酒巻久著「リーダーにとって大切な事は、すべて課長時代に学べる」は、課長職の人にガツンと来る一冊です。

私はいわゆる中間管理職を
しておりまして、
先日、管理職研修に参加してきました。

研修の最初に、
参加者である中間管理職達が、
「管理職の仕事」
と考え普段実践していることを
発表し合う時間がありました。

部下を育成する。
仕事の管理をする。
営業ノルマをこなす。

・・などが多かったのですが、

人によってまちまちで、
かなりバラバラなことに驚きました。


講師の先生は様々な企業で研修を
しているそうですが、

何処の会社に行っても、
管理職の仕事は、
バラバラなのが普通なのだそうです。

つまり、
同じ会社の管理職でも、
期待される役割や使命は違ってくる訳で、

だからこそ、
自分は管理職として何をすべきか、
自ら考え、実践することが大切という話でした。


さて、今日はそんな管理職向けの本をご紹介します。

酒巻久さん著の

「リーダーにとって大切な事は、すべて課長時代に学べる」

です。

(私個人的に)
著者の酒巻久さんは、
キヤノン電子を超優良企業へ
育て上げた経営者としてよりも、

「会社の会議室に机と椅子が無い」

などの、画期的な経営で、
業績をあげた方として記憶しています。


酒巻久さんは、
会社経営の本のほかに管理職向けの本も数冊出しており、
多くの本がベストセラーと成っています。

本書もその一冊なのですが、
いざ購入するには、少し時間がかかりました。

それは、
タイトルが何処かで見たことのあるような、
パクリ系の感じがしたからです。

しかし、
本屋さんの目立つコーナーに長いこと
置かれていることもあり、
へんな本では無いと思い購入しました。

本書を読むと冒頭から酒巻久さんの、
仕事ぶりに衝撃を覚えます。

 常に一つ先のポジションに居る人を、
 「追いつき、追い越せ」でベンチマークする

この考え方が、
現在の酒巻久さんを形作った
一番のポイントだと感じました。

先輩ならどのように判断するか?
上司ならどのように行動するか?

常にそういったことを考え、
先輩や上司の判断・行動とそれに伴う結果を
自分にフィードバックする。

それをひたすら続けることで、
何時しか先にいる人に近づき、
そして追い越すことが出来きます。

また仕事量もハンパではありません。

若い頃は、
休日に自分の担当外である工場に出かけ、
コスト計算を教えてもらったり、
改善点を考えたり、・・・

技術者なのに、海外から経理の専門書を求めて
勉強したりします。

会社に泊まり込みをして奥さんが着替えを
もってきたこともありました。

こんな様子ですから、管理職になってからは、
部下よりも最初に会社に来て最後に帰るのは
当たり前です。

本書から感じるキャノンと言う会社は、
とにかくもの凄く勉強(技術力)する
会社ということを感じます。

英語が苦手だった酒巻久さんは、
先輩にMITの教科書を渡され、
理数科目と同時に英語を学ばされました。

その先輩は毎日1時間酒巻久さんの勉強に
付き合ってくれたそうです。

なんとなく、
昭和の熱血サラリーマン・企業戦士を感じますが、
それだけではない、凄い企業文化を感じます。


帯にある酒巻久さんの写真を見ると、
実に優しそうな雰囲気ですが、
本書を読んだ印象はかなり違っています。

本文にもありますが、
仕事の「鬼」という感じです。

仕事の出来ない奴は切ってしまえとか、
下位の部下を捨て、上位50%の部下を育てろ。
部下を良く観察すれば、仕事を辞めたい。
と言い出すタイミングも分かってくる。

・・・など、
内容も厳しいことのオンパレードです。


多くのビジネス書は、
企業生活をドロップしたベンチャー企業の方や、
大学の先生などが書いているためなのか。

大企業という組織コントロールの観点がありません。


会社も違えば業態も違いますが、

 (大企業の)課長はこのような仕事をするもの。

・・と、勤務先の社長から、
ガツンと説教されたような印象を持ちました。

耳が痛い感じです。


本書を読み終えて、
伊達に本屋さんの目立つコーナーに
何ヶ月もおかれている本ではないと思いました。

日本中の課長さんが本書を読めば、
この国も、少し良くなるのではないかと
感じた今日の一冊です。

(対象が限定されますが、)
素晴らしい内容だと思いました。

世の中の課長さん(中間管理職の皆様)の
必読の一冊と思います。




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