曾野綾子著「人間の基本」を読み、日本人の先輩からのメッセージとして大切にしたいと内容と感じました。

曾野綾子さんの本は、
若い頃少し読んだ記憶がありまして、

検索してご紹介したいと思ったのですが、
沢山の著書がありすぎて、
簡単に探すことが出来ませんでした。

最近は割とエッセー関連が多い印象で、
しかも”老い”など、割と厳しい内容をテーマに
論じていることでも知られています。

作家としての活動のほか、
日本財団会長(1995年〜2005年)や、
2009年からは日本郵政社外取締役に就任するなど、
社会的にも幅広く活躍の場を広く持っています。

今年で御年80歳でありますが、本書を読んで後で、
世間の高齢者の方が持つような緩さは感じられません。


本日ご紹介する「人間の基本」は、
その辛口の内容が評判となり、
雑誌で紹介されるなどして、売れている本と思います。
Amazonの新書ランキングで8位(本日時点)

辛口の内容とは、
現代日本人への批判であり、
モラルや生命力の低下を嘆いています。


テレビを初めとする技術の進歩は、
世の中をより、受け身な物に変え、
流通システムの進化は、
人間の生活から、生死を伴うリアルな
現実から切り離して行きました。

世界の、時に不条理な現実を自らの目で見て、
確かめたうえで、物を考えることが大切であり、

人が生きると云うことは、
様々な生き物の犠牲や、
人々の力の上に成り立っていることを
確認することが大切です。


おそらく昔の(日本)人はそういった
ことは、わざわざ言葉に出して言わなくても、
生活の中で自然に理解していました。

例えば、有る世代から上の人は、
生きた魚や鳥をさばけますが、
私にはできません。

青年海外協力隊に行った知人から、
国内研修の際に、鶏をさばいて食べた。
という話を聞いたことがありまして、
(10年位前の話ですので、・・。)
海外の途上国で生きると云うことは、
そうゆうことも学ぶのか。
と思った記憶があります。

このように、食べること一つとっても、
日本人には、命を”頂きます”という
リアルな感覚と、
さばく。という生きる能力が失われ
つつあります。


本書では、著者が聖心女子大日本財団での
キャリアをベースにしたと思われる、
話が多々登場します。

アフリカやインドに官僚をつれていった時に、
厳しい暮らしをしているのを見て演出だと考えたり、
少しのお金で水や食べ物をもらうのを賄賂と考えたり、
・・・

賄賂や戦争にまみれている国もある中で、
体力的に厳しい看護の現場で、
自分の命を削ってまで、夜な夜な病気の人の
面倒を見るシスターの話など、
数々の話が、印象に残ります。

他にも

・奇跡的な偶然というというものはあるものだ。
・クリスチャン系の学校に入ったので、
 戦中戦後の教育が180度変わったときもあまり
 影響を受けなかった。
・外国人との会話で必要な教養。
etc.

印象深い話が多岐に及んで書かれているのも
本書の特徴です。


うがった読み方をすれば、
老人のつぶやき。若い世代へのお説教。
とも言えないことも無い本書ですが、

若い頃、戦火をくぐり抜けた記憶を持ち、
現代日本で、官僚機構のトップとして働く、
しかも80歳の女性ということを考えると、

内容は無視できないというか、
心に響く物を感じます。

日本人の先輩からの大切な一言として、
読んでみたいと思う一冊です。




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