島田紳助著「自己プロデュース力」には島田伸介さんの成功の神髄が記されています。

以前の私はテレビが大好きで、

複数のハードディスクレコーダーを駆使し、
見たい番組を全部予約し、

自宅にいる殆どの時間を
テレビを見ながら過ごしました。

しかしその行き過ぎた生活に疑問を感じるようになり、
昨年のアナログ電波の止波とともに、
テレビを見るのを止めようと決心しました。

幸い(?)使用していたハードディスクレコーダー
アナログ用でしたのでデジタルでは使えず、
ちょうどよいタイミングでした。


思えば、毎日テレビを見ていた頃は、
探偵団や、行例のできる・・など

島田紳助さんが司会をするテレビを
毎週欠かさずに見ていました。

当時の「行列のできる法律相談所」に至っては、
法律のネタよりも伸介さんのお笑いのネタの
ほうが時間が多く、
法律問題は取って付けたかのような感じでした。

私が言うまでもなく、
この番組が特筆すべきは、
なんといっても同じテーマに対して、
弁護士の見解が異なる点を世の中に
知らしめた点と、

橋下大阪市長、丸山議員をはじめとする
その後有名と成る政治家を選出したことです。


そんな島田紳助さんが突然引退したのは、
昨年の8月のことです。

既にテレビを見ない時でしたので、
詳しくは知りませんが、
暴力団との黒い噂が発端と云います。

島田伸介さんは過去にも問題を起こし
謹慎していたことがあるので、

ほとぼりが冷めたら、タイミングを見計らって
復帰するのではないかと多くの人が思って
いたと思いますが、
このブログを書いている現時点では謎のままです。


・・という訳で、本日は島田紳助さん著の

「自己プロデュース力」

をご紹介します。

本書を読んで感じる島田紳助像は、

極めてクレバー(賢い)な人といった印象です。

相当な努力家であることは間違い無いのですが、
その点は多くは語られていないので、
他の表現から読み解くしかないのですが、

クレバー×努力=島田紳助

は間違い無いと思います。


本書で島田紳助さん(以下伸介さん)が説くのは、

自分の能力をX、世の中の流れをY
としてX+Yで考えろ。

という考え方です。

たとえどんなに能力が高くても、
世の中と合わなければ上手く行かないと云う
成功法です。

伸介さんによると、
元々X(能力)が高くY(世の中の流れ)と、
たまたまが合致した状態を一発屋と云います。

一発屋を避けるためには、
常に変化する時代に合わせ自分の能力も変化させ
なければならないという事です。

時代の流れに対応しながら、
仕事のやり方を変えていく事の重要性を
示しています。

企業活動でも似たような話があります。
イノベーションのジレンマと云ったり
しますが、
かつて成功した企業が、
急激に変化する時代に対応できず、
業績が悪化してしまう状況です。

こうして考えてみると、
本書のなかの紳助さんは、
一芸人というミクロな視点ではありますが、

伸介さんは、世の中の本質を見抜くことが出来た
のではないかと感じます。


紳助さんが芸の道を究めるにあたり、
最初にしたことは、
自分のための教科書を作ることでした。

漫才の教科書は世の中にはない。
だから、自分で自分のための教科書を作るしかない。

そのように考えたそうです。

仕事でも良い先輩を研究(真似)すれば、
上手くいくことは誰でも知っています。
しかし教科書のレベルまで、
徹底して行っている人が、どれくらいいるでしょうか?


例えば、大前研一さんは将にその一人です。

原子力技術者から全く異なるコンサルタントに転職した際、
自分のためにコンサルタントの仕事の仕方をノート纏めました。
後のベストセラーになる「企業参謀」という著書です。

ココに私は一流の人の仕事の流儀を感じます。


伸介さんは、
自分のための漫才の教科書を作るに当たり、
売れている芸人さんの漫才を、
こっそりテープレコーダーを持ち込んで録音し、
それをノートに書き写しました。

そして、オチのパターンや類似性、
一分間に間がどれくらいあるか。
を分析しまくって、成功法則を見つけ出すのです。


加えて伸介さんは、
20〜35歳の男性に的を絞るという、
マーケティング用語で云うところの、
セグメント分けも早い段階で取り込んでいます。

それまでの漫才は、
子供からお年寄りまで万人受けするものを
良い漫才(お笑い)とするのが常識でした。


最近は、このようなマーケティングの話は、
様々なビジネス本に書かれ一般化しています。

それをしって本書を書いたのだとすれば、
それはそれで、
計算高く組み立てられた人という事になるのですが、


本書にある話の多くが、
後の成功前よりもだいぶ以前の、
デビュー前後の話であります。

島田紳助さんは、あまり本も読まないと云うこと
ですから、自ら考えて実行した可能性も多く、

とすれば、伸介さんはやはり天才。
ということになろうかと思います。


私はこのような凄い人が、
どんな環境から出てきたのか興味が有りました。

毎日テレビを見ていた頃、島田紳助さんの実家を
紹介する場面を見たことがあります。
そこは極々普通のご家庭と、おとなしそうな、
ご両親が映し出されておりました。

悪役のイメージも、差別化のため
自ら作り上げたそうなのです。

実家の映像をみた後では、
伸介さんの悪い印象は持ちません。


人間は良いところも悪いところもあり、
期せずして様々な事件や事故が起きます。

波に乗りまくっていた島田伸介さんの突然の引退は、
人生の難しさを私に印象付けました。


本書はDVD「伸龍の研究」の2章を文章化
したもので、ネットなどの情報によると、
DVDのほうがもっと面白いといった話も
聞こえてきます。

本書は過去にも読んだ事があり、
今回は2回目ですが、前回と同じぐらい
心に響く物がありました。

簡単に読める本なので、
興味のある方は是非ご一読ください。



 
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