山田昭男著「日本一社員がしあわせな会社のヘンな“きまり” 」を読むと、差別化の大切さが身に染みます。

本日は山田昭男さん著

「日本一社員がしあわせな会社のヘンな“きまり” 」

をご紹介します。


著者の山田昭男さんは、
岐阜県にある建設資材メーカ「未来工業」の創業者で、
現在は社長を引退して相談役をしています。

山田昭男さんは若い頃に仲間と劇団活動をしており、
劇団の仲間(4名)と作った会社のが「未来工業」です。


「未来工業(というか山田昭男さん)」は、
とにかくケチというか節約を徹底しており、

震災のはるか以前より、
社内は真っ暗で、
社員の頭上には蛍光灯のスイッチのヒモがぶらさがり、
昼休みなどの離籍時は、
各自電気を消して節電しなくてはいけません。

節約のため、
コピー機は本社で1台しか有りませんし、
携帯電話も配布しておらず、
警備会社も入っていません。

一方、
有給休暇を除き年間140日もの休みがあり、
年末年始は20連休。
残業は禁止されおり、残業も禁止されておます。
全員正社員で、パートや派遣社員はおらず、
70歳定年で年功序列です。
・・etc.

この「未来工業」の様子は、何年か前に
テレ東の人気番組「カンブリア宮殿」で放映され、
とにかくインパクト抜群でした。

私はこの様子を見ていたのですが、

若い頃に劇団を立ち上げるも(確か「未来座」)
メシが食えず、
生活のために起業するも、
ハイテク製品は作れないので「未来工業」という
名前のイメージとは180度違う、
ローテク製品を作ることにしたそうです。

この起業時のエピソードからして、
既に普通とは変わっていて、おかしいです。

テレビで紹介されていたのは、
ヒット商品となったコンセントを取り付けるための、
台座のプラスチック部品でした。

従来製品よりも、
取り付け穴を増やした工夫がヒットに繋がりました。

見た印象では、
先端技術を用いるという雰囲気の部品でもなく、
創意工夫がヒットを生んだという印象でした。

「未来工業」と山田昭男さんの様子は、
このように、何年も前に見たテレビ番組の様子を、
今だ思い出せる程、インパクがありました。


本書を読んで改めて感じた山田昭男さんの哲学は、

”とにかく”他と違う事をすることです。

何故か従来グレー色だった保護管の色を、
アイボリーに変えヒットさせたことがあります。

山田昭男さんに云わせれば、
グレーもアイボリーも同じように塗装代はかかるのに、
日本はとにかく横並びなので、
グレーの配管しかないときに、別の色の配管は作れない。
といいます。

そんな「未来工業」の商品は、
特に職人さんの人気に支えられています。

未来工業の製品ラインナップは、
殆ど売れず、作っても赤字になるような
製品(例えばA)も豊富に用意しています。

一方、
売れ筋商品(例えばB)だけれども、
他社より高い価格の製品もあります。

そうしたとき、日本の職人さん達は、
わざわざ原価割れするAを作ってくれる
未来工業に義理立てして、
価格の高いBも買ってくれるのだそうです。


本書にも書かれるのですが、
日本だから上手くいく。
という話が往々にしてあるように思え、

仕事は罪、人も物も管理しないと成果が出ない。

という西洋諸国のMBA的な考え方に適さない
日本的経営の成功事例と思います。

いくらコストコトロールが重要でも、
技術が必要な生産現場で、派遣社員が技術を覚えて
くれますか?と山田昭男さん云います。


「未来工業」は、岐阜県にありながら、
名古屋市と同レベルの収入や、
日本一の水準を誇る、労務環境や福利厚生があります。

そうしたとき、
コピー機が社内で1台であっても、
電気をこまめに切らなくてはいけなくても、
社員は明るく率先しておこなっているようです。


ここに至るには、様々な苦労があったと思いますが、

山田昭男さんの姿を見る限り、
苦労はみじんも感じさせません。

一流経営者と呼ばれる人でも、起業後の発展途中で、
労務面などある種の闇(最近はブラック・・とか呼ばれる)
を抱えている話も耳にしますが、

現在の山田昭男さんの姿からは、
そういったことはみじんも感じさせません。

かなり変わった人ではありますが、
現代の七福神の一人のようなイメージの人だと思います。

とにかく、
他との差別化や初物を目指す姿勢は、
個人としても大いに見習うべき必要があると感じた、
今日の一冊でした。



 
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