伊吹有喜著「四十九日のレシピ」をよみました。乙美お母さんのような人がいたら素敵でしょうね。

先ほど実家から帰ってきました。

帰省っていう奴ですが、

家では、飲んで食って、
この時ばかりはとテレビを見て
あとは、寝るだけです。

親の手伝いの一つもしない、
グーたら息子です。

わたしに子供が居ないせいか、
何時まで経っても親は親で、
子供(私)は子供なのですが、

親もわたしも、
お互いいい年になりました。

いつまでも同じ環境で居られる筈もなく、
年々心配が増えるのですが、

あのとき、あーすれば良かった。
・・みたいな後悔はしないように、
したいと思っています。


・・という訳で、本日は伊吹有喜さん著の

四十九日のレシピ

をご紹介します。

”四十九日・・”という気になる名前の本が
ベストセラーになった事は知っていました。

そして、和久井映見さん主演のNHKドラマでも
放映される(とはいっても2011年2月〜)位の
人気ということで、慌てて購入してしました。

それから約2年。
積ん読から、ようやく読み終えました。(汗)


ストーリーは、

ある日突然亡くなってしまう、
お母さんの四十九日に至るまでの家族の物語です。

お母さんの旦那さん(夫であり父親)は、
落ち込んでなにも出来なくなり、

娘(旦那さんの連れ子、お母さんは後妻)は、
結婚後子供が出来ず、夫が若い女性と浮気をし、
離婚を決意し実家に帰ってきます。

そんなボロボロの家族に、お母さんが働いていた
”リボンハウス(社会復帰施設?)”の娘が、
突然、家政婦さんのように世話をしにやって来ます。

何かあったら四十九日まで、
旦那さん(夫)の世話をしてあげて。

・・と、
お母さんは亡くなる前に、
彼女にお金まで託しお願いしていたのです。

そのあと、
四十九日に至る間、
家族は少しづつ立ち直り、

迎えた四十九日の法要は、
お母さんの希望通り、

お線香やお経を上げるスタイルではなく、
食べて飲んでの大宴会を行います。


詳しいストーリーや登場人物については、
Wikiでも紹介されていますので、
これぐらいにしますが、

個人的に印象深いシーンは、

小説の冒頭でいきなり、
お母さんが死んでしまい、
旦那さんが一人残されるシーンです。

お母さんと最後に交わした言葉は、
旦那さんが釣りに行く時に作ってくれた弁当に、
ソースがしみ出ていていることが気に入らず、
「いらん」
・・と怒ってしまったことでした。

お母さんが亡くなってから、
ずっと悔やんでいます。

そしてもうひとつ印象深いシーンは、
四十九日にあわせて
お母さんの年表を作ろうと、
アルバムを掘り起こしてみるのですが、
空白の期間が沢山あり過ぎることです。


事故や病気など、
大切な人がある日突然亡くなってしまうことは
誰も予測出来ない訳です。

どんなに仲が良くても、
最後の一言がケンカ言葉になってしまうことは
あり得ると思いますし、

もしも、自分が旦那さんの立場だったら、
やはり同じように、メチャクチャ落ち込むと思います。

一方、
仮に私が死んだとして、
残された家族が年表を作れるかと言われれば、
やはり無理でしょう。

どうにか、学生時代までは友人をたどったりして、
作れそうな気はしますが、
その後の社会人生活など、日々平凡なものです。

自分で考えても空白の年数があるのに、、、
と思ってしまいます。


お母さんの年表を見ながら、
子供のない女性(自分)の人生は空白なのか。
・・と、娘が思うシーンがあるのですが、

女性でなくとも、
空白な人は多いのでは無いかと感じました。

読みながら、

自分の人生、何かを変えなければ!

・・と心の中から思います。


本書はどちらかと言えば、
60代後半からの高齢者向けの
内容のように感じます。

旦那さんとお母さんが結婚したのは、
昭和47年のことで、
お見合いを断った旦那さんの元に、
お母さんが押しかけてきたのが
きっけかけです。

至る処で、私の予想外のシナリオが
登場するのですが、

対象年齢60歳ということで、
どんな人が書いているのかと、
色々想像しながら読み進めます。

文体からして男性の人かと思ったりも
したのですが、

一方で、娘の子供が出来ない問題や、
旦那の不倫の問題など繊細な話題もあります。

ネットで調べたら、著者の伊吹有喜さんは、
私と同じ年の女性の方でした。


お母さんは幸せだったのだろうか?

これが、残された旦那さんの最大の疑問なのですが、
本書を読む限りは、幸せだったのだと感じます。

母親を早くに亡くしたお母さんは、
料理や生活の知恵を母親から教えてもらうことは
出来ませんでした。

他の誰か少しずつ教わった智恵が貴重で、
大切なメモにまとめたものを、”リボンハウス”と
家族のためにレシピとして残しました。

そこに書かれるのは、文字としての知識に加え、
お母さんの得意なイラストで、旦那さんと娘さんの
楽しそうな様子だからです。


本書を読んで思うのは、
子供がいなくても、世の中に貢献できることは
たくさんあるということと、

今日が最後になってしまうかもしれないという、

親鸞
「明日有りと思う心の仇桜 夜半に嵐の吹かぬものかわ」

にも通じる物を感じます。

東日本大震災前の作品ですが、
今読んでみると、なにかと感じ入る物があります。

今日と云う日を、大切な人と、大事に過ごす。

これが大事なのだと感じた今日の一冊です。


※現在は単行本もあります。


 
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