小林薫主演「深夜食堂」は、男の憧れの生き方を、小林薫さんが演じているように思えました。

1月が終わって、
今年も早いね−。
なんて言っていたら、
バレンタインデーも(例年通り何も無く)終わり、
2月も後半戦です。(汗)

映画に行かなくなると、
全然行かなくなる。

・・というフレーズが頭をよぎり、
ようやく今年最初の映画を見に行きました。


・・という訳で本日は小林薫さん主演映画

 「深夜食堂

をご紹介します。

何時の頃からか、
小林薫さんが好きなのですが、
Wikiで出演作を調べてみると、
きっかけとなったのは、
魚河岸ものがたり(1987年、NHK
のような気がします。

そんな古くから見ているのか。
・・と思いつつ個人的に高倉健さんの次は、
小林薫さんなのです。

そんな小林薫さんの映画と云うことで
前から見たいと思っていました。

通常、映画を見る前には予告編以外の
情報は見ていないのですが、
本作は、予告編すらみていません。

ただ「深夜食堂」というタイトルと、
料理屋さん風の格好をした小林薫さんが
真ん中に経っている映画の写真を見れば、
だいたいどんな映画かは、想像つきます。

ただ、
うかつに、有るメルマガの記事を
読んでしまったのですが、
高岡沙紀さん、多部未華子さん、
菊池亜希子さん、田中裕子さんらが
出演するオムニバス映画であり、

オムニバスで有るが故に、
若干中途半端感があったが終わりは良かった。
ということが書かれていました。

そんな感じで、”若干中途半端”という、
ネガティブ評を聞いてしまって映画を見ました。
(やはり映画は素直に見たいので、
事前に特にネガティブ情報を得るのは
宜しく無いと思いました。)

映画を見終わって調べてみると、
深夜食堂」は、
2009年にTBS系列で始まったテレビドラマで、
昨年第三部を終えたそうです。
1話30分の深夜枠の番組です。

※これから映画を見る人もいると思いますが、
 この先ネタバレ有りなので、
 気になるひとは読まないでください。

舞台は新宿の裏の路地にある、
深夜0時から朝の7時まで営業する食堂です。

メニューはビールや焼酎のほか豚汁とお新香位しか無く、
それ以外の物は、オーダーして出来る物は作ってくれる。
という感じの店です。

この時間設定からして、
営業が終わった新宿界隈の水商売系の人がお客さん
かと思いきや、
お茶漬けシスターズという普通のOL風の女性なども
おります。

小林薫さんと、不破万作さん、安藤玉恵さんなどの
常連の皆さんは、テレビ版でも出演されており、
このメンバーに加えて、
オムニバスの主人公が出演しています。
ですから、本当は小林薫さんも脇役なのかも知れません。

もともとテレビ版でも30分枠なので、
映画がオムニバスだからといって、
特に短いというわけではなく、
むしろ3つのオムニバスを上手くまとめ、
全体の整合性があっており、
流れとしては良いと感じました。


第一話は高岡沙紀さんが主演です。
愛人に先立たれた女性の役柄で、
冴えない年下のサラリーマンである柄本時生さんと
恋に落ちそして、二人は別れます。

映画をみつつ、失礼ながら高岡沙紀さんの胸に
目がいくのですが、あの胸はどこに行った。
という位、全く胸の厚みは感じさせません。

また、柄本時生さんは良く見かける俳優さんですが、
名前でわかるとおり、榎本明さんの息子さんなのですね。

二人の年齢差はさておき、
若干オタクが入った男性と、
スレた感じのいい女の恋愛ですが、
やはり似合いません。

結局上手く行かないのですが、
映画を見る限り、男のために分かれてやったのよ。
的なストーリーに見えました。
柄本時生さんが自分に投影されて、痛かったです。

なお、最後のシーンで高岡沙紀さんは風俗店に行き、
今日は何の日。とマネージャらしき男性から、
封筒に入った現金をもらいます。
どうやら風俗で働き始めもらった給料のようなのですが、
普通、風俗は日払いと聞いていますので、
なんのお金かと、頭が??となってしまいました。


第二話は、多部未華子さんが主演です。
名前は存じていましたが、
スクリーンで見るのは初めてです。

新潟の田舎から、当てもなく出て、
お金が尽きて深夜食堂で無断飲食をするのですが、
翌日誤りに行き、ちょうど右手を痛めた、
小林薫さんのために、手が治るまで。
という期間限定で料理人として働きます。

