稲森和夫著「心を高める、経営をのばす」は稲森哲学を伝える時代を超える名著です。

本日は、稲森和夫さん著

「[新装版]心を高める、経営を伸ばす
 素晴らしい人生をおくるために」

をご紹介します。

本書はPHP研究所が出版する文庫本サイズの本で、
ビニールのカバーが付いています。
いつも手元に置いて、繰り返し読んでください。
といった雰囲気を感じます。

内容は、稲森さんが考える企業人としての在り方を、
自身が語りかけるように記した印象です。

本書が書かれたのは、
今から20年以上も前の1989年の話で、

私の手元のにあるのは、2004年の[新装版]とし
て出されたものですが、

それにしても10年も前の本ですし、
いまとは時代背景(というか経済状況)も違いますし、

古い本であることには間違い無いのですが、
話の中心となる内容の色あせないことには驚きます。


本書を読んでみて特徴と感じるのは、
(極めて個人的な感想ですが、)
20年前で若かったということも有るでしょうが、
元気な勢いを感じる文面が散見されます。

本書で書かれているのは、とにかく、

 仕事を好きになって、
 仕事に打ち込め。

というメッセージです。

稲森さんは、若い頃から現在に至るまで、
仕事漬けの毎日を送っており、
家族の顔を見ないような生活を送ることに関して
推奨はしない。
という前置きはおいているものの、

仕事に打ち込むことの大切さを説いています。

そして仕事をする上では、

私心や公私混同をさけモラルや謙虚、
公明正大の気持ちを持って行う。
ことの大切さを説いています。

あの稲森さんが、
仕事や人間関係に上手く行かず、
こっそり泣いた話や、
気分を紛らわすために、
外に出て歌った話などが記されています。

こういった内容からは、熱血漢を感じさせ、
テレビなどで拝見する”おじいちゃん”の
稲森さんからは、ちょっと想像が付きません。

本書が書かれたのは、
稲森氏が50代後半だと思うのですが、
本書を読む多くの人はその年代よりも若いと思います。

稲森氏のパワーは、大いに見習う必要があると思います。


また本書には個人の在り方の他に、、
ビジネスについて話なども書かれております。

メーカとはいえ、商品の値段を決めるにあたって、
原価に利益を乗せてはじき出す方法ではなく、
お客さんが求める市場価格から逆算するのが良い
とする話や、

商いの極意は、お客様に尊敬されることで、
お客様に尊敬されれば、価格を下げなくても、
お客さんが自然に集まってくる。

といった、ビジネスの考え方・哲学の話もあります。

現代の経営の神様である、稲森和夫さんを
感じる事はできるため、大いに学ぶべき点があります。


稲森さん本は、どの本も良いのですが、
本書は少し若き稲森イズムを感じる事が
できると思います。

後書きで、本書の出版に至る経緯を、
出版社が紹介しています。

稲森氏は、当時京セラの名誉会長をしており、
自らの経営哲学を社内に伝えるため社内書籍として
準備されました。

その製作の手伝いをしていたPHP社が、
とても良い内容なので世の中に出して広めたいと、
稲森氏を説得し、忙しいスケジュールの合間を縫って
内容を改め、一般書籍として出版に至ったそうです。


本書はバブル期に書かれた本とはいえ、
内容は時代を超越するものがあると思います。

立派なビニールカバーが付いているように、
ボロボロになるまで、
何度でも読み直したい内容の一冊です。

稲森哲学を伝える本でありますが、
哲学と言うほど堅苦しさは感じません。

温厚な人柄の”良いおじいさん”の話という感じです。

興味のある方は、
是非読んでみて頂きたいと思います。



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