大前研一著「企業参謀ノート[入門編]」は企業の一定以上のポジションを目指す人は必読です。

長年仕事をしていると、ある話なのですが、

昨年までに比較的順調だった事業環境が、
急に悪くなる事があります。

たとえば、
低価格を武器に新規参入した企業に、
負けて続けてしまうようなケースです。

得てして、何かしらの事業を行う場合、
 
 営業部門
 企画開発部門
 生産部門
 オペレーション部門・・・

などに分かれますが、
事業環境や収支に関する感度は、
営業から離れるに従って低くなります。

このケースでは,もちろんのこと、
急ぎ対策を考えなくてはならない筈ですが、

大概、何処の部門も忙しいので、
急いで対策を打ち立てるようなことが
できません。
(もしくは営業に非協力的というか。。)

そして、現場がこんな感じなら、
経営層はさらに行動がゆっくりです。

調子の悪い事業一つの判断なら、
会社としても赤字を吸収する余地が
あるかも知れませんが、
主要事業だったらどうだったでしょうか?
そして、判断ミスや、決定の先送りなどで、
どれだけの会社が倒れてきたのでしょう。

とくに事業を立ち上げたり拡大するよりも、
止める判断と実行は大変です。

まさに、戦国時代における戦の「しんがり
のような仕事で、難易度が高い割りには、
失敗すれば、戦国時代とは違って命はあった
としても、人事評価の上では大きな失点に繋がります。


さて、
本日は大前研一さん著※の

「企業参謀ノート[入門編]」

をご紹介します。

※正確には大前研一監修、プレジデント書籍編集部編
 と書かれています。


本書は、これからのビジネスマンは、
タイトルにあるような「参謀」型の人間を
目指さなければならない。

といった前振りで始まります。

そしてページが本編に移り、最初に示されるのが、
「止める」判断をすることの大切さです。

大前氏によると、例えば高度成長期に、
判断ミスで、実際の生産性よりも高い工場を
つくってしまったとしても、
数年たてば、需要が伸びるので、
判断ミスが判断ミスにならなかった。

とありますが、低成長の現代では、
工場の過剰投資の判断は「シャープ」の例を挙げるまでもなく、
短い時間で事業収支が悪くなります。

本書に書かれている内容で、心に残ったのは、

1,事業中期計画の立て方。
2,製品系列ポートフォリオ管理(PPM
  ※事業を、花形、金のなる木、負け犬、問題児分け、
  分析する方法、本や様々な研修で何度も読みましたが、
  繰り返し考えることで、その時々の気づきがありました。
3,KFS(キーサクセスファクター)成功要因はなにかを考える。


です。

特に”事業中期計画”の立て方は、コンサルファームの
仕事そのものなのですが、

1.コスト削減
2.価格見直し
3.戦略的(代替)案の検討
4.代替案の実行

ポイントと思ったのは、
コスト削減だけでは、現在の収支バランスを維持することが
出来ない点です。

なにもしないと、数年後に事業はどんどん劣化し、
その後の改善も、コスト削減だけではできないことです。

企業参謀としては、1,2を独自ではじき出し、
3ならびに4をプレゼンして、関係者の
行動に移さなくてはいけません。

こういったステップを踏むことで、
事業収支を改善・向上することが出来るんだ。

と感じました。


割と簡単に読める本ですので、
「この手の内容は得意です」という方以外のビジネスマン
全員にお勧めです。

もうすぐ続編が出ると云うことなので、
こちらも楽しみです。



 
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