稲垣 栄洋著「赤とんぼはなぜ竿の先にとまるのか? 童謡・唱歌を科学する」これは凄い本だと思いました。

そろそろ会社では忘年会の
相談が始まっています。

そうです。
世の中は年末モード突入なのです。

そして年末と云えば、

私は田舎者ですので、
年末年始は大概、
帰省をして実家で過ごします。

帰省したこの時ばかりは
・・とテレビを見たり、
ひたすら食って飲んで、
ダラダラ過ごします。汗)

普段は多少なりとも緊張して
暮らしていますので、
年に数度、気分が解放される時間は
ある意味貴重です。

田舎が有るということは
実にありがたいと思います。


さて、今日は稲垣 栄洋さん著

「赤とんぼはなぜ竿の先にとまるのか? 童謡・唱歌を科学する」

をご紹介します。

内容は将にタイトルそのもので、
副題の「童謡・唱歌を科学する」がびったりです。

本書は、タイトルにもある、
何故「赤とんぼはなぜ竿の先にとまるのか?」
の「赤とんぼ」をはじめとする、

14の童謡や唱歌に描かれる自然界の事象について
科学的な解説を加えたものです。

例えば、

 夕焼け小焼けで日が暮れて・・・「夕焼け小焼け」

の小焼けってなに?

 ちょちょう ちょうちょ なのはにとまれ・・・「ちょちょう」

なんで菜の葉に止まるの?

とか

 からす なぜなくの からすは山に・・・「七つの子」

7つの子って、7羽なのそれとも7歳なの?

・・etc.

時に歌詞の解説や歴史的背景を織り交ぜながら、
科学的解説を加えています。

専門的な内容や、難しい感じは皆無で、
文体も読みやすく内容も分かりやすく、

へぇ〜。

というちょっと前のテレビ番組の
フレーズが、何度も出てくるような内容です。


個人的に面白かったは、

 黄金虫は金持ちだ・・・「こがねむし」

です。

黄金虫(こがねむし)は子存知の通り、
カブトムシのメスを小さくした形で、
緑色の光沢のある虫です。
※カブトムシと黄金虫はどちらもコガネムシ

何故黄金虫が金持ちなのか、
本書を読むまで知らなかったのですが、

実は、
昔はゴキブリの事を黄金虫と呼んで
いたそうなのです。

・・というのは、
ゴキブリは食べ物の豊富な家に住む習性があり、
台所や食料庫に出没するわけですが、

昔は食べ物が豊富な家庭は滅多に無くて
それこそ金持ちの家に住む、

どちらかというと、縁起の良い、
みんなが憧れる虫だったそうなのです。

ゴキブリが憧れの虫だったなんて、
知ってましたか?

(他にもドングリころころの話も紹介したいのですが、
ココではやめておきます。)


本書の最後は、

 兎追いし かの山 小鮒釣りし あの川・・・

の「ふるさと」で締めくくられています。

昨年の震災では、
他の応援ソングよりもリクエストが多く、
君が代に続く、第二の国歌の候補にしたい。
といった話もあるそうです。

しかし、現代の日本において
「ふるさと」に描かれる風景はどこにも存在せず、
日本人の心の中だけに存在する風景ということなのです。

そういえば、

 あれ鈴虫が鳴いている・・「虫のこえ」

では、虫の声を風情として楽しむのは、
日本人とポリネシア人のみにみられる
特徴だと紹介されていました。

日本人は、古く虫の声を言語化したので、
左脳で聞習慣が出来たとなのですが、

多くの国では、虫の声は音として右脳で聞くため、
雑音にしか聞こえないとのこと。

こういった話を聞くと、
へぇ〜。だけではなく日本人の歴史や文化を感じ、
DNAが揺さぶれる気持ちがします。


実は私は、
童謡や唱歌を歌う小学生時代は、
テレビに流れる歌謡曲やアニソンが大好きで
したので童謡や唱歌といった歌は、
古くさい歌ということであまり好きでは
ありませんでした。

しかし、本書を読んで感じるのは、
童謡や唱歌は確実に、頭の中で記憶に残っており、

ある意味、日本語という言葉と同じぐらい
大切なものだ。ということです。

しかし、
紹介される多くの歌は、
西洋の音楽が輸入された明治から昭和初期に
生まれたもので、比較的歴史は浅いと思うのですが、

当時の作詞家、作曲家の方々の意識の高さや
作られた詞と曲の絶妙なバランスを感じます。

また本書に紹介される内容を、
歌と一緒に教えてくれたら、
学校の授業はさらにインパクトを増して
いたんだろうなぁ〜。
と思いました。

ですから、日本中の小中学校の先生には
読んで頂きたい本と思います。

こういった本を読むことは殆どありませんでしたが、
たまにはこういった本も良いと感じました。

この本は久々に凄い本と思います。



 
★★★ ツィッターやってます! ★★★

   https://twitter.com/h6takahashi


今日のアクセス:108,219