大沢たかおさん主演「藁の盾」を観てきました。どことなく違和感があり、新しい日本映画という印象です。

避けて通れない。
逃げられない。

そんな仕事があります。

特に私たちサラリーマンの場合、
上司からの仕事の指示や、
トラブル解決は避けて通れません。(涙)

しかし、
避けて通れない仕事というのはおそらく、
その人が行うことが最もふさわしい、
仕事なのです。


映画の世界では、
幾多の困難を乗り越えて、
それでも職務を全うする主人公の物語。
というジャンルが存在します。

アメリカンヒーロー系や、
戦争・兵士もの、刑事ものなど
このジャンルは多数の映画があります。

たとえば007シリーズです。
ダイハードなんかもそうですね。

困難を乗り越え、
あくまで職務を全うするということは、
じつは映画のネタになるようなことなのです。

そんな訳で、
本日ご紹介する映画「藁の盾」は、
職務を全うする警察官の物語です。

映画のストーリーは、
藤原竜也さん演じる凶悪殺人犯に孫娘を殺された、
山崎努さん演じる財界の大物が、

「10億を出すから犯人を殺して欲しい」

と新聞に殺人の依頼広告を出すところから始まります。

10億円の懸賞金をかけられた殺人犯は、
彼をかくまっていた知人に殺されそうになり
福岡県警に自首します。

次々と襲ってくるであろう、
懸賞金殺人のため、

警察の威信を賭け、
福岡から東京まで、
殺人犯を安全に護送しようとするのが、
この映画のストーリーです。

そのため、大沢たかおさん、松嶋菜々子さん
演じる、要人警護のスペシャリストであるSP※。
岸谷五朗さん、永山絢斗さん演じる、警視庁刑事。
伊武雅刀さん演じる福岡県警刑事の5名が任務に
つきます。

