「踊る大捜査線FINAL」今回の室井さんの秋田弁の〆セリフは「おぢ(じ)まけな」でした。

踊る大捜査線」もついに”FINAL”となりました。
1997年のテレビ版が開始されてから、約15年も経つそうです。

15年は長いですね。

当時、私も20代!でした。

就職はしていましたが、
仕事は全くと言って良いほど出来ませんでした。

仕事の出来ないサラリーマン生活は結構辛く、
仕事を終え帰宅をしてからは、
本を読んで勉強する。・・な〜んてことも無く、
テレビを見ながらマンガや雑誌を読みあさる毎日でした。

特にテレビドラマは好きでしたので、
ビデオに録画したりして沢山見ていました。

そんな中で出逢ったのが「踊る大捜査線」です。


今回の映画の最後のテロップの横に、
過去の写真が走馬燈のように紹介されていました。
主演の織田裕二さんや柳葉敏郎さんもお若いです。

懐かしい〜。(しみじみ。)

そんな感じです。

ご存じの方も多いかと思いますが、
「踊る・・」の特徴は、
織田裕二さんが演じる主役の青島刑事が、
サラリーマン的な設定であることです。

釣りバカ日記の主役の、”はまちゃん”のようです。

それまでの刑事ドラマは主役を演じる刑事が、
熱血スーパーマン的な人物として描かれていました。

そして、派手な事件や、
銃撃戦やカーチェイスなどの捕り物が見せ場でした。


最初に、「踊る大走査線」を企画するにあたり、
プロデューサーであり演出家である本広克行氏は、

実際に現場の刑事さんの様子を調べてみると、
いつも派手な事件が有る訳ではなく、
まるでサラリーマンのように仕事をしていることに気づき、

「サラリーマン刑事 青島」が生まれた。
・・といった話を聞いたことがあります。


時に熱いハートで事件を追う青島刑事ですが、
普段は、領収書の処理が溜まって事務方に怒られたりします。
(今回の映画では、部下がお茶とビールを誤って、
大量に発注して責任を取らされそうになります。)

青島刑事に限らず大概の人間は、

あるときは、身体を張って仕事の最前線に立ち、
あるときは、気がゆるんでつまらぬ失敗をしています。

そういった多面性を表現することで、
これまでにない、ストーリーのおもしろさと、

演出と知りながらも、
リアル性を増したドラマとしたのが、
踊る大捜査線」です。


さて、映画(版)の話ですが、

15年続いたと言っても、

2003年の『踊る大捜査線 THE MOVIE2 レインボーブリッジを封鎖せよ!
2010年の『踊る大捜査線 THE MOVIE3 ヤツらを解放せよ!』

と7年(15年の半分)もの時間が空いています。

実質的に「踊る大捜査線」は終わったように
思っていたのですが、
復活するきっかけになったのは、
きっと世の中(テレビ)の不景気のせいでしょう。

動員数で見ると、
2003年のMOVIE2が過去最大で1,260万人で、
MOVIE3の550万人です。
特にMOVIE2は興行収入173.5億円とアニメを除く、
邦画としては未だに第1位なのだそうです。

ちなみにアニメを含めますと、
一位が千と千尋、二位が2ハウル、三位がもののけ姫で、
これらジブリアニメに続く歴代4位とのことです。


私はテレビ版、映画版を含め、
殆ど全ての「踊る大捜査線※」を見たのですが、
※ここから踊る・・と略します。

個人的な印象で言いますと、
映画版とテレビ版の最大の違いは、
事件の意外性と撮影規模にあったと感じます。

小泉今日子さんの、キテレツ犯人役も脳裏に深く刻み込まれていますし、
レインボーブリッジを本当に封鎖して撮影すたところも凄いと思いました。

またこの映画は、
ストーリの中にインターネットや防犯カメラシステムなど、
新しい技術的な要素をふんだんに取り込んでいる点も、
他の刑事ドラマとは差別化を図っているように感じます。

さらに細かな話として、
かえる急便に代表される、独特のキャラクターや、
実際の湾岸署のビルなどもありました。

なお、車は毎回日産車が使われていて、
(きっとスポンサーなのでしょう。)
今回も、電気自動車のリーフが充電しているシーンや
マーチのミニパトが出てます。

なお、「相棒」も日産の車が使われています。
これはやはり、西部警察以来の流れなんでしょうか。笑)


