宮崎辰著「世界一のメートル・ドテルだけが知っている、好感を持たれる60のコツ」を読みました。

本日は、宮崎辰さん著

「世界一のメートル・ドテルだけが知っている、好感を持たれる60のコツ」

をご紹介します。

「メートル・ドテル」という言葉ですが、
個人的に、全く馴染みがありません。

日本語に訳すと「給仕長」ということで、
これなら少し意味が分かります。

・・とはいっても私の場合、
フランス料理や高給レストランとは、
全く縁遠い世界に住んでおります。

ですから、
高級レストランの現場(ホール)で、
接客を仕切る責任者。
位のイメージしかできません。

そんな高給レストランと全く縁がない私が
なぜこの本を手に取ったかと言いますと、

「好感を持たれる60のコツ」

の部分に興味を持ったからです。

下世話に言えば、
女性に好感をもたれるためにはどうすれば良いのか、
勉強になるのではないかと思ったのです。(汗)

しかし実際の内容はと言いますと、
女性の好感というよりも、
真面目に「メートル・ドテル」を目指す若者が、
世界一の達人の心がけを学ぶために読む。
そんな内容でした。


さて、著者の宮崎辰さんは、
子供の頃から料理が好きで、
料理の専門学校に進学します。

その際に一年間フランスに留学をして、
様々なレストランを見て回るうちに、
サービスの世界に興味を持ちました。

フランス料理の世界では、
サービス職種は3段階になっています。

料理を運んだりして厨房とホールを結ぶ
コミ・ドラン。

コミ・ドランを数年経験したのち、
お客様に実際料理のサービスをする、
シェフ・ドラン。

そしてそれらを統括するが、
メートル・ドテルです。

彼の地フランスでは、メートル・ドテルは、
シェフと同じ位尊敬されているのだそうです。


それではここで、
本書に書かれる60の好感を持たれるコツのうち、
印象に残った幾つかをご紹介します。

★「悪い印象」を「良い印象」に戻すのは難しい
 出逢った最初に、変な事を言ったりして、
 悪いイメージを付けない事の大切さを語っています。
 
 「また会いたい」と思う人は「最後の印象」がいい人
 という話題も本文にありますが、
 最初はスタンダードな接客を行うのが基本です。

 特に初対面では、挨拶で自分を演出することもなく、
 表情もまた相手の、表情に合わせるなど、
 定石的な対応に徹します。

 加えて、思いつきで接客しないことも基本であり、
 予約時などの少ない情報からお客様を予測して
 準備をして望みます。

★本当の心は表情に現れる
 来店した際の表情は、来店の目的を始め
 多くを語るのだそうです。

 例えば料理を楽しみに訪れる人は笑顔ですし、
 接待の人は緊張しています。
 男女で訪れる場合も、表情から二人の関係を
 察します。

 結局正しい接客のためには、
 お客さんの観察が重要ということなのです。

 そして、逆に接客する側にも同じ事が言えます。

 例えば、心配事やトラブルを抱えたスタッフは
 どうしても表情に出てしまいます。
 そんな時は、ホールの仕事ではなく、
 裏方の事務仕事などにローテーションする
 こともあるのだそうです。

 「笑顔にトレーニングは必要ない」という話し
 も印象的で、トレーニングで作った笑顔は
 どうしても作り笑顔になってしまうのだとか。
 
 ですからこの仕事は、身体の健康だけでなく、
 メンタル面でも常に健康を求められるのです。

 人間どうしても気分の上下がありますから、
 メンタルの維持は大変な事だと感じます。
  
★相手の持ち物から話題を広げる
 「話題のネタは連想ゲームで探す」という
 話題も本文にありますが、

 料理の食材や食べ方の説明に始まり、
 洋服やアクセサリーなどの相手の持ち物など、
 どんな事からでも連想ゲームのように話題を
 広げていきます。

 ジャスミン茶から中国の話題に広げ、
 サッカーからヨーロッパの話題に話しを広げます。
 お客様の時計のブランドから、 
 知り合いのお店を紹介することもあります。

 話しは聞き手に回ろう。といった事が良く
 言われますが、あまり聞き手に回りすぎない
 ほうが良く、適度に自分を出していくことも
 大切と著者は語ります。


・・・と、沢山ありすぎるのでこれ位にしましょう。


全体を通じて印象的なのは、
著者の宮崎辰さんは、
世界一の接客サービスのプロとして、
接客のベーシックなところは頑なに守りつつ、
一方では積極的に自分を出しているように感じました。

守破離」という言葉がありますが、
「離」の境地に達しているのではないかと思います。

本書の帯には宮崎辰さんの写真があります。
とても穏やかで、感じ良さそうな印象です。

本書では「世界一」になるための苦労話しは
あまりありませんが、

若い頃は、サービスは周りの人からということで、
厨房で職場の先輩に、
好みの砂糖やクリームを入れコーヒーを
準備した話しや、
病気で高熱のソムリエの筆記試験を受験した
話しなど、

仕事の出来る人に共通の良い意味での違い、
少し常識を越えた根性というか、
行動力のようなものを感じます。

「ギャップのある人間になる」という話題も
本文中にある訳ですが、
著者の宮崎辰さんは、感じの良い外見と、
その中には秘めた炎のような情熱を持つ、

ギャップのある、大変魅力的な方に違いない。
そんなことを感じ、参考になった今日の一冊です。



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