※SP:セキュリティーポリス


映画は藤原竜也さん演じる凶悪殺人者が
懸賞金殺人のターゲットと成るもので、

連休の最終日に観る映画としては、
殺人ものはどうかなと思ったのですが、

とはいえ、
先日観た映画「ストロベリーナイト」のときも
書きましたが、
個人的に大沢たかおさんが好きなので、
いずれ観ようとは思っていました。


映画は、殺人事件の映画です。
ただし直接的に目を覆うような
酷いシーンはありません。

血や遺体の一部を見せることで、
間接的に表現しており、
そういった演出は良かったと思います。

映画の見所の一つは、
看護士や警備隊員など警察側の人物を含め、
予想外な人達や、予想外の展開で護送中の
殺人犯が殺されそうになるところです。

娯楽映画なので、
そういった意外性を楽しむのが
この映画の一つの魅力ではありますが、

一方で、
この国では、

お金で自らの命を絶つ人は沢山いても、
お金がもらえるからと言って人を殺そうと
する人がいるとは思えません。

実際に映画でもそのような人は、
数名しか出てこないのですが、
この数が多いかどうかは問題でなく、

この映画が評判を落とすことがあるとすれば、
映画を観ながら、ずっと感じられる、

お金で人を殺す人が居るとは思えない。

・・という、なんとも言えない違和感です。

今回ワーナーの映画なので、
外国ならあるのかな。
と少し勘ぐってもみるのですが、
原作・脚本・監督と全て日本人です。
ちょっと関係なさそうでした。

また、
こんな奴の命を守る必要があるのか。

・・といったセリフが何度も登場しますが、

死刑になるほどの凶悪殺人犯が、
何者かに殺されそうになるたびに
ドキドキするという、

なんとも表現しがたい、
微妙な気持を感じる映画です。


映画の中の事件には、
新聞社や警察内部に沢山の協力者が
仕込まれていました。

このメンバーも意外な人物揃いです。
どの人も結局はお金に買われています。

最後は警察という国家権力による、
合法的な凶悪犯の射殺で
幕を下ろそうとするわけですが、

大沢たかおさん演じるSPは、
最後まで殺人犯を守りきり、
警視庁に連行するのです。

殺人犯を守りきった。
というなんとも微妙なヒーローです。

ワーナーのせい?
・・みたいなことを書きましたが、
実は逆で、

もしかしたら、
アメリカ映画の正義では成立しない
つまりハリウッド映画では作れない
新しい日本映画かもしれない。
などとも思いました。


映画の見所は他にもいくつもあります。

日本映画にして、どんだけ車を壊すんだ。
という冒頭のシーンでは、

爆発物を積んで突っ込んでくるトレーラーに
一人拳銃で立ち向かう永山絢斗さんは、
なにかのハリウッド映画のパクリっぽい
感じがしましたが、私は良いと思いました。(笑)

車を使った護送は、
途中で護送方法が新幹線にかわります。

オレンジ色のラインは、
どうみても台湾新幹線なのですが、
途中で止まる新神戸駅のホームの看板が
全部新神戸駅になっていました。

やはりJRかな・・と思ったりするのですが、
最後のテロップを観たら「台湾高速鉄道
の文字があったので、
よくここまで撮影協力してくれたものだ。
と感心しました。

つまり、日本語の看板は全て張り替えだったわけです。
ということは乗客は地元のエキストラでしょうか?

新幹線を急停車させて線路を歩くシーンもあり、
良く協力してくれた物だとおもいます。


護送の最後はは余貴美子さんの演じる、
個人タクシーに乗って東京に向かいます。

タクシーの車種はセドリックだった気がしますが、
あのへんなタクシーはいくら田舎でも無いと思いました。

このタクシーのシーンが唯一映画の中で
テンションが下がり、必要だったのか。
・・と少々?な印象です。

変な香港映画とかハリウッド映画に、
こういった緩キャラな人達が登場しがちですが、
やはりワーナーか。・・などと思ってしまいます。(笑)

そして全く予想外なところで、
松嶋菜々子さんが殺されてしまうのですが、
そのあと、あんなに大変だった護送が、
一気に警視庁前にワープしたあたりは、
ちょっと飛びすぎな印象でした。

最後の場面では、
大沢たかおさんが、犯人役の藤原竜也さんを
車から連れ出します。

自動機構の無い、タクシーの運転席側のドアが
勝手に閉まるのは、おいておいて、(笑)

警視庁前のあの様子は、
すこし演出しすぎな印象です。

さらに大沢たかおさんが、
藤原竜也さんに刺されてしまう
シーンは無いと思いました。

大沢たかおさんは、仮にもプロのSPな訳で、
あれ位の事はかわせると思う訳です。

そういえば、松嶋菜々子さんも幾つか失態をして、
結局命を落としますが、
それもちょっと無いなぁ〜。という気もします。


・・と、色々書いてみましたが、
見終わってみると、
かなり心に残る映画だったという訳です。

殺人犯の警護・護送というイヤな仕事でも、
あくまで職務を全うしようとする
大沢たかおさんや松嶋菜々子さんの姿に打たれ、

少なくとも日本には、
お金で人を殺す人がいるとは思えない。
映画を見終えてそんな結論に至りました。


それにしても、殺人者役を引き受けた
藤原竜也さんは凄いと思いました。
こんな悪人というか変質者というか・・酷い役です。

さらに男性人はメイクも無い(極小)で、
アップのシーンなど余計にリアルな迫力があり、
悪人度合いに拍車をかけていました。

そして映画が終わり周りを見渡せば、

こんなに沢山居たの!

・・という位お客さんが入っておりました。

連休最終日で、
内容が内容なだけに以外な感じでした。


最後に、この映画で最も良いところは、
「藁の盾」という名前のセンスだと思います。

拳銃や刃物などの凶器の前には、
藁と同じ位ほどか弱い人間(警察官)が、
それでも人を守るということを例えています。

このタイトルで映画(小説)の多くを
語っているように感じた今日の映画でした。


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