日垣隆著「学校がアホらしいキミへ」を読み、卒業後の我々はアホらしい毎日を送っていないか?と感じました。

私は田舎育ちなので、
幼稚園から中学校までの11年間、
ほとんど同じ同級生達と過ごしました。

そのあと、
隣町の高校に通うようになってはじめて、
新しい同級生ができました。

高校生活は本当に楽しい時間でしたが、
その理由を考えてみると、

メンバーが変わることによって、
小中学校の(悪い)イメージをリセットできたり、
先生やクラスのつきあいがある種希薄となり、
好きな部活や生徒会など、自分で選んだ仲間達と
活動ができたからだと感じます。

思えば、時間や金銭面での限界も感じず、
本当に自分のやりたい事ができた気がします。
(お金があったわけでは決してありませんが、
今ほど物欲もなかった気がします。)

このように書くと小中学生時代は、
イジメられていたとか、
先生とケンカしていた等と思うかもしれませんが、
いたって普通に過ごしました。
ただ変わらぬ同級生達に、
”気を遣いながら”過ごしていたように思います。


子供の頃の私が、”気を遣う”などと書くと、
一人前な感じがして、ブログを書きながら
大げさな。と思ったりもします。

しかし、改めて思い出してみると、
確かにそのような感覚はありました。

ですから、
周囲に気を遣うというのは、
大人に限定した話では無く、
子供は子供なりに気を遣い、
心をすり減らしている訳です。

自意識過剰といえばそれまでですが、
(今ではこのような私でさえ)
なにかと敏感な年頃だった訳です。

・・という訳で、
学校に通っていた頃を思い出しながら、
今日は日垣隆さん著の

「学校がアホらしいキミへ」

をご紹介します。

本書は(確か)糸井重里さんがご自身のホームページで
推薦しているのを読み購入に至りました。
※だいぶ前の話で、しばらくは積ん読になっていました。


学校がアホらしい・・

確かに本書は読者の気を引くタイトルですが、
本当に学校がアホらしいと思う生徒が、
そもそも”本”を読むのか少し疑問です。

むしろ真面目に勉強をするような生徒が読んだり
するのではないかと思います。

また本書は、
既存の学校教育を否定するような内容や、
恋愛やセックス、また犯罪に関する記述もあります。

学校の図書館などに置くとすれば、
周囲の反対なども考えられます。

上記を乗り越えられるなら、
勇気と良識のある先生が居るに違い有りません。

本書は、約90ページ、28項目にわたって
様々なテーマが記載されています。
たとえば、

 ・先生はつまらな
 ・バカ色にそまるな

といったタイトルそのものの内容から、

 ・サラリーマンは安泰か
 ・スマートにおごる

など大人のビジネスマン書籍と同レベルの
内容のものもあります。

中には、大人になって様々な知識や経験を
得てみないと分からないのではないか。
といった事も含まれております。
(とくに後半は、普通のビジネス書っぽい印象です。)

少なくとも中学生には難しい内容では
ないかと感じましたが、

ただ、子供を子供扱いしない事も、
学校がアホらしいと思っている人に向けた本
としては必要な配慮では無いかと感じます。


私が本書の内容で一番心に残ったのは、

 ・教えることの意味

という章の中にある、達人になる方法です。

 1.有料で 教えてもらう。
 2.無料で 教えてもらう。
 3.無料で 教える。
 4.有料で教える。
 5.プレー自体でプロとして食う。

の5段階があり、
もちろん最も達人に近づく方法は、
自らプロとして仕事をする5番の方法です。

それが無理なら、

人から教わるよりも、人に教える。

タダではなく料金を払うorもらう。

特に4とか5番の意味は、大人の思考をつけないと
分からないのではないかと感じます。


本書の最後に付録として、

追悼 大坪功卓君

という文章が乗せられています。

著者の日垣隆さんが本書を書く大きな理由と
なった出来事と想像します。

日垣隆さんの子供の同級生だった大坪功卓さんは、
文章作成など高い能力があったにもかかわらず、
引きこもりとなり、ついには自殺してしまいました。

大学進学を勧めた、
日垣隆さんは大いに責任を感じたと言います。

学校がアホらしいと思っていたキミとは、
つまり大坪功卓さんのような少年です。

本書の背景となるストーリを理解すると、
一段と本書の評価は高くなります。


先にも書いたように、
私は高校生活が楽しすぎた反動で、
大学受験に失敗し浪人生活を送りました。

この浪人時代もたいして勉強しなかったのですが、
この時間の無駄というか、この人生の無駄というか、

アホらしい。

・・と真剣に思いながら浪人時代を過ごしました。

大学に入って遣りたい事が沢山あるのに・・、
もっと、やりたい事の勉強をしたいのに・・、

受験勉強という、
将来役に立ちそうもないことを、
嫌々ながら必死に行っているわけです。

受験勉強の意味は、
忍耐力を付けるために、
イヤな事を必死にやってるんだ。
と云う人も居るぐらいですが、

ただ、この時の遠回りの意味は、
私なりに、
その後の人生で知ることが出来きました。

私の場合は、忍耐力とは関係有りませんでしたが・・・。

学校がアホらしいとは、
私の浪人時代の考えと同じ発想ではないかと思います。

そのように考えてみると、
学校がアホらしいと思う気持ちは、

むしろ精神面で少し成長した人が持つ思考なのかもしれない。
ブログを書きながら感じます。


学校がアホらしい。

そう云われ、

答えに窮する大人全員が読まなくては
いけない、今日の一冊です。

良書だと思います。


 
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