今回の今回の「踊る・・FINAL」は、
こういった前提知識というか、感情というか・・をもって
映画館に足を運びました。

そして正直に言うと、
前作が、ちょっとイマイチな感じがしたので、
あまり期待はしませんでした。

今回の「踊る・・FINAL」のストーリーは、
湾岸署所長役真下演じるユースケサンタマリアさんの、
子供が誘拐される設定です。

映画を見た印象は、
コレまでの映画版のようなキテレツなストーリは感じられず、
いたって普通な感じがしました。

少し意外だったのは、犯人役で、
あえてココでは書きませんが、
これまで、警察側を演じていた役者さん達が、
犯人グループとなっています。

映画で良かったのは、
昔から出ているキャストさんを登場させたことだと思います。
ちょっと役者さんの話をすると、

引退してしまった所長役の北村総一郎さんらは、
「指導員」という腕章を付けて登場します。

昔、青島刑事の指導員役だった、
いかりや長介さんが付けていたものですが、
懐かしいです。

ところで、
北村さんの年齢を調べて驚いたのですが、
御年なんと77歳です。
15年前でも、役所を引退していそうなお年ですが、
お若いので驚きました。


また、久々に水野美紀さんが
ユースケサンタマリアさんの奥さん役で登場します。
誘拐された息子の母親役です。

織田裕二さんが最後だからと、
頑張って出演調整したとか、
・・・週刊誌的にいろいろな話題が出ていましたが、
でも良かったと思います。

さらに細かい所では、
柳葉敏郎さん演じる室井警視役の
ライバル的位置づけの、筧利夫さん、真矢みきさん、
小栗旬さんが出演されている点です。
これもFINALならではと感じ、良かったと思いました。

このドラマで重要なのは、
和久さんと、すみれさん、と室井さんです。

和久さんがいなくなったら、
「踊る・・」も終わってしまうのでは
ないかと思いましたが、最後まできました。
ホント良かったです。

すみれさん演じる深津絵里さんは、
「踊る・・」でみると、本当に素敵です。!!
ある意味理想の女性ですね。

お年を召してもお肌が綺麗なので、
映画館の大画面でもギリギリ耐えているように思います。

「踊る・・」で深津さんがすみれさんを演じると、
他の作品よりも数段かわいいところが不思議です。

ちなみに、今回バスに乗って突っ込んできましたが、
ココは、個人的にはやり過ぎかな。と思いました。


最後に室井役の柳葉敏郎さんですが、
出身が秋田県ということで、
柳葉さんの仕事場の机の横には、
なにげに、秋田県グッツがおいています。

今回も、かわいい系のなまはげのお面がありました。

そして、ドラマの最後で一言秋田弁で〆の
セリフを言います。

今回は青島刑事に、警察手帳を返す場面で、
青島刑事が「何とかはハートにありますから・・」
とカッコ良いセリフを言い、それに対して

「おぢまけな(おじまけな)」

と返します。

私は柳葉さんの隣町出身なので、
少し解説しますと、
この単語は、

「おぢまける」+「な」

という単語に分解され、
それぞれ、

おちまける=かっこつける。
な=するな(非定型)

という意味があります。

つまり、
「かっこつけるな」という意味です。

用法としては、
外出するときなど、
お父さんが奥さんや子供さんに、
あまりおしゃれしなくても良いよ。
早く行こう。

というような場面で、

「おぢまけな(おじまけな)早く行こう」

などと使います。


一度、地元秋田の映画館で「踊る・・」を
見たことがあるのですが、
もちろん!
柳葉さんの〆のセリフで、場内は爆笑となります。

なお、今回見た横浜の映画館では、
シーン 
・・と、何事も無かったかのように、
この場面は過ぎ去りました。


さて最後に、
織田裕二さんの話は何も書いていませんので少々、

織田裕二さん演じる青島刑事がいつも着ているコートは、
M-51という米軍の野戦用のコートだそうで、
型番の51でもわかるとおり、1951年(昭和26年)
に開発された物だそうです。

今回の映画でも外出するときに、
コートを持たせてもらう場面もあり、
内側の、緑色のふかふかの素材が見えました。

踊る大捜査線」は冬の映画なんだ。と思いました。


ミリタリー系のグッツは、定期的な流行があり、
今このコートは見かけなくなりましたが、
「踊る大走査線」が出た頃は流行りましたね。

もちろんコート姿の織田裕二さんが
カッコ良かったからです。

その昔すみれさんが、
銃で撃たれた傷が痛いという設定がありまして、
オレも昔刺された腰が痛い。と倒れ込むのですが、
あのとき、緑のコートが真っ赤に染まったことが、
思い浮かびました。

今回の映画の最後にテロップと共に流れる写真をみると、
織田さんも昔は、小僧な感じだったなぁ。
・・と思います。

今回の柳葉さんのスーツもかなり高そうでしたが、
同じように今の織田さんに似合うのは、
例え青島刑事役でも、もっと高いコート
のように感じました。

つまり、M-51が似合わない年齢になってきた
のだということです。

そういった意味でも、
今回が本当に、FINALなんだと感じました。


踊る大捜査線」は、日本のドラマ/映画史に、
本当に残る作品と思います。

良い映画/ドラマをありがとう。

・・と、そのように、
織田さん始めスタッフの皆様に、
改めて感謝したいと思います。


踊る大捜査線 THE FINAL 新たなる希望