もともと、田舎で料理人をしていたのですが、
男に騙され、店を開きたたいと貯めていたお金を
持ち逃げされ、東京に出てきたのでした。

お金が無く、
若い女性が何日間もお風呂に入らない様子が
表現されるのですが、
今時そんなことあるのかな。
と思います。

結局小林薫さんの知り合いの、
料亭の女将さんの店で勤めることになります。

新潟の親不知から出てきたという設定で、
時折方言が出るのですが、
全くその方言が分からない私が聞いても、
上手い(というか若干大げさ?)と思いました。

また、方言といえば、このあとに出てくる筒井道隆さん
の福島弁も上手いのではないかと感じました。
(もっとも、地元の人が聞けば??なんでしょうが。)

演出的にイマイチと思ったのは、
お金を持ち逃げした男が、
深夜食堂に現れるシーンです。
どうやって探したのかと思うのですが、
それはおいておいて、

嫌がる多部未華子さんに、
戻ってきて欲しいと迫る男にオダギリジョーさんが、
俺がプロポーズして、結婚することになったから。
三文芝居を打つのですが、
どうも事前打ち合わせしたかのような自然な流れです。

ホントかと思ったら、
終わった後に、臭い三文芝居とか、
お店の常連さんがいうのですが、

この2人の演技力なら、
もう少し不自然っぽい演技ができたのではないか?
と思いました。
微妙です。


第三話目は、菊池亜希子さんが主演です。
震災後福島にボランティアに通い続けるOLを演じます。
はとバスに勤める平田薫さんが友人です。

てっきり、仕事でダメキャラを演じる平田薫さん
が主人公かと思ったのですが、違いました。

ボランティアに行き、地元の人に親切にしているうち、
筒井道隆さん演じる、地元の人に惚れられてしまい、
その筒井道隆さんが東京まで追いかけて出てくるのです。

実際に私の会社に勤めていた女性も、
震災後、ボランティア活動のため東北に行き、
男ができてしまいましたが、
そういった事は多々あったのだろうと思います。

しかし一方で、今回のケースのように、
そんな気はなかった。
として泣いた男も星の数ほどいるに違いないと
思いました。

寂しい男に優しくしたらあかんのです。

ただ映画でみる2人の関係は、
単なるボランティアの仕事の関係では無く、
ある程度親密な何かがあったように思います。

女にとってそれは、ただの親切、ただの友達
なのでしょうが、男が見ればそうは思いません。
深夜食堂の常連男子も、一様にそのように
思っているようでした。

この話しも、もうひとりの主役である、
筒井道隆さんに自分が投影されて、
とても痛かったです。


そして第四話目は、
映画全体を通して設定される、
”店に忘れた骨壺”の持ち主である、
田中裕子さんが登場します。
ぱっと見、以前の田中裕子さんの面影は
まったくありません。
そういったメイクなのでしょうが、
昔懐かしい、田中裕子さんらしい演技をしています。

四羽目は、田中裕子さんが骨壺の理由を語り、
そして簡単に終わってしまいます。


と、こんな感じでして、
深夜というわりには、深夜に行きそうにない、
普通の方が、ゲストとして物語を作っています。(笑)


主人公の小林薫さんは、左目の所に、
刀の切り傷を思わせる跡があり、
そんな主人公を、銀座か新橋?の料亭の、
余貴美子さん演じる女将さんが惚れています。

新宿の場末の食堂の親父に、
高級料亭の女将さんが惚れるはずが無く、
昔相当な、何かが有ったという雰囲気をにおわせます。
私的に余貴美子さんが、この映画の中で一番良い
女なのですが、(それはさておき)

対して金もない汚い食堂のオヤジが、
いい女に惚れられ、
家族は居ないが、
常連さんと仲良く良い時間を過ごす。

ある種、男の理想を小林薫さんが演じているのだと
思いました。

私など独身なので、
人生の後半にこのような姿になれたら最高です。
でも、刀傷とは云いませんが、
仮に店を出せたとしても、
普通のサラリーマンをやっているようでは、
人生に厚みも出ず、いい女に惚れられることも
無いんだろうなぁ〜。と思いました。

また、小林薫さんが多部未華子さんに、
今日のバイト代を渡すシーンが実にさわやかです。

普通のシーンですが、
私など、幾ら渡そうかと、色々考え、
あのような爽やかさがでそうにないと思いました。

お金や物にもこだわっていない、
主人公の生き方が表現されているのです。

このような感じで半分不満もつらつらと書いた割りには、
期待通りの良い映画だったなぁ〜。
・・と感じ入った今日の一本です。


追伸)
クレジットをみていたら、向井理さんも出ていました。
きっと筒井道隆さんが仕事をしていた、工事現場の
人だと思いました。


映画『続・深夜食堂』公式サイト


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