宮竹貴久著「恋するオスが進化する」を読むと、私たち生物の進化が少し分かった気分になります。

明けましておめでとう御座います。

2013年になりました。

今日は1月1日。
つまり元旦なので、
どんな本をUPしようかと
前々から楽しみにしていました。

し・か・し、、

正月早々セッ○スの話になるとは・・・、
ちょっと微妙な感じです。

・・・という訳で今日は、宮竹貴久さん著

「恋するオスが進化する」

をご紹介します。

本書は週末勉強会の先生が、
2011年に読んで面白かった本ベスト5に
入っていたもので、

内容は分からないまま、
しかし、
先生の云うことなので迷わず購入しました。
(それから読むまで1年位かかっていますが・・)

本を購入するに当たって、

「オス」という単語は、少々気にはなりましたが、
「恋する」という言葉があるので、

きっと(我々人間も含む)動物の恋愛を通じ、
男が進化してきた歴史を語る内容なのだと、
確信しました。

・・・
しかし、ちょっと違いました。汗)

著者である宮竹貴久さんは、
虫(ムシ)博士なのです。

しかも、
人間の場合、
Hとかセックスとか云う、

「交尾」

がご専門です。

本書の主な内容も著者の専門である、
虫の交尾を中心とした内容で、

例えば、
なぜ生き物には男性と女性
つまり雄と雌があるのか?

なぜクジャクの尾や鹿の角など、
何故オスが綺麗(立派)なのか、

そういった事が真面目に記されています。

とにかく
虫がご専門なので、

ミツバチなど交尾を一回すると
死んでしまう話や(しかも空中で爆死)、
交尾をするたびにメスが弱っていく話など、

専門性が高く、
好きな人には、とても好きなんだろうなぁ〜
と思わせるマニアックな内容が多々あります。

確かに虫や動物の交尾については、
子供でも夏休みの自由研究のテーマに
なりそうなネタです。

虫の交尾と云えば、
子供時代はイヤらしい感情は皆無でした。

しかし、
大人になると余計な事を覚え、汗)

交尾という言葉には、
多少なりとも気持ちが反応してしまいます。

そして本書の狙いは↑(ココ)にありました。

あえて虫の交尾という言葉を使わず、
「虫のセックス(カタカナです)」という風に、
人間と同じ単語を使って表現しているのです。

本書はもちろん大人向けの本ですが、
ワザとセックスという言葉を使うことで、

虫や動物のHについて、
まるで人間や自分の事のように想像し、
痛かったり、悲しかったり、

・・・感情移入しながら本書を読むことができます。

もしも本書が、
「交尾」という一般的な言葉を使っていたとすれば、
学校の図書館に並ぶ、図鑑や博物書と同じだった
かもしれません。

「セックス」という言葉と読みやすい文体により、
素晴らしい本書が生まれたと思います。

===
ところで、
参考までに目次の刺激的な文句を並べると、、

 トゲの生えたペニス(冒頭です)
 今セックスにおきていること
 性のはじまり
 戦いとセックスの日々
 セックスにサイズは関係ない
 ・・・
 想像しようセックスの無い世界(最終章です)

いったい何の本なのかと思います。
決してアダルト本ではありません。
===

著者の宮竹貴久さんは、幼い頃から虫が大好きで、
大学の研究室で、偶然虫の交尾を研究する先生と
巡り会いました。
以来、虫の交尾がご専門です。

卒業後は一度沖縄県職員として害虫駆除の仕事
をしながらも、虫の研究も行い博士となられました。

本書のユニークなアイディアは、
純粋に研究をした学者さんではなく、
様々な社会経験を経て培ったのかも知れないと感じました。


本書は、私個人的に役立つ進化の話は
無かったような気がしますが、
虫の研究の研究が日々進化している様子は分かりました。

例えば、
虫は寿命が短いので、似たような特徴の虫を
交配することで、
有る特徴を持つ虫を数年で作ることができます。
(これもちょっと驚きです。)

例えば、同じ種類の虫で、
頭の大きな虫とお腹の大きな虫を作ります。
そうすると、

頭の大きな虫は、ケンカは強いが
相対的にお腹が小さくなり、

頭の小さな虫は、相対的にお腹が
大きく卵が沢山生めるようになります。

その結果、
ケンカが強い虫は必ずしも子孫を
残せるとは限らない。

みたいな話が紹介されます。

そして、生き物は、
環境と個々の多様性のバランスの中で
生き残ることができると云う、
自然の摂理を理解することが出来ます。

つまり、虫のセックスの研究は、
生き物の進化のメカニズムを探ることに
通じるのだと思いました。

また、実は虫の交尾の研究は日々進化し、
10年前、15年前には誰も分からなかった話題が、
本書にも記されています。

特に虫好きの人にはたまらない内容では
無いかと思った、今日の一冊です。


変な下心を満たすことは、全く出来ませんが、
虫も人間も変わらない男の哀しさを知ることは
できるかもしれませんね。



 
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