●年ではなく、
失われた状態が「普通」になるわけですから、
話のネタにすらならないでしょう。

一方で、そのような状況は、
例えば、江戸時代の鎖国のような効果をもたらし、
次の日本文化を花咲かせるのかもしれません。

そして、そこで蓄えられた何かが、
何十年か後の、
日本復活の原動力になる可能性もあります。


そして、こんな時代ですから、
「勝ち組、負け組」という言葉も沢山使われています。

ただ、最近も使われているのでしょうか?

というのは、この言葉も、失われた●年同様、
負け組の人が増えて、メジャー(主流)になってくると、
あまり、世の中に響く言葉ではありませんから。


本日ご紹介する書籍のタイトル「敗者の錯覚」には、
「負け組」よりももっとストレートな言葉、
「敗者」が用いられています。

「敗者」といわれて、
自分の事と思ってしまう方も多いと思うのですが、
本書を読んでみると、「敗者」とは、
いわゆる「負け組」層の事ではなく、
高い評価を得ていない、世間一般の、経営者(層)を
指しています。

従って、本書がターゲットとしている読み手は、
経営者(社長)や企業のミドルマネージャーから上の
層と考えられます。

内容はきわめて容易で、読みやすく、
例えば経営層向けの内容は、

・儲けていない社長ほど、自社の財務に弱い
・「時代の先が読める」経営者などいない
・「自分の分身」ばかり育てると、組織は弱くなる
・平凡な経営者ほど、魚が何匹いるか数えず釣りをする

例えば、マネージャ〜リーダー層向けの内容は、

・上司は嫌われてもいいが、がっかりされたらおしまい
・人気が無いリーダほど、話が長い
・売れない理由を100個探すより、売れる理由を1つ見つける
・「けんかの数」より「仲直りの数」を増やす


など、敗者や勝者によらず、
ビジネス一般的にいえる内容が40項目綴られております。


本書は、日経BPの「日経トップリーダ」誌のコラムを
改訂してまとめたものということで、
著者の鈴木信行氏が、沢山の成功した経営者に合い、
インタビューの中から感じたところを、
「敗者」という逆の切り口でまとめたものです。

成功している経営者がやらない例として

「顧客を囲い込む」
「新製品の”売れない理由”を分析する」
「年末に1年を振り返り反省する」


など、冒頭に述べられていますが、
世の中的には、CRMと云う言葉を用いて、
「顧客を囲い込む」ことが良しとされていますし、

カイゼンと称して、売れない理由を分析し、
改良して次の商品に生かそうとします。

また、年末や年度末に1年を振り返り反省するなど、
どこの会社でもありそうです。

ふむふむ。と納得出来る話もあれば、
「顧客を囲い込む」など、世間の常識とおもわれる
話と逆の内容もあり、

こういった考え方もあるのか。
と少し目から鱗が落ちるページもいくつかありました。


沢山の経営者をインタビューして得られた本書の
内容は、特に難しい話ではなく、
経営コンサルの教科書のような内容でもあります。

日経BP誌の編集ということもあり、
第一線で活躍するビジネスマンの方は、
一読して情報を得ておいても良い内容では無いかと
感じました。



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