ティナ・シーリグ著「未来を発明するためにいまできること スタンフォード大学 集中講義II」を読みました。

本日は、ティナ・シーリグさん著

「未来を発明するためにいまできること スタンフォード大学 集中講義II」

をご紹介します。

著者のティナ・シーリグさんは、

昨年度放映されたNHKの人気番組
スタンフォード白熱教室」の講師を務めた方です。

参考URL
http://www.nhk.or.jp/hakunetsu/stanford/archive.html

特に今年の元旦に放送された、
大阪大学の様子がネットや勉強会などの集まりで
話題になりました。

番組を見た知人によると、

スタンフォード大学の学生に比べ日本の学生は、
見劣りするのではないかと思いながら見ていたところ、
阪大の学生は大健闘だった。

これは、大阪という土地柄の影響もあるのでは?

そんな話でした。

私は残念ながらテレビを見ていないので
コメントができないのですが、

お正月は、
実家でテレビばっかり見ているので残念です。


本書は、本屋さんでも平積みされる
ベストセラー本で、

「20歳のときに知っておきたかったこと スタンフォード大学集中講義」

※アマゾンにリンクします。

の続編にあたります。

私はテレビ場組を見ていないのですが、
内容は番組の内容と類似している
のではないかと想像します。

また本書は単なる翻訳本ではなく、
日本の読者向けに書き下ろされたものを
日本語訳しているようにも感じます。

日本に行った話が幾つか見られますし、
訳本の特徴である、文字数(ページ数)が少なく、
これは日本向けに企画(編集)されたためではないか
と感じました。(根拠レスですが。)

いずれにせよ、訳本はちょっと読むには、
重いところがあり、本書の読みやすさは嬉しいです。


本書の内容は、
「未来を発明するためにいまできること」
のタイトル通り、未来を発明する、
つまりイノベーションの方法や事例の紹介が
中心となっています。

本書を購入するにあたって、

”私が”未来を発明するためにいまできること

と、勝手に”私が”と付け加え、
マニュアル的なノウハウ的なコンテンツを
期待していまいましたが、
その点は期待とは違っていました。

しかし、
読み終えた後、
ブログを書きながら感じるのは、
答えはコレ。といったノウハウ本的な内容は、

実は日本的なコンテンツかもしれない。
ということです。

本書に書かれるのは、

このようにして、これができた。
このようにして、こんな誤りがあった。

という事例の研究です。

事例を覚えることは知識にはなりますが、
では、どう?
・・といった答え部分が抜けた印象を持ちます。

欧米的な考え方は、
その部分は自ら考えて実践することに意味があり、
示される物では無い。といった考え方による
ものでは無いかと思いました。

つまり思考を広げるための知識であり、
答えは多種多様にあり、自分でみつけるものである。

そんな印象です。


本書では私が研修やセミナー等で行った
事がある幾つかのトレーニング方法が
紹介されていました。

例えば、
30人ほど集まったある研修会場で
会話をせずに、誕生日順(○月×日順)に
並ぶというもの。

数名でチームを組み、マシュマロと
スパゲッティーを使って塔を作り
高さを競い合うもの。

などです。

前者は、会話ができないだけなので、
指を使って数字を交換します。
最初は全員が戸惑うのですが、
誰かが最初に始めると直ぐに全員に伝わり、
簡単に列が整います。

後者は実際にやってみると、
予想に反した本当に面白さなのですが、
リーダの選出とその力量によって
結果は大きく違ってきます。

「マシュマロチャレンジ」と呼ばれる手法で、
デザイナーのトム・ウージェク氏が
幼稚園児から企業幹部まで世界中の
数千人に対して行ったところ、

ビジネススクールを卒業したての
チームの成績がもっとも悪いそうです。
計画や主導権争いに時間をとってしまうから
なのだそうです。


本書からは他にも沢山の知見が得られます。

例えば、火事場の馬鹿力ではありませんが、
人間は危機迫るときに、大きな力を発揮する
ことが分かっています。

私も映画を見ましたが、
アポロ13号」の事故の現場では、
乗組員3名を助けるといった危機が、
船内の限られた有り物を利用して、
空気清浄機を作り出します。

また異文化の交流が創造的なビジネスを生むことも
分かっています。
Twitter社の組織責任者エリザベス・ウェイルによれば、
人材採用に当たっては能力に加えて
仕事以外の趣味やキャリアも重視します。

その結果、ロック歌手やルービックキューブ
チャンピオン、プロのジャクラーなど、
多彩な人が在籍しています。

そのような多彩な人達が集まれば、
ちょっとした昼食の会話も豊になり、
その結果、面白いアイディアがビジネスに
繋がることもあります。

そしてエリザベス・ウェイル(女性)自身も、
ウルトラマラソンのトップ選手であり、
プロのデザイナーであり、
ベンチャーキャピタリストです。

日本では居ないタイプの人材だと感じました。


本書の後半には、物事のとらえ方や、
諦めない姿勢が大事であると示されます。

2010年頃に来日した際に、
「日本経済は20年もの長期低迷にあえいでいる」

・・と合う人、合う人から言われたことを例に出し、

マスコミを通じて、このように何十回も同じ事を
云われていれば、いつしか日本人にすり込まれ、
やる気を失ってしまう。
とくに若い人は生まれたときからずっとこの
言葉を聞いているのです。

と書かれていました。

日本人が未来を発明するために今できることは、
「失われた20年」
という思想から脱却することではないか。
そのように感じます。


このように本書は、「未来を発明する」
つまりイノベーションを行うための試みや
事例を紹介した物ですが、

本書を読んで個人的にもっとも感じ入った点は、

いつから自らの思考が、凝り固まってしまったのか。

・・ということです。

様々な壁に当たったり、
常識というものを覚えた結果でもありますが、

世の中もっと自由に発想をして生きるべき。

本書をよんでそのように感じました。
限界は自分で勝手に作っているだけなのです。

そんな事を考えさせられる今日の一冊でした。



 
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