茂木健一郎著「忘れるだけでうまくいく脳と心の整理術」を読み、忘れることが脳の大事な機能と知りました。

年末に部屋を掃除したら、
2年ほど前にアマゾンで注文し、
・・・そのまま箱に入っていた本達が出てきました。(汗)

今日はその第四弾として、茂木健一郎さん著

 「忘れるだけでうまくいく脳と心の整理術」

をご紹介します。


茂木健一郎さんといえば、
最近はネットでの奇行(?)が話題と成ったり
していますが、れっきとした脳科学者です。
私はプロフェッショナルというNHKのテレビ番組で知り、
以来、何冊か本を読んでいます。

茂木さんは東大の理学部を卒業した後、
東大の法学部に入り直し、
さらに理学部の大学院へ進みました。

私の時代も「仮面浪人」という、
大学に入りながら、別の大学(学部)に入ろうと、
受験勉強をする人はいたのですが、
茂木さんの場合は、
一度卒業したのち、法学部へ学士入学して、
再び理学部へ進学しています。
こんな人は私の知り合いには居らず、
既に変人というか、一般常識を越えています。

良く俺は理系だから・・とか、
私は文系だから・・とか云いますが、
そして、茂木さんぐらいの頭脳になれば、
文系も理系も関係ないのか。と思います。

しかし、そんな凄い茂木健一郎さんを
作ったのは、高校時代の担任のひと言、
「東大に行ったら文1に行って官僚になるか、
理3に行って医者になるかだろう」。

や、当時付き合っていた彼女に、

「やっぱり、男は官僚でしょう」。

と云われたことが引き金になっているそうです。

そんな簡単なこと?!

・と、びっくりするのですが、かくいう私も

当時好きだった女性に、
男はやっぱりマスター(大学院)でしょ。
と云われ、大学院を意識してしまったのは
事実であります。

本書を読みながら、
どんな人でも行動の裏側には、
誰かの、端から見たら小さなひと言が、
影響していると感じました。

さて、本書のテーマは、
脳科学者、茂木健一郎さんが語る、
「脳と心の整理術」です。

本書を買ったとき、題名のタイトルに、
「忘れるだけでうまくいく」
という言葉を見逃し、
そして、整理という意味を整頓と考え、
本書を買っていたことに、
読み終えてから気付きました。

要するに、天才脳科学茂木健一郎が語る、
脳の使い方。これを読めば頭が良くなる。
的な本と思って購入してしまったのです。

そんな期待に反し、本書は冒頭から、
忘れることがテーマに話しが始まります。
最近特に、忘れ物が激しい私は、
安心して嬉しくなります。

しかし読み進めてみると、
本書の出版は2012年2月です。
(本書には直接書かれませんが)
タイミングからして、
東日本大震災で苦しんでいる人の辛い記憶を、
どうやって解放するか、
つまりどのように忘れ、
どのように心を整理するか。
をテーマに書かれたように感じました。

そして実際に茂木健一郎さんが実践する、
様々な忘れる方法、心のメンテナンス方法が
紹介されます。

その一つがフォーカシングというある種の
瞑想法です。
最初にある気になることやイヤなことを、
心に想い浮かべます。
そして、次にそれに合う言葉を探します。
さらに、
何故そんなに気になるのか、気になる物との
関係はどうなのか、自分に問いかけます。

そうして自分と自分の深層心理が語り合うことで、
何故そのような事を、イヤと思うか。
その原因を探し出す(思い出す)のです。

このように、期待した脳科学の話しとは、
ちょっと違うスピリチュアル系の話が展開し、
半分あれっ。という感じです。


脳科学的な内容も少し紹介しますと、
脳にとって最も大切な働きは、
必要なもの意外を忘れることであるといいます。

忘れっぽい人にとって、
”必要なもの以外は”というところがキモですが、
単に忘れているだけでなく、
脳が意図的に編集したり、情報を圧縮している
というのです。

そして、一日の終わりに今日の意味を5分だけ
考えてみるだけで、脳の編集・圧縮機能を
レーニングすることになるのだそうです。

また、脳はネガティブな記憶を消すことはできず、
その記憶を打ち消すような新たな、
例えば楽しい記憶を作ることしか対処法が
無いことも知っておきたい知識の一つです。

但し、震災のような大きいネガティブ記憶に対しては、
一度思い出してその経験にはどんな意味があったのかと、
考え直す必要があるとのことです。

他にも緊張や人見知りは、脳が正常であったり、
脳がフル回転している状態であったりすることを
教えてくれます。
プレゼンで緊張しない何とか・・みたいな、
本は沢山有りますが、

脳科学的には緊張することが正しいようです。


本書の後書きに、
「あなたの将来は、これからも不確実なことが
沢山おきます。あなたは不安ですか?それもと
安心ですか?」とセミナー等で質問すると、
多くの人が、「不安です」と答えるそうです。

しかし基本的に人生は不確であることを考えると、
不確実を不安と考えるよりも、
安心と考えるのが生きやすい筈です。

つまり、正しい気持ちの持ち方は、
不確実なことを安心と考え、
確実なことを不安と答えることができる心理です。

先日も40歳を過ぎると不安になるという話しを
書きましたが、
過去のイヤな事は一度思い出したら後は忘れ、
今の自分に集中したいと感じた、今日の一冊です。


↑ちなみに私は、単行本を買いましたが、
 昨年文庫版化されたようです。


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