「夏の終わりに」を見ました。少し分かりにくい感じはありましたが、少し考えさせられる映画でした。

毎日読むネットの記事には、
個人的には全く見ない、
テレビドラマの話題も数多く含まれます。

今年は特に、
綾瀬はるかさんの大河ドラマ「八重の桜」にはじまり、
「じぇじぇじぇ」の朝ドラ「あまちゃん」。
「倍返し」のセリフよりも、
内容がリアルという「半沢直樹」。

そしてストーリは重いけど、
満島ひかりさんの演技が際立っているという「Woman」。

こういった評判をよく読みます。

特に私は、美女に目が無い訳で、
菅野美穂さんの旦那さんはさておき、)
彼女たちの演技を、是非とも見たいと思っていました。

あまちゃんは」や「八重の桜」は帰省の折に、
一部をどうにかチェックすることが出来ました。

ですが、
満島ひかりさんはだけは、観ることができません。

私は満島ひかりさんのことをよく知りません。
ですから余計にどんな方なのか、
見たい気持が募っていました。

・・という訳で本日は、満島ひかりさん主演、

「夏の終わりに」

を見て参りましたのでご紹介します。


映画は、
満島ひかりさん演じる主人公相澤知子が、
年上の作家(小林薫さん演じる小杉慎吾)の
愛人として暮らしているところに、

昔好きだった男(綾野剛演じる木下涼太)が現れ、
三角関係に発展していくというストーリーです。

相澤知子は8年間もの間、
大した疑問も不自由も感じず、
時折訪れ数日泊まっては帰って行く、
小杉慎吾の愛人として暮らしています。

愛人とはいえ、
一見平和で幸せな暮らしは、
木下涼太が現れることによって、
小杉慎吾との関係に寂しさを覚えます。

そして愛人としてではなく、
正式な妻になりたいと願うのです。

彼女は、若くして結婚するも、
夫と別れ一人上京して、
居酒屋の店員として働いています。

そんなとき、
お客さんの一人として出逢ったのが
作家の小杉慎吾でした。

彼は作家として自信を失い、
彼女は一人上京して疲れています。

ただ、彼女は小杉慎吾の作品を読んで、
貴方には才能がある。もっと沢山書くべきだ。

・・・と云います。

そんな彼女を小杉慎吾は、
一緒に旅行に行こうと口説いたのでした。


映画に映し出される相澤知子は、
普段は一人一軒家に住み、
二階は仕事場と成っており、
染め物のデザインを彫る仕事をしています。

外出する際には、
素晴らしい着物を着ており、
家や仕事道具、高そうな着物など、

全て愛人小杉慎吾から貢いでもらった
品物だと思われます。
(映画ではそこまでは表現していませんが)

しかし、
一方では出版社からの原稿料を、
そのまま丁寧に包んで小杉慎吾に持たせ、
家に帰らせた後、
小杉の家からもってきたものは、そのまま返す。
・・のようなセリフがあり、
愛人としてのプライドを感じさせるのですが、

小杉慎吾と出逢ったときは、
居酒屋の店員だったことから想像すると、
これらの物品や生活費はいったいどこから
出てきた物なのか気になってしかたありません。

もちろん、相澤知子自身が
全て自分で稼いで得た物かも知れませんが・・。

映画の本題ではありませんが、
映画を観ながら、
この演出が気になって仕方ないのです。

もしも、相澤知子が来ていた着物が、
もっと安っぽい物であれば、
さらに映画の説得力が増したのでは無いかと
思ったりもしました。


結局、
一番三角関係に耐えられなくなったのは、
若い木下涼太で、彼は自ら相澤知子のもとを離れます。

そして、次に耐えられなくなったのは、
相澤知子でした。
彼女も小杉慎吾のもとを離れます。

映画の最後のシーンで、
出逢った頃一緒に旅行に来たことがある小田原駅
待ち合わせるシーンがあります。

そこで映画は終わっており、
この後が気になるのですが、

若干中途半端な演出ではないかと思いました。
ただそういった中途半端さ、物語のわかりにくさが、
映画を見終わった後、様々なことを考えたり、

映画だけではストーリーが分からないので、
原作を買って読むしかない。
と思ったりするのだと思います。

(・・と思いきや、
アマゾンでは本日時点で売り切れになっています。
似たような事を思った人が多いのでしょうか。)


映画の原作が瀬戸内寂聴さんということは知っていました。

調べてみると小説「夏の終わり」は、
瀬戸内寂聴さん(出家前の瀬戸内晴美時代)の代表作で、
これまで100万部の売上げを誇るのだそうです。

「夏の終わりは」彼女の自伝的私小説なのだそうで、
現在の、柔和な尼さんというイメージからは想像付かない
熱い世界が描かれています。

私がこの映画から感じたことは、

女性とは難しい生き物である。
という事に尽きます。

寂しいときに一人居るのはイヤだし、
好きな男は独占したいし、
・・・

そういった事を表現しているということは、
分かりました。


そして映画を観ながら考えたことは、
この映画は何時頃の話しか?ということです。

戦争は終わっているようですが、
テレビは普及していません。

Wikiによると、
瀬戸内寂聴さんが実際に不倫をしたのは昭和21年頃で、
「夏の終わり」が出版されたのは昭和38年のことです。

映画ではテレビが無く、ラジオから歌謡曲が流れています。
テレビが普及し出したのは、
現在の天皇陛下が結婚した昭和34年頃とのことですので、

これらを総合すると、
昭和20年後半から昭和30年頃の設定と思われます。

相澤宅や、木下宅のなどの造りの演出が良く、
監督は結構年配の人かとおもったのですが、
監督の熊切一嘉監督はなんと昭和49年生まれと、
私よりお若いです。

唯一違和感があったのが、
鎌倉にあるという小杉家を訊ねるシーンです。
道の感じが鎌倉というよりも、
島っぽいとおもい、最後のテロップをみたら、
やはり淡路島などの島のようでした。

映画は、
ゆったりと、大きな起伏もなく流れていき、
はじめちょっと単調だなぁ〜。
・・などと感じながらも、
次第に満島ひかりさんの美しさに引かれ、
映画が流れていきます。

満島ひかりさんは沖縄生まれということですが、
洋服よりも着物がとても似合っておりました。

素敵な女優さんだなぁ〜。
と感じつつ、ストーリーが一部良く分からないので、
原作を読まねば。

・・と感じた今日の一本です。


追伸:上記URLの冒頭に瀬戸内寂聴さんのコメントがあります。
   「夏の終わりに」は彼女が40代の頃、
   自分の経験を私小説形式で作った作品で、

   その後この作品を越えようと作品を書いてきたが、
   90歳をこえる今となってもこの作品を越えることは
   できない。・・・と記されています。

   感じ入る文章ですので、
   こちらも是非読んでください。