堀紘一著「コンサルティングとは何か」には、UP or OUTに表現される厳しい世界が示されています。

仕事柄コンサルタントの方と付き合う、
・・というか一緒に仕事をすることがあります。

彼らは単に頭が良いだけでなく、
バイタリティーに溢れ、喋りも上手い上に、
加えて、
高そうな時計やスーツを身に付けています。

大企業の偉いさんにも平気でアポを取り、
宴会シーズンにもなると、
大馬鹿騒ぎも難なくこなします。

同じビジネスマンとして、
・・というか、同じ男として、
圧倒的なレベルの違いを見せつけられます。


私が若い頃、
特に憧れたのは、

彼らの話の上手さ、おもしろさでした。

日常的に大企業の偉いさんと
日常的に会話をする彼らの話は、
私と同年代とは思えないレベルの
違いを感じました。

実はコンサルタントという業種を、
社会人になって初めて知った訳ですが、
今でも憧れる職業の一つです。


・・という訳で本日は、堀紘一さん著

コンサルティングとは何か」

をご紹介します。

堀紘一さんは大前研一さんと並ぶ、
日本のトップコンサルタントです。

とはいえ、
堀紘一さんを初めて知ったのは、
田原総一朗さんのテレビ番組、
朝まで生テレビ」通称
「朝ナマ」の出演者としてでした。

本書内でも、少しだけ田原総一朗さんに
触れられていた部分があったのですが、

田原総一朗さんは、堀紘一さんが起業した
ドリームインキュベーターの社外取締役
しているそうです。

なるほど。そんな付き合いかと、
少し納得しました。

テレビと言えば、
本来のコンサルタントは、
依頼主であるクライアントを立てて黒子に徹するため、
メディアなどの表舞台に立つことは希である
と本書には書かれています。

コンサルタントはあくまでも裏方で、
クライアントのために汗を流す仕事なのです。

ところで、
現在の日本には”コンサルティング”という
言葉が溢れています。

保険のコンサルティングや、
銀行の窓口でもコンサルタントという
言葉が使われます。

もちろんITやベンチャーの世界でも
コンサルティング”が使われます。

コンサルティングという言葉は、
”相談”を意味しますので、
使い方は間違いでは無いのですが、
しかし、本来のコンサルティングは、

経営戦略のコンサルティング

を指します。

欧米では銀行の窓口で”コンサルティング”は
用いない言葉なのだそうです。


経営戦略コンサルティングは、
社長を初めとする経営陣と、
その企業の基本戦略を練る仕事です。

そのコンサルタントの仕事は、
新人でもベテランでも、
たたき上げの社長と対峙し、

時にはこれまでの経営戦略と、
全く逆の結論を出し、
実行に移さなくてはなりません。

また、社長の同意を得られた場合でも、
社内の反対派の説得は大変です。

本書の中では、
約25年前にJALのコンサルを行った際、
機長組合が、堀紘一さん個人に圧力をかける
という事例が紹介されています。

さらに、現在JALが行っている改革プラン
の多くは25年前に出された
ものだったそうです。

このようなコンサルタントの世界は、
UP or OUT (昇格もしくは退社)
という厳しい世界が有名で、
本書でも繰り返し述べられています。

入社から約3年でマネージャーとなり、
約7年で責任者となるそうですが、
3年で半分、7年立つと殆どの人が
居なくなる世界なのだそうです。

大手企業から転職した人でも、
仕事が合わずに2週間で止めていく世界です。

数千万単位の年収の一方で、
その裏には、そうした厳しい
プロの世界が有ります。

堀紘一さんによれば、
国内で一流のコンサルタント会社が
育たない理由は、このUP or OUT 制度が
日本の雇用規制上取りにくいこと
なのだそうです。

確かに就職の言葉の後ろには、
ある一定の年数をその会社員として
過ごすことを意味します。

コンサルタントの世界は
本人の実力がすぐに同僚と比較でき、
周りにも知れ渡ってしまうと云うことで、

殆どの人は、
自らの限界を感じ自分で退社の道を選ぶそうです。

本当に厳しい世界だと感じます。


本書にはこのような、
コンサルタントの厳しい世界をはじめ、

コンサルタントの歴史
コンサルタントの活用の法
料金体系など、
など、

日本のコンサルティングの祖と呼んでも良い
堀紘一さんの歴史と絡めて

コンサルティングとは何か」

が網羅されるような内容となっています。

本のサイズは文庫サイズ(PHP文庫)ですが、
内容は分厚い単行本にも匹敵する分量が
あり、この内容が820円で買えるとは驚きです。
(内容も濃く、読み終えるのに少し時間がかかります。)


ただし本書から、
コンサルティングのやり方や、
裏技的なものを期待するとすれば、

そういったものは殆ど書かれていないので、
注意が必要です。

唯一それらしいのは、論理を証明するための
グラフ作りが重要で、グラフのXとYに
何を置くかが、コンサルタントの力量となる。
・・・程度の話に留めています。


先にも書きましたが、
コンサルタントは私にとっても
なじみの深い人達なので、
知っている内容も多かったのですが、

改めてコンサルタントの厳しさ、
すごさを感じた今日の一冊でした。

これからコンサルタントを目指す方には、
必読の書ですね。!!



 
★★★ ツィッターやってます! ★★★

   https://twitter.com/h6takahashi


今日のアクセス:108,778